隠すことにした
隠すことにした
年が明けて、呂方一家は新しい家へと引っ越しを始めた。
昨年の暮れに惑星RIZへ4回目の訪問を行った際、流れに任せて宇宙人達の住む星を統治しているマザーコンピューターを配下化することに成功した、そして内容を大幅に変更させたのだ。
だが…
そうなると地球から惑星RIZへ行かなければならない理由が大幅に変わって来る。
まさか自衛隊の司令官やアメリカの大統領に「全部うまくやっておきました、もう攻めてこないでしょうから」なんて言った所でそれを信じるものなどいないだろう。
自分から早く惑星間転移装置が必要だと言っておいて、もういらなくなりましたで済むはずがない。
その理由もそして誰がそうしたのかも話さなければならなくなる。
結果として宗助も、そして宗助の母も嘘をつかなくてはいけなくなってしまった。
まあ嘘をつくと言うより本当の事を話さないと言う事にしただけなのだが…
その結果が何故かうまい具合に他国の戦争と言う諍いに歯止めを掛けることになって行く。
要するに宇宙人が攻めてくるかもしれないのに争っている場合か?ということだ。
若干それでも自国の領土を広げようと言うアホもいるのだが、周りの国が協力しなくなったことで何故か地球はやや平穏な時を取り戻すことになった。
それがたった一人の日本人のせいだとは誰もが思うまい。
「おはよ~」
「昨日は大変だったね」
「まさか2階に入れる家具が入らないとはね」
良くある話だ、ちゃんと数値も図って用意した家具なのだが、特にタンス類がやはり搬入することができず、今も1階リビングに置いてあったりする。
「まさか階段の間口で通らないなんて…」
「しかたないよ」
【あとで外から入れてみよう】
【その手が使えるのね】
【一応光学迷彩機能はオンにしないとだめだけどね】
3階建ての新築、2階から3階の間には吹き抜けがあり、そこから中へ入れる事は可能だ。
但し真上から3階ベランダへ降ろさなければならず、通常ならばクレーンを使用しなければ搬入できない。
【それって一人でできそう?】
【バトルフィギュアの皆に手伝ってもらうよ】
宗助だけだとエアサイクロンエンジンの出力は結構な風力になり、もしかすると風圧で窓ガラスにヒビが入る可能性もある。
フィギュア達の力で風力を分散させれば勢いを緩やかにすることが可能になり、搬入するのが楽になるだろう。
朱里や平太がいたならばもっと楽に運ぶことができるのだが。
昨年暮れに2名は惑星RIZのオブサーバー的な役割を担ってもらうことになり、思ったより早めの帰郷と言う形になった。
まさか殲滅部隊との戦いから一気にマザーコンピューターの洗脳そして配下化まで進んでしまうとは思ってもみなかった。
そんなドタバタの中、俺は超越者達に約束をしている。
勿論又惑星RIZへ行くと言う事、それも最低月1回。
その度に仮想エアクリーナーを各地に増設して行く事、そして進捗具合を見て彼らの生活を今後どのようにしていくかの相談に乗ること等々。
勿論、その時には母も連れて行くことにしている、多分そうしなければ母は怒って今後の食事が無くなる可能性もあり得るだろう。
問題は今も黙って見ている百合ちゃんが今後どう参加して来るかなのだが…
「じゃあ今日はここまでね」
「あ~疲れた」
家具の搬入と位置決めが済み、3階から愛菜が下りて来た。
「残りは何時?」
「又明日荷物が来る予定よ」
「そっか 明日はママ一人でやるの?」
「そうよ、だって明日から皆、学校でしょ」
本日は1月9日いつの間にか成人式が第2月曜日になった為、始業式は一月十日の明日から。
昔は一月十五日が成人式だったらしい、だがあまりにも天候が悪い成人式が続いた為第2月曜に変更になったと言う。
そして来週の土日はなんとUKへと行かなければならなくなっていた。




