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協力関係

協力関係


そこからはUSAで大統領と契約したのとほぼ同じ内容だったが、人口子宮の話はUSAのみに公開し、UKには別な情報を流そうと俺は考えていた。


「ホワッツ!」

「ですから放射能除去装置ですよ、いらないならフランスにでも流しますが」

「いや、まてまて それは本当なのか?」

「彼らのデータの中にありました、信じるも信じないもそちらの判断次第です」

「そのデータは何処に?」

「ここですが」


そう言って宗助は自分の頭を指差す。


「すぐに専門家を呼べるか?」

「放射線のプロフェッサーか?それは難しいぞ」

「その前に聞いておこう、君はUKのみにその情報を出すと?」

「そうですが、何かまずい事でも?」

「その話が本当なら地球規模で戦争の在り方が一変することになるのだぞ」

「そうでしょうね」

「データを取得したところで外には出せないな…」


核戦争後のことなど知りたくはないが、放射能除去装置が有れば核爆弾を使用しても数日で汚染除去が可能となる。

そうなれば小型の核爆弾を使用して戦争を仕掛ける国やテロリストが増えるだろう。

使用しても放射能汚染というリスクが激減するのだから、


「君は戦争を増長させるつもりなのか?」

「いいえそんなつもりはないですよ、それにそう簡単に放射能除去装置は作れませんから」

「?作れない、それじゃデータを持っていても意味ないだろう」

「今はそうですが宇宙人の星には作るための材料が有るはずです」


一年後、いや早ければ半年後に敵の惑星ヘと乗り込むことになる。

そうなれば彼らの情報は俺がいなくても得ることが可能になる、地球人にとって危険な情報はあらかじめ知っておく必要があると宗助は考えた。

危ない情報が手に入った時、地球人はどうするのか?戦争を始めるのかそれとも平和でいる事を望むのか?未来の情報と言うのは一つだけを取ってもそういう波乱を含んでいるのだ。

予め敵を知ることでその後の自分達を安全な人族へと導く必要がある。

宇宙人は究極の社会主義を取っていた、但しそれを管理していたのはAIだった。

地球は国によりその運営は様々だ、彼らの情報を手に入れて未来の情報に触れた時、我々は選択しなければいけない。

外部からの危険が去っても、今度は自分達の中に問題が有るのだと言う事を知るだろう。

それを後から知るのではなく先に知っておいて、事前に対処できなくてはならない。


「そのデータは欲しいが買う事が出来ないな」

「そうですか、その理由は?」

「戦争に肯定的な右派勢力を喜ばせるだけだ、核を使用しても除去装置が有ればいくらでも放射能を消せるとね」

「なるほど、戦争を助長させてしまう可能性があるという分けですね」

「そうだ、ミスター宗助できればそのデータどこにも出さないようにしてもらえないか?」

「どこにも売るなと?」

「ああそういう事だ、君はお金にも名誉にも興味が無いのだろう?」

「そうですね、今はあまり欲していません」

「ならばそのデータを売る必要もないわけだ」

「そうです」

「君がそのデータを出さないならば、それこそが我々が君と協力する理由に繋がる」

「良いでしょう、出さないと言う契約を結ぶと言う事ですね」

「もしかして他にもまずいデータがあるのか?」

「武器関係のデータならごまんとありますね」

「まずいな、君は歩く核兵器じゃないか?」

「ですが僕は核兵器を使いませんよ、絶対に」


使わないどころか使わせもしないのだが、各国の核弾頭は既にリリーさんの手により場所も割れている、だがそれを今ここで言っても仕方のない話、逆に宗助の存在が最大級の危険度へと格上げされるだけだ。

だが、所有しているデータの危険度を提示することで宗助に手を出すと言う事がどういうことなのかを考えさせる。

それは宇宙人を無力化して、その後はどうするのかと言う話と同じ事だからだ。

いつの間にかこの部屋に一人だけ宇宙人の代弁者がいると言う雰囲気になって行く。

確かに今は宗助の部下が惑星リズにいるAIマザーなのだ、宗助自身が宇宙人側の大使と言っても過言ではない。

惑星リズとの国交はもっと先の話になるのだが、まずは俺との話をどう決着着けるのか。

この国の方針を国家元首に問うと言う形になった。


「それでは書類を用意しよう」


首相であるポールがそう言うと秘書とみられる女性がアタッシュケースのようなものを持ってくる。

昨日のアプリの件とは又別な契約書、誓約書と言っても良いだろう。

そして中から契約書とみられる書類を数枚出して一度目を通す。

3枚の上質紙に連名でサインをしていく。


【リリーさん内容は大丈夫そう?】

【アプリの部分はアメリカ主導なのでそれほどおかしい文章は無いです】

【了解】


この契約は危険なデータをどこにも出さないと言う約束ともいうべき誓約書、それは実体のない様なものだが。

それこそが信用と信頼の契約と言って良いだろう。

なにせいつどこで宗助がデータを出してもUKの人間には分かるはずもないのだ。

このメンバーの中に嘘を見抜く超能力を持っているサバイバーでもいるのだろうか?そうでなければデータを出さない契約など、ただの紙切れにしか過ぎない。

3枚ほどの紙にサインを交わす、それだけでデータの拡散を防げると言うのだろうか。


【2枚目は…】

【何か問題でもあるのか?】

【この書類は超能力で書かれたものです】

【と言う事はこの契約書にサインすると絶対守らなければ何らかの制裁が有ると言う事か?】

【その可能性が高いです】

【解除はできそうか?】

【では私が代筆しましょう】


そう リリーさんはUKサバイバーの超能力で作られた書類に俺ではなく疑似契約する別人格を作り出し、その別人格がサインすると言う形にするようだ。

サインしても問題が無くなったとしてデータを軽々しく出しはしないが、仮にその制約で空を飛んだり姿を消したりできなくなる可能性を考えたからだ。

スキルロボで使える仮想装置も今では数百に及ぶ、それらの半分は最初から宗助とリリーさんが組上げたものだが。

今では半分近くが宇宙人のデータからフィードバックし、仮想装置として運用している。

特に惑星RIZに設置しているGIGAエアクリーナーには放射能の除去も兼ねているので、ここで出さないように書面で契約すると言う事は、スキルで有っても他で能力を出せなくなってしまう可能性がある。

それを回避するためには宗助がサインするのではなく、リリーさんのコピーを作りリリー2号ともいうべきAIを作成、その別人格にサインさせる形にする。

そうすればもし宇宙人から得たデータを知らずに使用した時でも宗助にもリリーさんにも何の問題も残らないという分けだ。

但し仮想AIをもう一人作ったことで脳のストレージを1%から5%、余分に使用しなければいけなくなるのだが、それは仕方のないことだ。

もし契約した後でその契約したデータごと消した場合、何らかの信号が契約書を作成した人物に送られ、契約を破棄したことがばれる可能性があると思われる。

そうでなければ書類にサインするだけで約束を破られないとどこで判断するのか、それこそ超能力でなければ知ることなど出来はしない。


【私のコピーを作成20%50%3・2・1リリー2号始動】

【初めましてリリー2号です私が代筆させていただきます】


俺の体を使いリリー2号がすらすらと俺の名前を漢字で書いて行く。


「これでいいのか?」

「有難う、これで我々は友人関係だ」


UKに渡すアプリはあらかじめUSBに入れてある、その中にはEU10ヶ国分の地域別アプリが入っており、レンタル料は一度アメリカに支払われる仕組みになっている。

多少の中間マージンは取られてしまうが、その方が身元や口座がばれなくて済む。


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