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滞在時間

滞在時間


12月11日(日)本来は土曜日の予定だが一日40時間計算の惑星リズで日本時間の日曜日でも予定時間内となる、今日は愛菜がクラブの練習と言う事で朝早くから出かけており。

父は先日、科学技術庁から請け負ったエネルギー開発のプロジェクトを進める為休日出勤となった。

百合ちゃんは委員長と買い物へ行くと言う、俺も最初誘われたが用事が有ると断っておいた。

アイリーンは先週の日曜日以降、自分の能力を訓練すべく妹相手に練習しているようだ。

妹のエミリアちゃんも姉と一緒にその能力に磨きをかけている。

モリソンさんは今UKに帰っていて、UK政府と話し合っている、今後UK政府としてもサバイバーとの協力を得て、宇宙人対策を本格的に進めて行こうと言う話だ。

CNの諜報部員は相変わらず俺たちの家族に目を付けてはいるが、リリーたちを使ってその行動を監視している為、表立って何かしようとはしていない。

但し、それが何時変更されるかは分からないと言った所だ、先日もスーパーへと買い物に行った際、数人のエージェントが尾行しているのを確認している。

玲蘭はもしかしたら役割を下ろされたのではと思う、一応洋子さんからメールで文句を言われた。

(もう~私達下ろされちゃったんだからね!もっといい情報くれればもっと宗助君と一緒にいられたのに~)

だそうだ…

そういう事で本日は朝10時から俺達4人は惑星間転移装置を俺のスキルで使用し惑星リズへと訪れている。

滞在時間は約6時間を予定しているが、すでにその時間は過ぎている。


《分かったそれでは次は50日後だな、それまでに他のコロニーにいる仲間とも打ち合わせして置く、ただ…50日後にそちらの意向に沿った形になるかの補償はできないが…》

《完全完璧は無いと思っている、問題は君たちが今の暮らしを変えたいと思うかどうかだ、それにはどうしても俺の能力が必要だろう?》

《ああ、まだ完全に納得できないがな》

《それでいい、俺も無理やりと言うやり方はしない、最低でも君たちが俺達と敵対しないことが分ればいい》

《それだけは私も約束する》

《分かった、それから俺のサポート いや朱里と平太のサポートとしてアーバンとボルドーをサポートに付けておくから頼んだぞ》

《はいご主人様》朱里

《かしこまりました》平太

【お任せください】アーバン

【はいご主人様】ボルドー


2体のフィギュアにはリリーと同じROBOスキルの設定変更を自分で変えられるようにしておいた。

自立型AIの為独自に判断できるのだが、今回は朱里と平太のサポートとして働くように命令して置く。

その行動には一応制約を課してある、敵対した場合でも命を奪うと言う行為は無しだ。

そして朱里と平太が危ないときには護衛として行動すること。

行動基準は2マンセル、朱里とアーバン・平太とボルドーが常に一緒に行動するように命令して置いた。

こうすればまず間違いは無いはず…そう思いたい。

(心配だがしかたない ううフィギュアが2体も)

壊されないか心配だが、ロボ化のおかげでそれは無いとリリーさんにも言われてしまった・


【宗助様大丈夫ですよ、私が保証します】リリー

【分かったよ、又オークションで余分に手に入れることにするよ】

【そういえば30センチバージョンが2体オークションに出展されていました】

【マジかもちろんこないだと同じ1体5万で入札しておいてくれ!】

【かしこまりました】


1体はリリーと同じクロームシルバーリリーの30センチバージョン。

これが手にはいれば30センチバージョンはコンプしたことになる。

そして2体目はボルドーパープルリリー、今回リズに1体派遣することになったボルドーだ。

手に入いれば予備として部屋に飾っておく用になるが、それをROBO化するのかは未定だ。


《そうちゃん、そろそろ7時間になるわよ》


朝10時に来たのでもう午後5時になる、そろそろ地球へ戻らなければ家族が帰ってくる可能性もある。

一応愛菜は練習後午後6時にカラオケへ友人と行くので大丈夫だが、父は研究所を何時出るのかは未定と言う話だ。

勿論帰る際には電話を掛けてよこすだろう、どちらにしてももう帰らないといけない時間だ。


《それじゃ朱里平太元気でね》

《はいママ様お元気で》

《お母さま色々有難うございました》


2人は最後に母とギュッと抱き合う、父や愛菜には今日2人がインドネシアに帰ると説明してあるので、いなくなっても問題は無いが母には複雑な思いが有るのは知っている。

いくら他人とは言え1か月以上一緒に暮らし、地球の生き方を2人に指導してきたのだ。

ロボ化で得た地球の記憶により彼らはかなり慣れてきたが、それでも母がいなければこれほど早く地球の暮らしに慣れ、倫理観を変化させることもできなかっただろう。

今は服装も地球の物を着ており、外見は地球人にしか見えない。

超越者達が空中に浮かんでいるのに2人は地面を足で立ち歩くのだから。

最後になるわけでは無いが、母が次にこの場所で朱里と平太会えるかどうかまでは分からない。

もしかしたら次に来るときは父に本当の事を打ち明けないといけなくなるかもしれない。

まあできれば秘密にしておきたいとは思うが。


《行こう母さん》

《う う 分かったわ、仕方ないのよね…》

《また来れるから》

《そうよね うん》


最後に2人に目くばせをして俺と母はその場を立ち去った。

母は少し目に涙をためていたが、俺にはそこまで悲しむと言う事は無かった。

母にもロボ化を設定してあるが、俺とは少し違うみたいだ。

確かに母のロボ化は脳の一部と体までなので全身ロボ化とまではいかない。

いくら機械化のスキルと言えども生身の部分の割合が母と俺とではかなり違うみたいだ。

だがそうでなければ、母がロボ化によりクールになった所なんて想像できない。


「大丈夫かな…」

「母さん又来るから」

「絶対よ!」

「はいはい」

「分かったわ…」


俺と母は一度惑星リズの地上へと出て、そこから惑星の成層圏へ行き、そこから月へと転移する。

勿論母にも各種システムを設定してあるため、有害物質も放射線も除去できるようにしてある。

だが今回は初めて俺以外の生体を惑星転移させたので、少し慎重に身の回りを消毒及び埃の除去を行った。

そして地球に戻るとまさにタッチの差で、電話の鳴る音が聞こえていた。


「電話だわパパからかしら?」

「すぐに出て!」


転移してきたのはマンションの外廊下、月から一度大気圏外に移動したときに仮想カメラで確認して置いた。

転移するとまさにその時電話の音が響いていたのだ、すぐに家の中へと入り母は家の電話を取ると、父からの電話だと言う事がすぐにわかった。


『もしもし?』

『ああ いた!ママ今日は遅くなるかもしれない…』

『残業なのね』

『ああすまない臨時の仕事が長引いて2時間ほど残業になってしまったんだ、それで帰りは遅くなるし今残業している皆で出前を取ることにしたんだよ』

『分かったわ、あまり根詰めないでねあなたは一人しかいないんだから』

『ああ分かってる愛してるよ チュ!』

(うわ~恥ずかしい…)


家にはまだ俺と母しかいないので、百合ちゃんもまだ買い物から戻っていないと思う。

多分久々に委員長との買い物で楽しく過ごしているのだろう。

妹もまだ先輩とカラオケで盛り上がっている時刻だ、どちらにしてもカラオケ屋さんは20時で中学生は出なければならない。


「それじゃあ先に夕飯の支度しちゃうわね」

「ああ俺も手伝うよ」

「頼むわ」


どう考えても母の少し落ち込んだ様子が俺には少し気にかかった。

まさかここまで2人の事を大切に思っていたなんて思わなかった。

俺の計画としては次に行くときは俺だけで行って計画の内容を詰めてしまおうと思っていたのだが。

これでは次に母を連れて行かない訳にはいかなくなってしまった。


【宗助様、次は必ずママ様もご一緒する予定で組まれますことを希望します】

【ああそうするよ、まさかここまで母が落ち込むとはね…】


今晩の夕食は一番簡単にできるカレーになった、これならば遅くに帰って来る家族がもし食べたいと言ってもすぐに出すことができる。

多分3人共にどこかで食事は済ませて来るだろうけど、こういう時カレーにしておくと便利だ。

いつの間にか母は料理をしながら泣き始めた、ここまでメンタルをやられるとは。


【ごめんよ】

【グスッ あ~ん、なんでよ~朱里と平太が何で宇宙人なのよ~うえ~ん】


いい大人がと思うかもしれない、だがその気持ちは分からなくはない。

ちゃんと教育さえ受けていればどこのどんな人種でもちゃんと変わることができる事は証明された。

母にとって彼らは宇宙人と言うより、本当に親戚の甥っ子になってしまったのだろう。

まさかここまで感情移入してしまうとは俺も思っていなかった。

だが彼らにはまた会えるのだ、俺の能力がある限り。

そしてすべてが片付けば、彼らにも選択させることができる。

惑星リズに残るのか、それとも地球で新たなサバイバーとして暮らすかと言う事を。


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