閑話 アイリーン
閑話 アイリーン
「ちーす」
「あ モモちゃん久しぶり」
「どうだったこないだ」
「特に何もないわよ」
「え~つまんない~」
「だって宗助君、彼女は作らないって言うんだもん」
「そんなの嘘に決まってるじゃん」
「宗助君が嘘つくと思う?」
「う~ん、つかないか…」
「モモちゃんと違うし」
「え~私が何時嘘ついたよ~」
「こないだ収録の日に遊びに行ったら別な場所教えたじゃん」
「あ~あれはごめん、推しメンとの収録だったから不安要素をなくすためにちょっとね」
「不安要素って何よ!」
「アイちゃん連れて行くと推しメン全部そっちに行っちゃうでしょ~」
「え~?そうなる?」
「まったく、そういうとこは天然だよね~」
「ん?そういえば最近事務所に来る回数減ったね」
「まあ そうかもしれんけど」
「もしかしていい人できた?」
「ないない、いい人出来たらすぐ週刊誌に載っちゃうじゃん」
「あやしいな~」
「それよりさ、SVRの方はどんな感じ?」
「今、父とUKのSVRで協議中だよ」
「じゃあそのうちUKからSVRがたくさん来るかもしれないんだね」
「日本の外務省が中間に入るから詳しいことはまだ分からないみたいよ」
「そうなんだ」
「それよりCD出すんでしょ」
「そうそう来週発売しちゃうよ~ん」
「そういえばアイちゃんも又コマーシャル出るんでしょ」
「そうなのよ、今度は旅行会社のCM」
「いいな~それってロケ行くんでしょ」
「うん、まだ場所は決まってないんだけどね」
国生アイリーンは今季売りだし中のタレントの中では断トツの集客率を誇っている。
先日の水着ロケを断ったことでそのギャラは倍に跳ね上がった。
近いうちにバラエティ番組からのオファーが入っているのだが、今のところそれはお断りしている。
今は恋、いや受験で忙しいとき、そんなときにお茶の間へと顔を出すのは同じ受験生に対して印象が悪いと言う話。
本人もそこそこ有名な大学を狙っている為この冬は学業中心にならざるを得ない。
「あ そうそうこないだリュウちゃんがバックダンサーでPV撮ったんだけどさ、言ってたよアイリーンは来ないのかって」
「行くわけないじゃん、ダンサーじゃないし」
「言っといたよ、会いたいならアイちゃんと同じ大学受けるんだねって」
「それは難しいかも…」
「ところで大学何処受けんの?」
「Z大とAO大、もしくはY大かな~」
「全部一流どころじゃん」
「一応成績は良いからね、エッヘン!」
「あたしも大学いこうかな~」
「そうしなよ、タレントや歌手でも学歴あった方が良いと思うよ」
「考えとくよ」
「そいでさ、話は変わるんだけど、最近後付けられている気がすんだけど…」
「あ~多分私かな…」
「それってストーカー?」
「それも有るけど、宗助君のスキル ぽいよ」
「マジ?」
「彼は最低3つ以上能力があると思う、私の勘」
「それはあるかもね」
「あの映像を偽装するスキルも、私の能力を当てるスキルも、そして私を虜にするスキルも」
「それはスキルとちゃうんじゃない?」
「そうかな~」
「まあいいや確かに一つじゃないとは思うし」
「でしょでしょ!」
「私も早く彼氏見つけなきゃ」
「そんな暇ないんでしょ」
「ギクッ!」
「そうなんだよね~青春って酷よね~」
「なにそれ?」
「あははは…」
ある日の2人の会話、普通の女子の会話なのだが、もっと突っ込んだ話を期待しているのなら、それはあまりにもリアルすぎる。
そういう話は真面目なアイリーンや百合奈にはまだ先の話。
桃ちゃんもそれほど破天荒ではない、できれば彼氏は作りたいがそっちにのめり込みたいとは思っていない。
但しこの後モモも大学へと進学したりする、良いよね~今は一芸入学と言う物があるのだから。




