倉庫街
倉庫街
今は倉庫街と言うより、リフォームされたおしゃれな美術館や、地元の物産展と言う趣になった、赤レンガの建物。
俺達4人は次の待ち合わせ場所へと向かうため、タクシーに乗り込んだ。
「すまんね狭くて」
「いいえ大丈夫ですよ」
「えへへ~おにいちゃん」
「ちょっとエミリアあまり寄らないでよね!」
タクシーには後部座席に乗れるのは3人が良いところだ、助手席には父モリソンが高い身長をようやく折り曲げ収まっている。
別に俺が助手席でも良かったのだが、アイリーン姉妹は俺の腕を取るとさっさと後部座席へと乗り込んでしまった。
バツが悪くなった父親はそのまま助手席に座るしかなくなってしまったのだ。
「お客様大丈夫ですか?」
「いや仕方がない大丈夫です、ノォッ!」
「ゴツン」
タクシーに乗ってから10分ぐらいだろうか、赤レンガの建物が立ち並ぶ地区へとたどり着く。
車のドアが開くとタッチパネルへ電子マネーで支払い俺と娘2人が下りるのを待って、赤レンガの倉庫街へとモリソンは歩き出す。
「こっちだ」
後ろの方でやはりタクシーとみられる車が止まり数人が下りて来る、観光客を装っていはいるがまるでそう見えていないのはしかたない、観光客ならばするだろう行為が全く見られないのだから。
カメラもスマホも出さずに目だけをこちらに向けて周りを探っていたりするエージェントが数名。
(この場所で尾行を気にするのは意味ないでしょうに、と言うか面倒だから気にしないで付いて来れば良いのに)
観光ならばスマホを向けて写真を撮ればそれなりに見られることだろう。
CNの2名だけはさすがに慣れているようだ。
「わー久しぶりだね赤レンガ倉庫」円
「私は5回目かな」橋本
「それってデート?」
「まーね~」
確かにデートするには良い場所かもしれない。
赤レンガ倉庫の中へと入るとそのまま奥へ進んで行くモリソン。
建物の中は色々なお店も入っており、客もかなりの人数がいる。
話をするための場所などあるのだろうか?
そう思ったが、奥へと進むと貸し切りの場所があり、どうやらそこはレストランのイートインスペースになっている一角で、会議やイベントでも使える場所だった。
特に扉などは無く進んで行くと椅子とテーブルだけが並んでおり、食事もできるような場所がある。
「ここは?」
「ここは今私の会社で借りている場所なんだよ、レストランに併設したイベントや会食に使えるようにね、今日は何も予定が無いので貸し切ったと言うわけだよ」
「そうなんですね、でも広すぎませんか?」
「Mr宗助それは君も知っている事じゃないのかね」
「そうですね確かにこのぐらいの広さが無いと全員中に入るのは難しいかも…」
「君達も入ってきたまえ、カモーン!」
ぞろぞろと入ってきたのはもちろん先ほどまでレストランにいたUKのサバイバー4人とCNのスパイ2名そしてUKのボンド2名と自衛隊の隊員2名、さらにUSAのCIA局員2名とどこのスパイか分からない2名が追加で入って来た。
「これは珍しい」
その姿は民族衣装だがどこのスパイかは分かりかねた。
「私たちも良いか?」
「あなた方は?」
「中東ドバイから来ました、よろしくです」
彼らが来た理由はUKからの情報に俺が救世主だと言う話からだった。
バチカンが動き出すと言う話が出ていたが、今はバチカンもそう簡単には人員を割けることはできないらしい。
だが中東がその話を聞いてすぐに人員を寄越した理由は調べてみる価値はありそうだ。
共に裏には宗教が絡んでいるのは間違いないが、それにしてもこれほど国際色が豊かになって来ると、本質を見失わないようにしなければ対応するのがどんどん難しくなってくる。
俺のやらなければいけないことが増えてくるのは運命なのだろうか?




