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週末は応援

週末は応援


土曜日になり、妹の試合を見に調布のグラウンドへ。

今日はクラブの練習試合だが、この季節になると観客席には連日スカウトの姿がちらほら見える。

中学の部活動はすでに引退しており、年末までは俺と同じように期末テストとクラブの練習試合が何回かあるぐらいだ。

確か来年の初めには2軍のトーナメントが始まると聞いている。

スポーツ少女をするのも中々大変だと感じる、まあ妹は連日楽しそうに試合に出かけるのでそのつらさは感じないが。

彼女はまだ身長が伸びて居るようなので、高校に入ると又違った悩みが出て来るような、そんな気がする。


「電車で乗り継いで2つ目なのね」百合奈

「ああ市営のグラウンドだからね」

「年末には一度U18の試合が有るって聞いている」

「それはアジ〇スタ?の試合でしょ」

「12月18日土曜日、この試合は絶対外せないな」


そう愛菜はU18の強化選手でありその試合は女子サッカーのワールドカップへの出場がかかっていたりする。


「アイちゃんもここまで来ると思わなかったのにね~」母

「そうなんだ」

「中一の時は背が低かったじゃない?」

「今でもそんなに高くないからね」

「でも私とそれほど違わない身長までは伸びるはずよ」

「俺もそう思う、ここ最近で2センチぐらい伸びているって愛も言っていたからね」


この日の練習試合の相手はN大の女子サッカー部であり、今年の大学女子サッカーの準優勝チームだ。


「着きました、ここですか?」平太

「そうそう」母


グラウンドの門を入ると左手に管理棟があり、そこから中へ入ると観客席が両側に見える。

すでに数人が座っており、中には望遠カメラを構えている人もいる。


「あれはカメラですね」朱里

「週刊誌の取材かな、それともクラブの機関誌の取材用かな?」

「腕に緑の腕章があるから、機関誌に使う写真撮りじゃないかしら?」


クラブの宣伝用に使用するプレス専用の腕章、他にも数人のカメラマンが同様の腕章をしている。

まあ練習試合とはいえ今回参加している選手は結構有望な人ばかり。

よく見ると反対側の観客席には円陽子さんまで見えていた、しかも彼女の隣には父にアタックかけていた女性の姿。

レイランの仲間である橋本香織(20歳)、父を鹵獲しようとして中々うまく行かなかった大学生。

グラウンドをはさんで反対側にいるのだが、こちらに気付くと手を振って微笑んでくる。


【宗ちゃん洋子さんいるね】

【そのようだね、今度は何を仕掛けてくるつもりかな】

【普通に接すれば良いのよね】

【うん、先日の記憶は消してあるからね】

【分かった】


【あの子反対側の席にいるわね、隣の子も同じスパイなのかな?】母

【今回あの2人がCNの鹵獲専門スパイみたいだよ】

【そうなんだ】

【すでに洋子さんは記憶操作してあるから、母さんも普段通り接してくれればいいよ】

【分かったわ】


試合中はそうそう動けないが、ハーフタイムになり彼女ら2名がこちらの観客席へと移動して来る。

何食わぬ顔をしてちゃっかり俺たちの1段上の席へと座り挨拶をする。


「こんにちわ~お母さまと宗助君」

「こんにちは」

「あらこんにちは」母

「洋子さんも応援ですか?」

「そうよ~せっかくお友達になったのに、見に来ない手は無いわよね」

「そちらの方は?」

「こちらは橋本香織さん」

「橋本ですよろしくね」

「橋本さんも高校生ですか?」

「私は大学二年よ、円ちゃんに誘われたの」

「ふ~ん」

「な~に~サッカー見るような人には見えないかしら」

「見えませんね」百合奈

「そうかな~」

(何よ露出度大目じゃ悪い?)


確かにもう11月と言うのに胸元が少々広めに開いており、デコルテがばっちり見えている。

下はミニスカートであり、足を組むたびに中がチラチラ見えるのは、スポーツ観戦に来た恰好とは言えないだろう。

ファーの大き目なコートはどちらかと言うと夜用にしか見えないのだが。


「それで橋本さんはどこの大学なんです?」

「K大よ」

「K大にしては露出多いですよね」

「たまたまこの服しかなかったのよ」

「そういう事にしておきましょう」

「この試合どちらが勝つと思う?」洋子

「僕はU18のチームかな」


前半で2対2と言う点数は、互角のように見えているが。

動きはU18の方が良く見える、それにまだ愛菜がベンチにいると言うのがみそ。

どうやら後半10分以降で愛菜を投入するようだ。

そうなると今までの試合運びはさらにU18チームの方が有利になって行く。


「私はN大かな~」香織

「賭けて見ます?」

「何を?」

「今後僕らの周りをうろつかないって」

「…何のことかな~」

「なんの事でしょうね~」

(円ちゃんもしかしてばらしたの?)

(え~そんなことあるかな~)

(それじゃどうすんのよ!)

(まあ私達2名のような美女がそろって同じ家族に近寄って行くのを自然と見る人はいないでしょ)

(確かにね…)

「もしかしてバレてる?」

「バレています」呂方一家

「あた~」

「ああ、そういえばアメリカの大統領から近いうちにアプリに関しては引き渡しても良いと言われていますね、但し色々と条件が有ります」

「え!」

「それ うちらの手柄?」

「いいえもともとアメリカに対して中国側の外交官から要請されていたようですね」

「がっかりだわ…」

「でも受け渡しに対しては僕から直接渡しても良いので、そちら側の条件次第です」

「条件って?」

「まずはお金、それと今後あなた方のようなエージェントが僕らの周りをうろつかない事」

「エ~せっかくお友達になれたのに~」

「僕は面白そうだから良いですけど、母も百合ちゃんも迷惑しているみたいだし」

「あまりうちのパパに付きまとわないで欲しいのよね~」

「ほら」洋子

「だってそうしないと仕事してないって思われるでしょ!」

「あまり露骨なのは止めておいた方が良いって言ったんだけどね」

「でもどうして分かったの?」

「父から聞きました」

「ご ごめんなさい、悪気は無かったのよ~」

「今後しなければ許します、ですが2度目は無いですよ」

(じゃあ…どうしろっていうのよ!)

「あ~別に僕に付きまとうのはOK出しておきます」

「え?宗ちゃん」百合奈

「だってそうしないと別な子が来るんでしょ?」

「…うんそうなるかな」円

「そう簡単にあきらめる人たちじゃないのは分かっているから」

「ごめんね~」

「だから情報のやり取りは2人に固定して行う事にしておこうと思うんだけど?」

「もしかして専属?」

「そういう事、だから他のエージェントが出張って来るならちゃんと僕に知らせることも条件かな」

「分かった、上に話してみる」円

【そうちゃんやる~】母

【なんか気に食わないんですけど…】

【百合ちゃんそういうこと言うんだ~】

【なによ~だって~】

【うにゃ!】


脳内通信で話しながら怒っていることは顔にも出ており、その顔を見て百合ちゃんの手を握りしめると。

怒った顔が一瞬でびっくりした顔に代わり、さらに顔色が変化していく。


【ずるい~】

【百合ちゃんが一番だよ】

【う~~】

【宗助様やっと目覚めましたか?】

【いや前からいつかこうしてやろうと思っていたのだが何か?】

【いいえ、次の段階はいつごろに?】

【当分先だよ!】

【期待しております】リリー


隣でいつの間にか真っ赤な顔をしている百合ちゃんを見て少しにやけ顔になるおれ。

それを見て斜め上に座っている美女2名は、少しふてくれた顔をするがそれは仕方のない話。

まさかスパイと知って彼女にすると言う事はありえ無いし、鹵獲されるようなことも絶対ないだろう。

但し、これから増える情報戦の防波堤ぐらいにはなってもらうつもりだ、彼女らには場合によってはCNの諜報部トップへ繋がる橋渡しをしてもらう事まで考えておかないといけない。


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