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母の秘密

母の秘密


10分ほどの道のりを歩き小学校へと到着する、体育館の中に入ると安堵したように顔を綻ろばせる母と妹。


「パパ~~」

「あなた」

「2人とも無事か!」


衣装箱を置き3人で抱き合う、一時の幸せを俺も噛み締めていた。


「それじゃお仕事無くなったの?」

「とりあえず今回は中止だな、準備に時間かかったんだがな~」

「仕方ないわよ、都心も大変だったでしょう?」

「ああ電車は止まっていたから部下の車に乗せてもらったんだ」

「それでも良く戻って来れたわね」

「たまたまだ駅の周辺はそれほど被害が無かったからな」

「ああそう言えば幹線道路の方が被害が多かったみたいだね」

「降り立つのに広い場所を狙ったのかもな」

「父さんあいつらの検討はついてるの?」

「いやいくらそっち方面に少しは詳しくてもあれが何なのかすら見当も付かないよ」

「そうだよね」

「後でそっち方面の知り合いに聞いてみるけどね」


「ああそれよりこれから住む所なんだが…」

「あなたそれなら私のマンションにしましょう」

「え?だがあそこは人に貸してたんじゃないか?」

「他にもあるのよ、今はスマホ使えないから、復旧したら電話かけてみるわ」


母は元作家いや今でも作家なのかな、で普段は専業主婦にしか見えない。

俺達兄妹の前では一切作家活動を見せないからだが、どのぐらい売れっ子だったのかすら家族には秘密みたいだ。

その日は家族4人、小学校の体育館で川の字になって寝る事になった、時折妹のトイレにつきあえという、すがるような言葉に起こされたりしたが。

それ以外は大して苦にはならなかった、母からはその後も脳内通信で今後の事をやり取りした。


【宗ちゃん、この事は内緒よね】

【話したらやばいでしょ】

【そうよね、2人の秘密ね】

【ああそうなるよね】

【分かったわ】

【それより母さん、マンションって?】

【あ~それなんだけど小説が売れていた頃にね、結構貯めたお金で財テクって言うのかな、色んな場所のマンションを買っておいたのよ】

【ふ~ん】

【たぶん3箇所ぐらいは空きがあると思うからそこに入居依頼出しておけば明日からでも住むことができるわ】

【母さんってもしかして金持ち?】

【違うわよ~だから贅沢して無いでしょ】

【そうだけど】

【若い頃少し儲かっただけよ】

【いくら?】

【10ぐらいかな~】

【10って?】

【そんな事いくらでもいいじゃない】


それから後はロボスキルの話しに終始した。


【宗ちゃん、大体上手く動くようになったけど、大丈夫なのかしら?】

【何が?】

【これって私ロボットになったという事かしら?】

【解除も出来るよ、戻してみる?】

【怪我も元に戻っちゃうの?】

【いいやちゃんと直った状態で元通りになるよ】

【そうなのね、でもまだいいわ、このままだと怪我しないのよね】

【うん怪我どころか車にはねられても無傷でいられるはず】

【もしかして歳も取らないのかしら?】

【そうなるね】

【やっぱり…じゃあこのままでいいわ】


この時母の顔は満面の笑みを浮かべていた、確かにこのままロボ化を設定したまま置いておけば母の外見はずっとそのまま変わらずにいられる、女性ならば誰もが憧れる不老不死。

若干歳は取ってはいるがそれでもまだ同じ歳のおば様達よりは若く見られる42歳、時折お姉さんと声をかけられる度に、母がウキウキスキップしそうになる事を俺は知っている。

分からなくもないが、だから前は俺を買い物に連れて行くことが多かった、その理由は兄弟だと思われるからなのだ。

俺はその時ほぼ荷物持ちになるのだが、知り合いに合うたびに話しかけてしまうので最近俺は母と買い物に行くのを極力避けている。

もしかしたら俺に避けられてるのを知って、愛菜を誘って買い物に行き始めたのかも知れない。

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