ヒースロー空港
ヒースロー空港
乗り換えの飛行機が来て数時間、予定より4時間遅れたが無事にロンドンのヒースロー空港へと降り立つことができた。
ロビーには先日横浜で会ったことがあるUKサバイバー2名が出迎えており、何故か彼らの一人、UKサバイバーであるマーサの家に俺だけ泊ることになった。
何故?モリソン氏は、基本貴族であり国の仕事を担っていたりもする。
そして到着するなり、こう告げられた…
「すまない今日私には首相と会う約束があるんだ、後日君にも同席してもらうがその準備もあるから今日はマーサの家に泊ってくれ、ちなみに彼女の娘も17歳だ、仲良くな」
マーサ・コールマンはUKのサバイバー、確か40歳と伺っている。
勿論先ほどまでは娘がいるとも結婚しているとも聞いてはいない、だが横浜で俺が事情を説明した時には同席していたことも有り。
彼女の印象は背の高い綺麗な叔母さんとしか見えていなかった、同席していた男性は旦那でもなくサバイバーの仲間達。
勿論彼女はサバイバーとして日本に来ていたことはUKに住む夫も承知の事らしい。
ちなみに旦那さんの親族にもUKサバイバーが多いと言う。
マーサさん、身長は180センチ近くあり中々の体格だったのは覚えている。
「こっちよ」
空港からはタクシーに乗り約30分、テムズ川に沿って道路を進むと同じような戸建ての家が立ち並ぶ地区。
タクシーから見える風景は何処か古臭く感じたが、アメリカとは趣が違う歴史のある建物が多く、西洋風の建物が軒を連ねている。
「着いたわ、ここよ」
「マミーお帰りなさい」
「はーい、ミランダ」
「そちらの男の子ね」
「ハウアーユー、マイネームイズソウスケロホウ」
「ナイスチューミーチューマイネームイズミランダコールマン」
「聞いているわ、どうぞ中に入ってウェルカム」
ウォルトンレーン地区の戸建て、どの家も庭と車庫が有る、しかも車庫は映画で見たことがある上に扉が開いて行く自動式の奴だ。
「マミー、お土産は?」
「今回のお土産は彼だけよ」
「フォワット」
「嘘よ、これ開けて良いわよ」
「やった!」
そう言ってウインクするマーサ、最近はこういうシチュエーションでも驚かなくなったのだが、俺に何をしろと言うのだろうか?
ミランダはお土産の袋を開けながら俺に話しかけて来る。
「あなたがそうなのね」
「なんのこと?」
「隠さなくても良いわよ、全部知っているから」
「ああ 娘の能力は魅了と看破だから」
マーサはシレッと、娘の能力を暴露する。
それは宗助が今まで隠していたことが全部筒抜けになると言う事に他ならない。
だがミランダは俺の口に人差し指を当てて、こう言い放った。
「だれにも話さないから安心して、私の能力は知っても話せないのよ」
看破と魅了、問題なのは看破だが、その能力にはメリットだけではなくデメリットも付帯していると言う。
彼女の看破能力は鑑定とは違い相手の考えや能力は知ることはできても、それを他人に話すと記憶から無くなって行くと言う。
つまり、記憶の書き込みはできても書き出しはできないと言う事。
何故そういう能力なのかは分からないが、宗助の能力を使用すれば彼女の記憶を少し覗くことができるだろう、但し彼女にとってそれが良くない事なのではと感じるのは、もしかして第六勘と言うやつなのかもしれない。
過ぎたるは及ばざるがごとし、彼女の記憶にある能力者達のデータはもしかしたら覗いてはいけないパンドラの箱なのかもしれない。
【話しても構わないと言う事は、知るとこちらにもデメリットがあるかもしれないと言う事か?】
【可能性としては、こちらの記憶も消される能力でしょうか?】
【うむむ、ロボ化しても内容は見れないとか、改竄もできない訳か?】
【いいえ、一部なら可能かと】
【もしかして他人の情報と自分の情報を分離できたりする?】
【はいそこはお任せください、ですが重要な部分は私でも消される可能性がございます】
【その時が来てもそこはスルーしておこう】
【かしこまりました】
「ここに座って」
「あ はい」
「あ~ 君だれ?」
「彼は日本から来たソウスケロホウ君、こっちは弟のミシェル・コールマン」
「ああ よろしく」
「こちらこそ」
ミシェル・コールマンは15歳、まさか呂方家と家族構成が丸被りしているとは。
しかもイケメンのうえ身長は俺とほぼ同じ175センチ、多分まだまだ背は伸びるのだろう。
ミランダの身長は俺より高かったのだから。
「彼は今日うちに泊まるから、2人で用意して」
「イエスマム」
平屋建ての家は思ったより広く、アメリカと同じように地下室が有ったりする。
兄妹の部屋は一応別々で、その部屋の隣に来客用の部屋があり、すでにベッドにはシーツが敷かれていた。
UKの1月は当然のことながら結構寒く、この時期は雪に覆われている。
暖炉は遠赤外線で暖房するタイプらしい、各部屋には温水暖房が敷かれている、こちらも電気式だ。




