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待ったなし

待ったなし


詳しい日程などは後回し、半年後の事なのでまだ時間はある。

だが宗助がこの場所へと来るのはそんなに簡単な事ではない、できれば後数回のうちに全て準備を整えておかなければならない。

宗助の計画と現場に関わる超越者達とのすり合わせ、現場の見取り図や各市の指導者の居場所などの割り出し。

出来れば数日で全てを終わらせなければ、いくら綿密に計画しようとも日程がずれてきてしまう、そうなれば完璧な計画も水の泡だ。

この星では今でも攻略している資源惑星からの帰還や、これから送り出す宇宙戦艦が日に数百隻出入りしているのだから。


《計画日時までに全て用意しておいてくれ》

《分かった、他には?》

《5人、それも精神誘導に特化していればなおいい》

《見つかった時にうまく躱すためか?》

《どうせなら無血で終わらせたいだろう》

《確かにそれができれば一番だが、そんな事可能なのか?》

《俺の能力は1つや2つではない、全部は明かせないが、その能力が有るからこそできる作戦だ》

《それと仲間を紹介する》

《朱里 平太 来てくれ》


今まで光学迷彩で姿を消していた朱里と平太、実は部屋の手前にあった小さなくぼみに待機しているよう言っておいた。


《宗ちゃん私はまだ~?》

《あ 忘れてた、仕方ない母さんも来て》

《忘れてたなんてひどい~》

《ごめん、少し面倒なことが有って呼べなかったんだ》

《まあいいわ、それでうまく行ったの?》

《とりあえずはね》

《ほんとだ、まるで兄弟みたい、同じ顔ね》


母は接見場所に入って来ると超越者達を見てそう言った、確かに外見のほとんどが朱里達の変身前とほぼ同じ。

だが髪の毛が有ったり無かったり。

歳をとっているほど禿頭の頭をしているが、若いほど髪はふさふさと生えている。

頭髪がある者は全員が銀髪と言うのがその違いだが、顔は全員が30代ぐらいにしか見えない。


《こちらは俺たちの星に調査に来た君らの仲間だ》

《元殲滅情報部隊、RST第三部隊隊長アルファ、現在は宗助様の下僕朱里と名乗っています》

《同じく元殲滅情報部隊、RST第三部隊所属副隊長ベータ、現在は宗助様の下僕で平太と名乗っている》

《私もだよね、私は宗助の母 美土里よ、言う事聞かない子にはおしおきよ!》


母はそう言うと両手を前に出し拳銃でも打つかのような仕草をした。


《あれ?反応が無い…》

《母さんそれ知ってるの朱里と平太だけだから》


そう言うと母はしょんぼりとしたまま一歩後ろへと下がってしまった。

それを見た朱里と平太が母を慰める。


《お母さまナイスです》平太

《そうですあのアニメは見てない人は分からないと言うだけです》朱里

(…なんだかな~)

《元粛清部隊!》アーロン

《今は俺の部下だ、もちろん彼らには地球の倫理観を植え付けてあるからむやみに攻撃はしないし、俺の言う事を聞くようにしてある》


それを聞いてコロニーの指導者であるアーロンは少し戸惑う。


《朱里平太、あの挨拶をして見せてあげて》

《かしこまりました》


そう言うと片膝を付き平太と朱里は右手を胸に当てる、要するに西洋騎士の挨拶だ。

勿論そのような挨拶の仕方を超越者達が知るわけがない。


《…》


土下座と言う挨拶も有ったのだが、それは何故か彼らの歴史の中にもあるのだと言う、但しその場合は殺されることを前提としているらしく、誤って攻撃される可能性があり得る。


《それでこの二人をどうするつもりだ?》アーロン

《彼らをこちらのコロニーに預けておく、詳しい内容は彼らに聞けばいい》

《なんと!》

《そういう事です》朱里


朱里は早速、今までの地球で得た情報の中から自分が一番感動したシーンや日々の暮らしを映像を含めてアーロンに見せた。


《今のは私たちが地球で見た情報です、文明は確かに我々より劣りますが、それをはるかに超える幸せが溢れています》

《宗助様はこのような世界をお望みです、その手助けもしてくれるとおっしゃっています》

《機械マザーに頼らずここまで豊かに…それに人口80億だと我らの十数倍か!》


惑星リズにはコールドスリープで眠っている人数を合わせても人口5臆までは行かない。

単純に考えてどちらがより成功しているのかはその人口で測れば簡単に答えが出る。

地球人は機械化を進めてはいるが半面自然を残すように努力もしている。

ハイブリッドな環境を作り上げることで少ない資源を再利用し人口を増やしているのだ。


《どうだ?これを見れば機械に頼りっぱなしの生活がそれほど良くは無いと分かるだろう》


アーロンは仲間にもその映像を共有した、本来ならばこの映像を見ることで自身の価値観との差が大きくなり、下手をすると気絶したりするのだが。

宗助から見せられたのではなく、朱里と平太から受け取ったことにより親和性が高かったのだろう、さほどショックは受けなかったようだ。

逆に理解が早く済むことでここからの話はあっという間に進んで行く。


《素晴らしい、我らには理想的な環境だ なるほどこれを見れば納得せざるを得ない》

《こんな世界が有ったとは…》アリナ

《われらの星でもこんなにうまく行くのか?》

《もちろんすぐにと言うわけにいかない、数年から数十年はかかるだろう、食料や動物は地球から持ち込むことも可能だ、そうすれば豊かな資源であふれる星に作り替えられる》


医療制度や政治文化芸術、朱里や平太がここ1か月で得たネットのデータ、そして現実に生活した豊かな世界。

超能力などほとんど使用しなくても生きていけるのが彼らにはどう映るのかは心配だったが。

地球人と接触するのならサバイバーと同じように、持たざる者の嫉妬を避ける為、超脳力は隠す方が良いだろう。

全てはXデー(作戦開始の日)以降の事なので、まだここで心配しても意味がないとは思うのだが。


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