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羽田国際空港からの

羽田国際空港からの


例のごとくリリーさんのフィギュアはトイレに行くふりをしてデイバックから外に出し、税関を無事パスする。

デイバックにはロンドンの空港で買ったお土産が詰まっていて、リリーさんの30センチフィギュアを出すのに少し苦労したが、到着後は特に怪しまれることもなく通過できた。

メアリーさんも持って来たのは下着や数枚の洋服、そして俺と同じようなタブレットやスマホのみで、危険物探知機で引っかかるようなことは無かった。


「それじゃ宗助の家に行きましょう」

「ヤッパリ来るんだ」

「私がお邪魔しちゃいや?」

「そういう言い方をしても無駄ですよ」

「そう?日本人はこうするとメロメロになるって聞いたよ…」

「え~と それは僕みたいに若くないおじさんたちの場合ね」

「じゃあ宗助はどんな言葉で攻められた方が良いの?」

「それは言わない」

「宗助 かわいいね~」


ニコッと微笑んで髪をかき上げ唇に指を添えて上目使いで困ったような顔をする。

343歳の人にそれをやられて何も言い返せないのが少しモヤッと来るが、突っ込みすぎて機嫌を悪くさせるつもりもないので、一応口は噤んで置く事にした。

日曜日の午後8時空港からはモノレールで品川へそこからは在来線を乗り継ぎタワマンがある見慣れた風景のある場所へと戻って来た。


【母さんただいま】

【おかえり、どうだった?】

【なんかアメリカの時よりあわただしかったよ】

【そうなの?】

【詳しくは後で話すよ、それで今日一緒に連れて来たメアリーさん なんだけど…】

【食事も有るから大丈夫よ】

【あ さすが母さん】

【ちゃんと部屋もかたしてあるから】


いつの間にかメアリーさんは又俺の手を握り、体を摺り寄せて来るが、場所が地元ではなく久々の日本と言う事で少し警戒しているようだ。

タクシーを使用しても良かったのだが、何故か自分はまだ(学生)なのだと言う部分が電車を選んでしまう形になった。

特に俺は問題ないのだがメアリーさんは久々の東京と言う事で、その目を輝かせながらきょろきょろと建物や広告を見ている。


「宗助は何処のハイスクール?」

「俺は三乃鷹高校2年生だよ」

「それは何処にあるの?」

「三鷹市」

「ふ~ん」

「何?おかしい?」

「宗助は私と同じ歳を取らないサイキッカーなんじゃない?」

「だからそれは前に説明したよね、この能力は昨年の夏に発生したって」

「そ そうよね アイムソーリー」

「でも頼りになる男性はかっこいいよ、ベリグッド」


昨年発生したロボの能力、その恩恵の一つそれが歳を取らない能力だとは分かるはずがない、それは数十年経たなければ本当に歳を取らないのか答えはでない、それに俺の能力はメアリーさんの能力とは結構違うと言える。

移動の間も嬉しそうに俺の手を握り締めているメアリーさん、普通の日本人ならこれだけ迫られればすぐに恋に落ちてしまうことだろう。

たぶんメアリーさんはこの雰囲気を自然に出しているのだろうが、もし全部意図しているなら相当の食わせ者だと言うしかない。

ここまでの短い時間だが、彼女にはCNのレイランのような強かさが微塵も感じられないのが、俺の中でUK女性への先入観が変な方向へ行くのを今は警戒している。

(絶対この人だけだよな…)


【宗助様メアリー様は特別の様です】

【俺もなんとなくそう思う、まるで見えない何かに守られているのか又は…】

【運が良いと言う状況でしょうか?】

【そ、もしかしてリアルラックの持ち主?しかもパッシブ仕様なのか…】

【幸運、そういう使い方も有るのですね、確かに地球の生物でこの歳になるまで生きて、記憶の中には死ぬような目には合っていないと言うのも不思議です】


特別な能力、SVRの中でもその能力は特別だと言って良いだろう、もしかしたら彼女の他にはほぼいないと言って良い。

何度かの戦争を生き抜きそれでもチャッカリ良いポストにいて、何不自由なく過ごしている。

映画や漫画ではかなり頻繁に出て来る吸血鬼やサキュバス、たまに小説の中では魔法使いのような扱われ方もするが。

今までにリアルでそういう人を見た、いや会ったと言う話は聞いたことなどない。

宗助も彼女の記憶を見るまでは信じられなかった。


「着いたよ、ここだ」

「お~ベリーグー」

『母さんついたよ』

『今開けるわ』


たった3日空けただけなのになぜか懐かしく感じるのだから、UKで起きた事はかなり特殊と言っても良いだろう。

エレベーターで最上階へと昇ると、今度は百合ちゃんが対応してくれた。


「お帰りなさい!」

「ただいま!」

「オープリティ、マイネームイズメアリーエドモンド ナイストゥーミーチュー」

「あ えっとマイネームイズユリナキノシタ アンジュー」

「ギュ!チュチュ」


そしてガバッと抱きしめる、いわゆるハグだ、さらに母にも抱き着く。


「こちらは宗助のマザーね」

「はじめましてマイネームイズミドリロホウ」

「ギュ!チュチュ」


一通り挨拶が済むと、彼女を部屋の中へと通す。


「父さんは?」

「今日も残業みたい、後2時間ぐらいしたら帰って来るって」

「そう なんだね、父さんも大変だ」

「オー宗助ファーザー、ソービジー?」

「そうなんだよ」

「働き過ぎは良くないで~ス」

「確かにそうなのだけど今は仕方ないみたいだよ、父さんも喜んで残業しているから」

「オーそういう人大変 変態?」首をかしげる

「大変 ね」

「オータイヘンOK」

【宗ちゃん】

【何?】

【この人能力者?】

【ああ うちの家族は大丈夫能力の適応外だから】


彼女のデータを改竄する時にそのあたりまで少し変更して置いた、但し人間の脳にはいくらロボ化しても全部変えられると言うわけでは無い、基本的な性能や生きると言う部分に関しての基本情報は変えられなかったりする。

それは秘密の箱のようにカギが掛かった状態で、開けられなかったりすることで守られていたりする。


【そう なんだ、もう驚かないようにしないと】

【驚いたんだ?】

【だってすごく綺麗な人なんだもん】

【そうだよね、俺も初めて見た時びっくりした】

【この人コマーシャルか何か出てなかった?】母

【あー分かっちゃった、10年ぐらい前に2・3件出ていたみたい】

「宗ちゃんお部屋に通すね」

「ああお願いします」


メアリーさんを朱里たちが使っていた部屋に通していると、ちょうど愛菜が部屋から出て来た。


「あーしんどい~」

「ただいま おおどうだ、勉強は?」

「おかえり~、今 超大変なんだけど…」

「もうスポーツ推薦で決まったんだろ」

「推薦試験と言う物があるのさ!」

「そうなんだ」

「まあ相当悪い点数でなければ大丈夫なんだけどね」

「分からない事あったら教えてやるぞ」

「それは大丈夫、百合姉に聞いているから」

「そうなんだ、百合ちゃんも頭良いからな…」

「それよりだれか来ているの?」

「ああリアルイギリス人、しかも超美人なお姉さんが来ているぞ」

「うそ!」


そこからは荷物を部屋に置き、食事をしながらロンドンの様子をできるだけ事件は伏せて話すことに。


「へ~大臣秘書…」

「ィヤス でも日本でも昔仕事しました、モデルです コマーシャルにもでました」

「芸能人ジャン!」

「ゲイノウ?」

「有名人って事、ベリーフェイモスピープル」

「オ~イェス…ノ ノーリトル少しだけです」

「こちらには仕事?」

「はいビジネスです、それと恋人探しでース」


そう言いながら俺の方を見る、止めて欲しい。


【宗助君何かしたの?】

【ああ気に入られたみたいなんだよね…】

【もう驚かないから、モテモテでよろしい事ですね】

【しかたないだろ、襲われそうになって一緒に逃げたらカッコイイって】

【もう少し自重してくれないと、せっかく国生さんと共闘しても意味ないんだけど】

【何それ?】

【あ いや何でもないよ、国生さんもこのこと知っているの?】

【まだ話してないよ、どうせこの人、USSJに所属するみたいだから】

【国生さんの事務所?】

【ああ 10年前もそこに所属していたみたい】

【へ~】


まあメアリーが泊まるのは今日だけだと言う事で話を進めるが、このお姉さんは放っておくと我が家に居座る可能性もあり得る。

パッシブでラック(幸運)が発生しているのなら、彼女が望んだ通りになる可能性が高いと言う事。

まあ一応宗助はあまりしつこいようならノーを突き付けるつもりなのだが、あまり邪険にするのも何か悪いことが起こりそうな気がするのだから、ラックと言う能力はちゃんと検証しておかないと、どこでアンラックを引き込むか分かった物じゃない。

幸運を引き入れると言う事はその代わりに不幸をどこかになすり付ける可能性があると、どこかの研究論文に書かれていた記憶がある。

まあ今までの俺自身もラッキーだったのでさほど問題は無いと思うのだが、多分メアリーさんは自分のラックと言う能力を知らないで暮らしているようだ。


「それじゃパパが帰ってくる前にお風呂入っちゃって」

「オネ~さん一緒に入ろう」愛菜

「オーイェージャパンのお風呂久しぶりで~ス」

【宗助様残念ですね】

【何が残念だよ、別に悔しくなんかないよ!】


この後女子ばかり4人でジャグジーを楽しんだと言う、ワーワーキャキャと言う声が聞こえると、どうしても耳をそば立ててしまうのだから男ってやつは…


【春遠からじ】

【なんだ それ?】

【宗助様の春はまだ遠いですね】

【ほっとけ!】

「ただいまー」

「今開ける お帰りー」

「お~帰っていたのか?」

「うん つい2時間前にね」

「ロンドンか、昔一度行ったが仕事であまり見て回れなかったな~」

「同じくだよ」

「宗助も か?」

「似たもの親子とは」

「事件もあったからね」

「そういえばどうなった航空機襲撃事件?」

「犯人は捕まったし、けが人も殆ど出なかったよ」

「まさかあの飛行機に乗っていたとは な…」

「俺もビックリだよ」

「後でその先も聞かせてくれ」

「良いよ1話500円ね」

「プライム対応か!」

「イッツアジョーク」

「フフフ まあ俺も仕事場で少しネタにしたからな…」

「それで蓄電池の方はうまく行っているの?」

「ああ後は小型化かな、必要な電力を得るのに300kの蓄電池はないからな~」

「そうなんだ…」

「とりあえずもう実験するそうだから、これ 内緒だぞ」

「分かっているよ、他に漏らしたら首が飛ぶもんね」

「もしそうなったら宗助に養ってもらわないといけないな」ニヤリ

「それシャレになんないよ」

「お そういえば皆どこだ?」

「今4人で風呂に入っているよ」


まさかリアルイギリス人、しかも超がつくほどの美女が一緒に入浴中だとは思っていない父だった。


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