新生マザー
新生マザー
マザーの持つ管理権限はそのままに、俺とリリーが各所に変更を加える。
生き方を徐々に変えるにもその計画を段階的に練らなければいけない。
彼らがすぐに変わるかどうかは分からないが、マザーがこれからも主導することに変わりはない。
但し、人が生きる術は人の物だ、その部分で自由を持たせるためにはこの惑星に住む一人一人が意思を持ち自分で行動を決めることが必要になる。
その指導を超越者達にも頼むことになるが、彼ら超越者達は宗助の提案を喜んで引き受けてくれた。
【宗助様、私の意思をマザーに植え付けましたので、この星はこれから徐々に地球の開拓タイプに移行します】
【これからリリーさんとマザーはどういう関係になる?】
【私が母でマザーが娘になります、人族の歴史的データはこちらの方が古いようです】
【そうなんだ】(そういう物なのか…)
【過去の歴史は変えられませんので、しっかり覚えておくことをお勧めします】
【そうちゃんもう帰らないと】母
【え?もう5時かやばいな】
《それじゃロボ化を解いてしまおう》
《後はお任せください主》マザー
《そうなるんだ、任せた》
司令塔から出ると連れて来たバトルフィギュアを駆使してこれまでにロボ化した宇宙人全員のロボ化を解除する。
俺のスキルを使い殲滅部隊のすぐ近くに瞬間移動して全員のロボ化を解除。
すぐに新生マザーから殲滅部隊の兵士全員に帰還命令を出してもらうとともに、超越者達を幹部として向かい入れるように命令することに、超越者達を上級市民相当としての扱いに変更すれば、今までのような郊外の廃棄施設に住むことも無くなる。
アーロンには引き続き超越者達のまとめ役をお願いし、彼にはマザー付き管理官の地位も付与して置く事にした。
一応ロボ化した人たち全員には俺やマザーへの攻撃はできないようにしておいたが、多分そんなに心配することも無いだろう。
彼らは今までマザーの言う事が絶対で暮らしてきたのだ、これからもそれは変わらない。
ただ、今までよりほんの少し人間らしく暮らせるようになって行くものと俺は考えている。
【宗助様マザーの指令を確認したところ10艘ほど地球へ攻撃戦艦を送っているようです】
【それは戻せないのか?】
【お待ちください】
【帰還命令を出しました、数日中に帰還します】
【帰還する399艘の戦艦も自爆を止めないといけないな、せっかくマザーの記憶を改竄してこれから地球を攻撃しないようにしたのに、今更爆発させても意味がなくなったからな】
【かしこまりました、攻撃艦の指令を変更し自爆をストップ、通常帰還に設定変更しておきます】
【指令完了しました数日中に攻撃戦艦へ命令データが届きます】
【これで全部終わりか?】
【あとは地球側の転移装置が出来上がってからになります】
後の事をアーロンや朱里と平太、そして傘下に編入されたコンピューターのマザーに任せ慌てて地球へと帰還する。
早く帰らないと父の出勤時間に間に合わない。
【全員そろったか?】
【はい宗助様全員揃いました】
【それじゃ一度大気圏外へ出るぞ】
【待って宗ちゃん】
そう言うと母は朱里と平太を強く抱きしめた。
「ギュ」
《あ!》
《いつでも遊びに来てね》
《ママ様…》
《母上》
そして又俺の側に戻り彼らに手を振る、これからこの星がどうなるのかは俺にもわからない。
数か月後には地球製の惑星転移装置が出来上がり、惑星間転移の実験が行われるだろう。
多分最初の転移は地球上で行われ、その次に月そして火星へと距離を伸ばして行くに違いない。
機械式の転移装置では最初に同じものを2つ作らなければいけないのがみそだが、一度成功してしまえばそう難しくは無いだろう。
なにせ俺の父がプロジェクトに加わっているのだから。
惑星からのSOS 完




