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テスト勉強

テスト勉強


来週の期末テストに向けて帰宅後は必ず百合ちゃんの部屋でお勉強というミッションが追加されている。

何故彼女の部屋なのかという点は、彼女がそう決めたからというのが理由だが。

どうやら俺の部屋だと過去の状況が思い出されて勉強をする気がそがれるらしい。

確かに俺の部屋で一度彼女を抱きしめている、その記憶は今も思い出す。

いくら体をロボ化してもその何とも言えない甘い時を思い出してしまうと勉強も上の空になって行くと言われればしかたのない話だろう。

まあ彼女の中であの時の記憶がどういう位置付けがなされているのかは不明だが、自分の部屋の方が落ち着いて勉強できると言うのが本音なのかもしれない。


【そうちゃん、宗ちゃんはネットからも情報を見つけて来られるのよね?】

【そうだよ】

【それってカンニングだよね】

【見方によってはそう取れなくもないけど、それが何か?】

【ずるくない?】

【ずるいよね、でも仕方ないことでもあるよね】

【そうだけど…】

【じゃあ百合ちゃんもネット検索できるようにしてみる?】

【できるの?】

【できると言うか、もうしているよね】

【そうかリリーちゃんとお話できるってことがそもそもそう言う事なのね】

【特にリリーに対して百合ちゃんから聞かれても答えを制限していることは無いから、勉強関係は全部聞いてしまえばいいし】

【そうなの?】

【まあプライベートなことは聞かれても分かりませんと答えるだろうけど、百合ちゃんもそれは聞かれたくないでしょ】

【うん、絶対聞かれたくない】

【そうだよね】

(もう全て知っているのだが、それは隠しておく)

【じゃあリリーちゃんに聞けばいいのか…】

【基本的にAIは情報検索のお手伝いだから全ての情報が手に入れられても選択するのは自分だからね、それに勉強に使うのは良いけど毎回100点連発するとどうなるかもわかるよね?】

【そうなるのね】

【だから苦手を克服するために使用するのは良いことだけど、不得意な科目はソコソコにしておかないとカンニングしていると思われかねないでしょ】

【わざと間違えて置くって事ね】

【そういう事、国語なんかは感想文も有るから100点と言う形は難しいけど、数学は計算も答えが決まっているからね】

【分かった、私は苦手なのが物理や数学だからそのあたりは80点代で抑えておくね】

【それでもトップになれる気がするんだけど…】

【だって中間テストのとき宗ちゃん2位だったじゃない、いきなり現国で30点+で94点取ってたでしょう】

【ああ確かに漢字の問題でわざと2つ間違えて置かなけりゃ100点取れたんだけどね】

【リリーちゃんに聞けばいいのか~】

【テストの最中に俺に聞くっていう手もあるけどね】

【それはできないよ~もろにカンニングになるでしょ】

【あはは】


脳内通信の副産物はネット検索なのだが、厳密にいえばできないようにすることも可能だ。

だがそうするとリリーとの会話もできなくなるので、何かあった時にすぐ対応するのが難しくなる。

母にもそれは同じことがいえる、最近は料理を作るレシピの検索に使用しており。

その恩恵にあずかっている者としては今更だめだなんてこと言えるわけがない。

ただ、この便利な状況は果たしてどういう結末へといざなってくれるのだろうか。

目の前でノートを開き書き込んでいる百合ちゃんはそれでも読み書きをすること自体を止めるわけでは無く、必至にテスト勉強を続けているのだから。

確かに脳内で全て完結する未来は有っても、字を書くと言う作業が無くなるわけではないだろう。

字を書く事は書くと言う作業そのもの、それは芸術を高める事にもつながるのだから。


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