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UKへ

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数日後、俺はモリソン氏と一緒に成田へと向かう。


「すまないねわざわざ学校まで休ませてしまって」

「いえいえ、まだ高校2年ですから今のうちならまだ受験には響きませんし大丈夫ですよ」

「うちの娘も行きたがっていたのだがね…」

「来週からセンター試験ですからそれは難しいですよね」

「UKの大学に行っても良いのだが、それは嫌だと言われてしまったからね~」

「そういう手も有るんですね、フムフム」

「ちなみに私もケンブリッジを出てはいるんだがね」

「ヤッパリ、そんな感じがしていました」

「私の研究は瞬間移動だったんだけどね~」


そう言ってこちらを向きニヤッと微笑む、まさかおれの使える能力がばれたとは思えないが。

確かにその装置を作る設計図の出どころは俺なわけで、モリソン氏は何かその装置に対して因縁らしきものがありそうだ。


「シュー」

「成田―成田―」

「さてここからは少し歩くようだな」


京成成田線で直接成田空港へと到着する、第一旅客ターミナルまでは歩いて数分。

今回も前回アメリカに行った時と同じようにデイバックには新しく手に入れたクロームリリーの30センチバージョンを連れてきている。

今回はリリーさんの専用ボディー2号として使用できるように設定してある。


【それではトイレから又壁伝いに移動してくれ】

【了解しました】


第一ターミナルから、出発するのは直行便ではないらしい。

航路は一時南へと南下するがそこからは太平洋上を経てインド洋を経てカタール経由でロンドンのヒースロー空港へと行く便に搭乗するみたいだ。


「この時間からだと一度乗り継ぐ便しか無かったので我慢してくれるかな?」

「それは構いません」


木曜日の午後8時、向こうへ着くのは18時間後、時間より座席のグレードを優先したようだ。

荷物はまたもやデイバックのみなので手荷物として登録し、時間が来たらそのまま搭乗ゲートへ。

俺達を乗せた旅客機は数分後大空へと飛び立った、経由地が少し心配だったが。

それを指摘したところで何も変わらないし、この時は問題ないと思っていたのだが…

まさかエンジントラブルで足止めを喰らうとは思ってもみなかった。

12時間後…


「当機はエンジントラブルの為、代替えの便が用意されるまでしばらくお待ちください」英語

「まさかこうなるとは…」

「こういうことはよくあるんですか?」

「めったにないのだがね…来る途中に乱気流に見舞われたのであれが原因だと思うよ」


確かに少し揺れた時があった太平洋上を通過する際、低気圧の影響で少し揺れたのは確かだ。

これが点検だけで済めば良いが完全に故障してしまえば別の旅客機に乗り換えなければならない。

今回この旅客機に乗っているのは145人、200人乗りの旅客機なので同タイプ以上の旅客機でなければ全員が乗り換える事が出来ない。


「瞬間移動でロンドンに行ければ楽なんですけどね」

「すまんね、私にそこまでの力は無いんだよ」

「そうなんですね」

「君も同じような力があるんじゃないのかな?」

「あればここにいないでしょう」

「…そうかな?僕は君には場所の特定さえできればどこにでも移動できる力があると思ったのだけどね」

「まさか~ハハハ」

「中々君も曲者みたいだね」

「モリソンさんこそ」

「ドガンッ!」


その時突然大きな物音がして旅客機の屋根が吹き取んだ。


「オ~ノ~」

「キャー」


なぜこうなったのかは俺にもわからない、まさかこの旅客機めがけてミサイル攻撃をする輩がいるとは思ってもみなかった。


「モリソンさん、緊急なので言う事を聞いてください」

「な なんだね?」

「逃げましょう」

「分かった え?宗助君?どこだ?」


俺は2発目のミサイルを打たれる前に荷物を手に行動に出ることにした。

旅客機の屋根がはがれるだけで済んだのは、俺がロボ化で機体を強化しておいたからだ。

本来ならば真ん中から爆発し真っ二つに折れて、そのまま炎上していたことだろう。

光学迷彩機能を使用して大きくあいた天井の穴から飛び出すと、ミサイルが発射されたであろう場所から伸びてきている煙の跡を追う。

案の定そこにはピックアップトラック一台と2名のアラブ人の姿、片手にはロケット砲の2発目を手にして今にも発射するところだ。

まずは手に持ったロケット砲を粉々に砕く。


「ヒュー ズン ズシャ!グシャ」

「ウワー」

「バゴン!ズシン!」


次にピックアップトラックのボンネットがグシャグシャに凹む、そして同時に水蒸気が立ち上がる。

俺は彼らの肩に触れながらスキルロボを有効化する。


「ナンダ?ドウシタ?」

「ワカラナイ、コレデハニゲラレナイ」

【スキルロボ】

【リリーさん何か分かった?】

【中東のテロ組織の様です、狙われたのは私達では無いようです】

【そういえばそれらしき人が数人乗っていたような…】

【それよりも困りましたね、これでは大きくニュースに出てしまうかもしれません】

【皆に心配かけちゃいそうだな…】

【この2人どうします?】

【正直者にしておこう、二度と殺人テロなんてできないように変更よろしく!】

【かしこまりました】


数分で敵らしき馬鹿者2名を無力化し、そのまま飛行機から降りて来る人たちが避難して行く行列に加わり監視カメラの陰に隠れてこっそり光学迷彩を解く。


「あ 宗助君!」

「いたいた見つけた!」

「見つけたじゃないよ!どこに行っていたのかね?」

「あ~…あそこ見て!」

「ん?煙」

「仕事を少しね」

「まさか、君がやったのか?」

「さ~何のことでしょう?僕は知りませんよ、多分誰かが守ってくれたのでは?」

「…そうか今はそういう事にしておこう」


当然この事故はニュースになったが、ミサイルで狙われた要人を乗せた旅客機。

その爆発が屋根を吹き飛ばしただけで済んだのは奇跡だと言う話になった。

勿論要人も他の乗客も、せいぜい擦り傷ぐらいで済んだのだから軌跡と言うしか言い表す言葉が無かった。


【そうちゃん!無事なの?】

【無事だよ~モリソンさんも無事だから安心して】

【良かった!まさか巻き込まれるなんて~】

【宗助君!】

【あ 百合ちゃん、ごめんね心配かけて~】

【心配だけど、多分大丈夫だと信じてたから】

【少し予定が狂いそうだけど、後2時間で代替え便が用意されるからロンドンに着いたらすぐにまた連絡入れるよ】

【待ってるね】


まさかテロリストに狙われている要人が乗客にいたと言うのはサプライズにしても悪趣味だとしか思えない。

まさかモリソン氏が知っていてこの機を選んだとは思いたくないが、なにせ超能力と言う物がどこまで常識の範疇からかけ離れているのか、俺にはまだ入り口しか確認できていなかったとは…この後徐々に知る事となる。


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