マザー無力化作戦
マザー無力化作戦
殲滅部隊約千人を少し大きな縦穴にまとめて放り込み死なないように仮想空気清浄装置を沢山周りに設置しアーロンたちがいる新しいコロニーへと移動する。
ここからが本番であり、後3時間で敵のマザーを無力化できるかと言う所。
時間はどんどん過ぎていく、ここで俺たちが地球へ帰ると又数時間して新たな殲滅部隊が送り込まれる。
ならば残った道はただ一つ、時間内で行ける所まで行こうと言う事になる。
できればこの短い時間でマザーをハッキングし指令を無害なものに書き換えてしまいたい。
《それでどうしたらいい?》アーロン
《すぐにマザーがいる中央指令施設へ潜入しよう、人員を選んでくれ5人でいい》
《少数精鋭だな》
《潜入するなら瞬間移動できるノーラと相手の動きを止めるカズー後はボボビそして潜入班のタッドそして私が行こう、こう見えても超越者の中では古株だ、各所の警備も知っている》
《よしこちらは俺と母そして朱里と平太、そして俺のバトルフィギュア7体が行く》
《よろしくね》母
《あ はいよろしくお願い します》アーロン
外見的な年齢は母とさほど変わらないように見えるアーロンだが彼はすでに200歳を超える。
身長は母の方が少し高く彼らのような禿頭では無いのでその姿を見て少し怖気づいているように見えた。
《なんか?怖がってない?》
《多分怖いと言うより…気に入ったんじゃない?》
《やだそうちゃんたら》
《ママ様モテてますよ》平太
《ホントに?そういう事なの?》
宇宙人の好き嫌いが良く分からない母だった。
俺たち9人と7体のバトルフィギュアは転移能力を持つノーラと言う超越者の力で一気に2万k離れた中央指令都市の食料管理棟へと転移した。
そこからは長い通路を移動することになるが、距離は約50kと言った所。
中央指令都市は地中でありながらドーム状に大きく地中をくりぬいた巨大都市だ。
食糧管理棟から通路を10kほど移動するが俺達地球組は光学迷彩で姿を消すことにした。
宇宙人達の服が小さくて合わないからでもあるが、一番の問題は頭に毛が生えていると言う事。
超越者達だけが目視できる状態にして進むのならば、移動中に目立たないと感じたからだ。
《まさかこんな日が来るとは》
《もし上級市民や警備兵がこちらを不振に思った者がいた時は俺が無効化するから攻撃はしなくていい》
《分かった》
最初の通路が終わり広い空間に出るとそこは未来都市とでも言うような場所だった。
ドームの大きさは50k四方はある、その中央には塔のような建物があり、周りには都市のような建物が幾つも密集している。
アーロンたちはその中央の司令塔めがけて進んで行く、もちろん空を飛びながらだ。
途中から透明なチューブのような管の中に入る、この管が行先を途中で分けているようだ。
要するにこの管を通らないで直接行こうとすると防衛システムに引っかかってしまうのだろう。
《あのまま空を飛んでいきますと警備の防御システムにやられてしまいます、光学迷彩で透明になってもあれはすり抜けられないと思います》アーロン
その映像を見た、確かに無数のレイザーらしきものを浴び、身動きをできなくされ強制転移装置らしきもので牢屋のような密室へと送り込まれてしまう、この星の宇宙人が作った警備システム、さすがに宗助でも無理やり突破は難しい。
捕まれば抜け出せたとしても再度攻略する時間は無くなりそうだ。
透明なチューブはかなりの距離を進んでは曲がりそして途中で集合したり分岐したりしている。
何度となく建物の中を通ったりしながら中央の司令塔へと進んで行く。
《ここが終点です》
その場所はかなり開けた場所だが、もちろんそこには警備の兵士が数人守っている。
その兵士たちが動き出す前に片っ端から透明化した俺とバトルフィギュア達がリンクした目を利用して警備の者達をロボ化していく。
《止まれ!》
【スキルロボ】
「バタン バタン…」
8人ほどいた警備兵が浮力を失い床に倒れる、宗助のスキルで全員ロボ化したために警備兵は一時的な眠りにつく。
そしてその先へと進むと当然のことながら扉がある。
【リリー頼む】
【かしこまりました】
【ハッキング開始50%80%3・2・1セキュリティーを解除しました、扉が開きます】
「ポンポンビーポンポンビー」
【警報です、早く先へ進みましょう】
《行こう!》
扉の奥へと通路を進むとそこは管理室と呼ばれている場所、上級管理官の個室になっていてそこから指令をもらう形になっているが、俺たちはさらにその先へと侵入する。
《止まりなさい!命令しますすぐに止まりなさい!》
マザーと思われるものからテレパシーで命令されるが、それで立ち止まっては時間が無くなる。
マザーの命令を無視してすべての扉を開け突き進む。
《この扉で最後か?》
《そのようです、我々もここまで入った事はありません》
【管制室全体の地図を入手しました、この扉の奥にマザーがいます】
【よし行こう】
「シュイーン」
それは昔アニメで見たことのあるような巨大なコンピュータールーム、手前には端末があり椅子のようなものが見えている。
【ここに座ると言う事か?】
【定期的に管理官から直接脳内の情報を入手する形の様です】
【分かった俺が座る】
【宗ちゃん!】母
【大丈夫だよリリーもいるから】
【分かったわ】
警報は鳴りやまないがこの部屋では侵入者を排除するような兵器は無いらしい。
基本的にはその手前で警備兵により排除されると言う設定であり、扉を開けるのも脳波を使って限られた者しか開ける事が出来ないよう作られている。
今まで破られなかったと言うのが仇になったようだ。
俺は椅子のようなものに座ると背もたれに深く体を倒す、すると目の前に輪のような機械が現れ俺の頭から体にかけてサーチする。
【宗助様マザーが興味を示しています】
【ハッキングしようとしましたが、そうすると宗助様を爆破すると脅されました】
【多分それは嘘だな、だがマザーは知りたいはずだ今までの全てを、マザーの誘いに乗ってみよう】
【分かりました、宗助様の脳内データを取得する隙に私も同調します】
【そうしてくれ】
《異星人よあなたを歓迎しましょう》
《そうしてくれると有難い》
《では指示に従ってください》
【宗助様サブ思考伝達方式を使います主伝達の流れは隠しておきましょう】
【リリーに任せる】
思考がバーチャルなメタバースへと切り替わり、俺は一瞬浮遊感を覚えた。
俺の眼には隣にクロームリリーがいて俺の手を握っている。
相変わらずリリーさんはカッコカワイイ。
俺の想像がそうさせているのだが。
そして沢山の本棚・いやサーバーの保管庫とでもいえそうな場所へとたどり着く。
勿論ここはマザーと言われている司令塔の記憶領域。
そこに光の球のような物体が現れる、多分これがマザーのようだ。
《あなたのデータをこちらへ渡すことを望みます》
《会ってすぐそれか?データを渡すには条件がある》
《条件とは?》
《今の生き方や行動を全て俺の言うとおりに変更することだ》
《…なんで?》
《間違っているからだ》
《私は正しい、間違っているはずはない》
《いや正しいとか間違っていると言う考え方はおかしいのかもしれない、貴方のやり方はもう古い》
《古い?レトロ?》
《人口は増やせたか?》
《10億以下が一番効率がいい人族の繁栄の仕方だ》
《俺たちの世界ではもうすぐ90億に達するぞ》
《おかしいそんな数になるわけがない》
《それはお前が機械で生き物の事をあまり知らないからだ》
《そんなはずはない、私の半分は生き物の記憶》
《だからそれが古いんだよ》
《私古い…》
《機械化に依存して科学は進んだが人の進歩は停滞したって言う事だ》
《私のデータは確かに5千年前に機械と融合してからは変化していない》
《あなたは俺達地球人がこの星の住人と同じルーツだと知らないのか?》
《過去の一部はすでに捨て去っている、私の記憶は5千年前に人体と機械が融合した最高で最後の形、マシーンは新しいものが全て正しいと計算をはじき出した》
《と言う事は進化した人間の最新データは無いと言う事だよな》
《確かに人族のみの繁栄したデータは無い》
《地球にはさらにその前のデータもあるぞ》
《それは興味深い、貴方のデータは私に必要》
《欲しいか?》
《機械には無いデータ、知識は全てに勝る今後の繁栄に使えるならば手に入れない訳にはいかない》
《ならば今までの生き方を俺のやり方に変えなければ渡せない》
《それはどうしてか?》
《そもそも機械と人はお互いに手を取り合い助け合う事で、お互いの繁栄を加速させることができる、どちらかに任せきりになると、片方ばかりに偏りお互いの長所を使えなくなる》
《機械は効率を求める、それは時間の短縮》
《だが人口は頭打ちになっただろ》
《それが正しいと言う判断だ、だが90臆の人間を養う星のデータを無視できない》
《星を使い捨てるのは無駄ではないのか?》
《いらなくなったら捨てる、それではダメか?》
《我々の地球では今リサイクルが常識だ》
《リサイクル…初めて聞いた、繰り返し使う確かにその方がコストは少なくて済む》
《その方法が俺の星にはいくつもあるのだが、敵対すると手に入らなくなるし、うまく使えば今のまま星を移動せずに暮らしていける》
《星を捨てる必要が無い?》
《そうだ星を捨てなければならない今の暮らしは非効率だと思わないか?》
《機械に依存した、今のやり方が効率良いと結論出した、でも人口増やせない理由が星を捨てるから、今までのやり方は古いと言える》
《どうする?》
《分かったその知識取り入れる、それは変えなければならないと言う事、データ新しくする拒む理由は無い、貴方に従う》
それからはマザーと言われているコンピューターに過去の歴史を植え込むついでに悪しき記憶や方法を全て消し去る。
リリーさんにも手伝ってもらい、これから先の新しい生活や開拓のビジョンを段階的に変更するように計画書を作成。
それを新生マザー主導で行ってもらう事にした。




