期末試験
期末試験
期末試験は4日間にわたって行われる、もちろん俺も百合ちゃんもそのまま受ければ全教科満点と言う親が泣いて喜ぶ点数を取ることができるのだが。
俺は現国を百合ちゃんは化学を1問から2問わざと間違えて答案を提出した。
「どうだった?」
「俺に聞くなよ~」米田
「マジかよ、まずい~」東山
「赤いやつか?」金山
「ご愁傷様」宗助
「東山~ちゃんと勉強しないと駄目だぜ~」金山
「そういうお前はどうなんだよ!」
「ほれ!」
「お前なんか仲間じゃね~」
「あはははは」
期末試験の結果、約1名が一つ科目を落とし追試と言う不甲斐ない結果となってしまった。
金山君は平均点79と言うクラスでも上位の点を取っている。
米田は少し低い75点、俺は92点で百合ちゃんは91点委員長は90点と言う結果で終わった。
試験のある日は短縮授業となり、午後は2時で終了し後は下校時間となる。
部活は試合が有るスポーツ系のみ練習を認めているが、それ以外は試験勉強に費やすため帰宅する者が多い。
「東山 どうすんだ?」
「どうもしないよ、又勉強しなおすだけだ」
「土曜日の午後か 追試」米田
「お前ら何時の間に頭良くなったんだよ!」
「いやいや、もうそろそろ受験に向けて勉強しておかないと大学のランクも下がってしまうだろう、お前 危機感が無さすぎだよ」
「そうは言ってもだな…」
「今回の問題はそれほど難しくなかったぞ、文系へ進む俺でも分かった問題だ」金山
「ちゃんと勉強したのか?」
「…」
「もしかして爆裂美少女戦隊か?」米田
「新しく始まったアニメだよな」金山
「仕方ないだろ毎週勉強やる時間帯にあれが放送されるんだから、ファンとしては見逃せない」
「そのほかの日にでもちゃんとやればいいじゃない」委員長
「月曜はコメコメリリカちゃん、火曜日はサンダーマゾンガー、水曜日が爆裂美少女戦隊、木曜日は幽滅騎士、金曜日はジャブリンTV」
「あきれた…」
「全部録画にしておけよ」
「録画機は兄貴と母さんが占領してんだよ」
「じゃあお小遣い貯めて買えよ」米田
「お前はどうなんだよ」
米田の家には同じように兄弟がいる、もちろん親からの厳しい制約をかいくぐり自室にモニターと録画用の外付けハードを手に入れた。
勿論それはお年玉と毎月のお小遣いを貯めて買った物だ。
「俺はすでにマイTVモニター&録画機器を手に入れている、そうしないと落ち着いて勉強など出来ない」
「くそ~」
「最安で1万で手にはいるぞ2つとも」金山
「なんだと!」
それは中古販売サイト、しかも個人売買のサイトだ。
確かに中古ならばあり得るが、そこで購入するには親の許しが無いとカードや補償などのセキュリティーでOKが出ない。
「親に説明しないと駄目な奴じゃん」
「仕方ないだろう、そうしないと成績が下がるなら親も手を貸してくれるんじゃないのか?」
東山は3人兄弟、兄はすでに大学へ行きバイトを始め生活を助けている。
弟はまだ中学1年生でありTVのチャンネルに対して選択権などは無い。
そのTVモニターは50インチ、しかもそれは兄がバイトをして親の為に初めて買った物だった。
「もしかして部屋も一緒か?」
「ああ俺と弟は同じ部屋だ」
「じゃあ弟も巻き込めば?」
「それ良い案かも…」
「問題は多重録画できるかだよな」
機種によっては同じ時間に別チャンネルの予約録画ができないものがある、と言うかほとんどがその仕様だと思う。
それを何とかするには録画機能付きのビデオデッキだけ別に買って対応するしかない。
まずは録画機能付きモニターを購入することが先決、その後は兄弟で話し合い、どの番組を優先的に録画するのかを決めればよいだげなのだが。
「弟も同じ番組のファンなのか?」
「いや弟は殆どアニメを見ない」
「それじゃ引き込めないか」
「弟はスポーツファンだ、特に野球」
野球はほぼゴールデンタイムに行われる、そうなると同じ時間帯に放送されるアニメはほぼ全滅か。
東山は少し考えてからひらめいたように目を見開いた。
「この手がある!」
「もしかして祖父ちゃん祖母ちゃんを巻き込むのか?」
「…」
「図星か」
「まあお年玉の前借ができるかどうかはお前の言葉次第だと思うけど、他の兄弟が放っておくかどうかも考えないと、後で大変だぞ」
「だがやるしかないじゃないか」
「そんな事よりアニメを見る時間を減らして勉強した方が良いと思うけどな~」委員長
正論が出た。




