勘の鋭い自衛官
勘の鋭い自衛官
UKサバイバー達と各国のエージェントとの合同会見は無事終了。
肝心なことは全部話したので、これで無駄な詮索をしてくることは無くなると信じたいのだが。
世の中そんなに甘くはない、知識欲と言うのはある意味底無しだから。
少し頭をひねれば宗助が宇宙人から手に入れた情報がまだまだ沢山あると言う事はすぐにわかる。
但しUSAの大統領と会見したことで、他の国は直接の交渉ができなくなったと言って良い。
宗助もまずは契約通りアメリカと交渉してくれなければ情報提供できないと言ってしまえば、他の国は黙らざるをえなくなる。
それを見越して全員を前に宇宙人絡みの情報を全てさらしたのだから。
この後、横浜からは何故か自衛隊の軽装甲車で帰る事になった。
CIAの2名はタクシーでアメリカ大使館へと直行、彼らは現アメリカ大使とサバイバーの事で話し合う事だろう。
「宗助君?」
「はいなんでしょう」
軽装甲車の中には以前と同じように後部座席に乗り、右に高月さん左に新人の小山陸曹が座っている。
小山さんは話を高月准尉に任せて、聞き役に徹することにしたようだ。
「宗助君の能力って完全記憶だけなのですか?」
「ギクッ!よくわかりましたね」
「もしかして宗助君は先の会見で言っていたUKの方の言葉通り救世主なのでは?」
「その話は僕が神から使わされたと言う形でなければいけないことになります、もちろんそれは無いです」
「過去、神と呼ばれた偉人たちの能力は一つだけでは無かったと、物語の本などで読んだことが有ります」
「そういう物語があるんですね、なるほど」
「完全記憶だけであの宇宙船からハッキングしてデータを盗むことはできないと、私は思いましたので」
「そうですね、多分完全記憶だけではできないでしょう、でも僕が教える事ができるのは一つの能力だけです、後は秘密にしておかないとどんな災いが降りかかるかわかりませんから」
「無理には聞こうと思いませんが、他にも能力があると言う認識でこれから対応します」
「かまいませんよ、それでよいと思います」
「それで、又宇宙船がやってきたときはどうするのですか?」
「同じようにハッキングアプリで対応しますよ」
「それが効かなかった場合は?」
「自衛隊の方にお任せします」
俺がそう言うとこちらを向いて少しため息を吐く、どうやら彼女はうすうす感づいているのだろう。
確かに一つの能力のおかげでいくつものスキルを身に付けたと言って良い。
その力のおかげで同じような超能力を持つ人たちとも出会えた、サバイバー達の能力も一つだけではない。
それにこれからはサバイバーの協力も得る事が可能になる。
陸自の軽装甲車はいつの間にか宗助が住むマンションの前に着いていた、送ってくれたお礼を言って高月さん達と別れる。
俺がマンション内に入って行くと入れ替わりに石神陸尉が車に乗り込む、今まで家族の警護をしていたのだろう、軽くこちらに会釈すると軽装甲車はその場を立ち去った。




