テロをしかけた奴
テロをしかけた奴
午後の会議どころかその後はロンドン市警へと連れられて行き、取り調べを受けると言う事になってしまった。
誰がどうしてこのような状況になっているのか教えて欲しいぐらいだ。
「それで、君の荷物の中に有ったこれはなんだ?」
「保存食ですが?」
デイバックを開けると中には20個ぐらいのカモミーメイトやサイジョイが出て来る。
一応この国でも売られている物だ。
それを何故持ってこなければならないのかと言われても、食べたいからとしか言えない。
今回連れて来たバトルフィギュアのクローム・リリーは現在バックの中ではなく光学迷彩を使用して俺の膝の上にいる。
目の前では今回のテロ事件でカタールから要請を受けこちらで取り調べると言う事になったらしい。
(ハッキングアプリのカタールバージョンは10倍出さないと提供してやんないことにしておこう)
目の前にはいかつい顔で唾を飛ばしているジョン・バルカン刑事、今回の取り調べ担当官らしい。
モリソンさんも他の取調室で事情聴取を受けている、問題なのは本日俺たちが政府の仕事場にいた事。
そして先日要人が乗る飛行機に同乗していたこと。
そこからはじき出される答えは、俺とモリソン氏がテロリストに狙われた、そしてたまたま乗り合わせたアラブの要人がとばっちりを受けたと言う、真逆な発想。
何処をどう調べたらそうなるのか、命を救ってあげてこの仕打ちには少しイラッとくる。
「それでお前はどうして政府の仕事場にいた!」
「この国に仕事を頼まれたからだよ!」
「お前みたいな東洋人が何の仕事を頼まれた?」
「宇宙人を追い返すことができるアプリの開発だよ、ボケが!」
ボケが!(英語圏だとブロークンゴッドと聞こえるかも)の所は日本語で発してみた、英語でFUCKYOUと発すると目の前のおじさんからパンチが飛んでこないとも限らない、日本じゃ相手が怒るだろうがUKで日本語を使用しても、アニメ用語ぐらいしか分からないだろう。
「コンコン」
「警部」
「なんだ?」
「USAの大統領から抗議の電話が来ています」
「なんだと?」
さすがジャクリーン大統領だ、対応がめちゃ早い。
もしかしてこうなる所をUSAのエージェントが見ていたのかもしれない。
結論から言うと約5時間で解放された、そして俺は今ロンドン市警のパトカーで本日泊るはずのホテルへと到着した。
隣にはメアリーさんが腰掛けている、一応身元引受人と言う形、モリソンさんは取り調べが済むと会議へと行ってしまった。
「すまん宗助君今日はホテルへ行って休んでくれたまえ、私はまだ用事があるので明朝 迎えに行くよ」
「はい」
「ではメアリー頼んだよ」
「おまかせ下さい」
まさかロンドン市警に連れていかれ事情聴取を受けるとか、まあテロリストがあれでは仕方がないのかもしれない。
これでUSBの受け渡しは後日に順延となったが、それがさらなる事件を呼び起こすとは、この時点では分からない事だった。
【全部話すように記憶を改竄したのが裏目に出たか…】
【もしかしたらテロリストがあまりにも正直に話したのがいけなかったかもしれませんね】
【時間を省くと言う気使いの行為が要らないお節介になったわけだな】
あまりにも早く事件が解決し、取り調べで全て白状するテロリスト、通常ならば自分がやりましたと簡単に白状する悪人などいるわけがない。
それに彼らがどうして逃げなかったのか?と言う事まで不審に思われてしまったのだろう。
その事がテロリストの対象がアラブの要人ではないのでは?という事に繋がったらしい。
確かにある意味アラブの要人より俺とモリソン氏の方が世界を動かすようなことをしていると言えなくはない。
後でジャクリーン大統領にはお礼を言わないといけなくなったのが少し残念だ、また何を要求してくるかわかったものじゃない。




