仕方ない話
仕方ない話
公園には所々雪が残り、散歩道だけは雪が解けていた。
夜9時にはすでにこの場所にいる者はいないようで、ジョギングコースからも少し外れているようだ。
一応やや大きい木の根元まで移動し、そこに瞬間移動用のマーキングをして置いた。
母と百合ちゃんにせがまれた時に利用するためだが、この季節は少し寒いのが難点かもしれない。
「ところでいったいどう言う事なのかしら?」
「え~ それはメアリーさんの方がご存じなのでは?」
「知らないわよ、本部も増援よこすなんて言わなかったし…」
「第三者に漏れたと言う可能性はありますね、そうなるとあなた方SVRの情報が欲しい人たち、又は政府の情報を欲しがる他国のエージェントという筋でしょうか?」
「そうかも、それで?これはあなたの能力?」
「そうかもしれませんが?」
「ここへきてまだ教えてくれないの?」
「ええ知らない方が良いですよ、知ったら消さないといけなくなるかも…」
「嘘でしょ!」
「嘘で~ス、そこまではしないですよ、それにメアリーさんは不死者ですよね」
「何の事?」
(なんでそのことを…)
「343歳、生まれたのは1707年2月10日、エジンバラ地区」
「どうしてそれを!」
「僕の能力で知りましたよ」
「それを知って私を脅すのね…」
「ん~それって僕に何の得が有りますか?」
「お金それとも体?」
「どちらをとっても面倒なことにしかならないでしょう、僕はどうせ明日の夜には帰るのだし」
「そ そうだけど…」
「まあ それまでは、僕の邪魔にならないようにしてもらうだけだし、今回もアプリの件とSVRとの協力で来ているのだから、メアリーさんにひどい事なんてしませんよ」
「それ 信じていいの?」
「UKとEUのSVR全部を敵に回して何か良い事あるのですか?」
「ない わね…」
「そうでしょ」
「でもどうしよう、ホテルに荷物おいてきちゃったし」
「今のところ荷物は盗まれていないようですね」
「そうなの?」
「ええ部屋には誰も入ってないですね」
「どうして?もしかして部屋にカメラとか?」
「正解!」
「そうなのね…でも敵にも見張られているのでしょう、帰れないわ」
「別なホテルで部屋を取って明日戻るのはどうです?」
「この時間からでは難しいわね」
「ロンドンにネットカフェとかは?」
そこからはメアリーさんがスマホのアプリを使い近くのネカフェを検索、運よくリッチモンドの駅のそばにあるインターネットが利用できるレンタルスペースを見つけることができた。




