エネルギー産業戦略省
エネルギー産業戦略省
本日最初に訪れたのはエネルギー産業省、ここで大臣と話し次の場所へと移動するらしい。
「こっちよ」
少しついて行くと個室が並ぶ廊下の区域に入る、その一番奥の扉をノックすると男性の声。
「入りたまえ」
「Mrソウスケロホウを連れてきました」
「オー よく来たね、又トラブルに巻き込まれたとか、せっかく来てもらったのにすまないね」
「はい」
「それではすぐに移動するか」
「参りましょう」
ここからは歩きだ、建物から出るとすぐに大通りへと進み、さらに路地へと入るとカフェやレストランが並ぶ地域。
「まだ朝食は摂っていないのだろう、一緒に食事をしよう」
「あーはい」
どうやらかなり押しの強い人物の様だ。
【宗助様妨害電波らしきものが出ております】
【電波障害?超能力か?】
【可能性は高いです】
どうやら電波を操るサイキッカーは数人いるようだ、ただ音や電波、目に見えない障壁などは元の能力が何かを判断するのは難しいと言える。
周りにそれらしき人物はいない、と言う事はこの大臣の能力の可能性が高い。
そして道沿いに数分歩くと結構繁盛しているようなカフェに入って行く。
「こっちだ、私はいつもここで朝食を取るんだ、中々美味しいぞ」
「はあ…」
ここは普通のチェーン店、確かに今のチェーンカフェはコーヒーも軽食もかなり美味しいのは分かる。
それは否定しないしそれでも良いのだが、隣を歩くメアリーさんは少し顔が引きつっている。
「なんでも注文していいぞ、私がおごろう」
「ではモーニングセットで」
何でもと言われてたくさん頼むとかのサプライズは特に考えていない、別にこの店でも構わないと言うかその方がありがたい。
変なレストランに連れていかれたりして、ヴェジタリアンだからとか言われたらかえって面倒くさい。
だがメアリーさんは俺の横で文句をささやきかける。
(このおじさん何時もこうなのよ、それでいて恩に着せるのよ)
(はあ…)
「済まんね、付き合わせたみたいで…」
「いえいえ 僕は構いませんよ」
注文するとモーニングセットはすぐに運ばれて来た。
「ところで君の能力はすごいと言う話を聞いたのだが?」
「すごい?」
「ごめんなさい少し話しちゃった~」
「そ そうですか、まあ変わっているかもしれませんね」
「空も飛べるんだって?」
「まあ少しなら」
「私の能力はせいぜい人を不快にさせることぐらいだ、後は超音波かな」
「超音波?」
「ここでやるとグラスが割れるのでできないが、波長を変えれば妨害電波を出すこともできる」
「そうなんですか…なるほど」
「君のような能力が欲しかったよ、しかも彼女の能力に耐性があるなんて」
「はあ?」
「実は僕もメアリーに一度やられているのさ」
「大臣!」
「悪い 悪い、この話はだめだったか」
「過去の話はやめてください、それじゃ私が全部悪いみたいじゃないですか…」
「朝 目が覚めたら全裸でトイレにいたのが分かった時はどうしようかと思ったのだけれどね、ヤハハ」
「それは無理やりホテルへ連れていかれて襲われそうになったからです!」
要するに操られていつの間にか駅のトイレか何かに全裸で置き去りにされたと言う事らしい。
それは俺でも勘弁してほしい、まあ今なら光学迷彩でどうとでもなるが、能力が無ければその後は地獄だ。
まあその理由がメアリーさんを手籠めにしようとしたから、と言うのならば自業自得だろう。
「まあ失敗の話はこのぐらいで、日本とアメリカで開発している瞬間転送装置はいつ頃出来上がるのかね」
「はっきりした時期は分かりませんが後一月で小型の中距離転送用試作機が出来上がるようですね」
「そうか早いな、さすがジャパンの技術だ、アメリカは時間をあまり考えないからこちらが組むとしたら日本へ直接打診した方が良いかもしれないな」
「それはこちらの責任者にお任せします、既に開発の内容は僕の元から離れておりますので」
「そうなのか?全て君の持つデータだと言う話なのだが?」
「データの出どころは僕ですが、直接開発しているわけでは無いので、今の進捗具合など詳しくは分かりかねます」
「そうか、まあそういう事なら仕方がないな」
あっという間に朝食を平らげると、こちらが食べ終わると同時に次の場所へ移動するという。
「食べ終わったら次の場所へ行くよ」
「今度は何処に?」
「首相官邸だよ」
ロンドンから少し離れた場所に首相官邸がある、そこへはタクシーを利用するようだ。
本日は午前中霧が出ていたが、いつの間にか、空は晴れてきてすっかり霧も収まっている。




