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夜這い

夜這い


夜半過ぎに父である呂方敦之は帰宅しその後シャワーを浴びて夫婦の部屋へ。

円陽子は呂方父を鹵獲する作戦でも行けるタイプだが、宗助が脳内情報を操作したため、現在は宗助一筋に変更されている。

すでに全員自室にいる状態なのだが若干2名は、眠れぬ気持ちを抑えきれず悶々としていた。

(チャンス!)円

すでに愛菜はスウスウと寝息を立てており、本日の疲れを癒すべく深い眠りに入っていた。

そして母が感づいたと同じく百合奈も同様、円陽子と言うお邪魔蟲に対抗すべく机の前で眠れぬ夜を過ごしていた。

どうしたら宗助の気をもっと自分に向けられるのか?今夜そのタイミングと自分の決断を確かめていた。

(絶対渡さない、だけどどうすれば?)

一度は宗助の寝室で寝たことも有るのだ、そこに入ることはさほど難しくはない。

だがその理由が見つからない、どの言葉を探しても女優のようなセリフを自分が話すのにはかなりの度胸がいる。

だが今夜決行しなければ、そうしなければまずいような気がする、特に今日やって来た円陽子の外見を見てしまっては嫌な胸騒ぎが収まらない。

宗助君だけは絶対失いたくないと不退転の決意を持って、今夜彼女らしくない夜這いを決行する。

時刻はすでに1時を過ぎているが、彼女はゆっくりと自室を抜け出し宗助の部屋の前までやって来る。

(ノックするべき?それともこのまま入るべき?)

だがその前にドアはゆっくりと開けられていく、びっくりして口を押さえる百合奈。

その手を宗助の手がゆっくりと引き入れる。


「あ あの?」

「静かに」


そう言うと宗助は百合奈を布団の中へ入るように促す、部屋の灯りはうっすらと予備の電灯が燈っているぐらい。

数分が経ち、ドアの扉が再びゆっくりと開かれる。

そこには先ほど見た円陽子の姿が、仮想暗視スコープを設定している宗助の目には舌をペロッと出して近寄る彼女の姿がはっきりと見えていた。

陽子がベッドに近よると光学迷彩をすでに発動している俺は椅子に座り声を掛ける。


「ご用件は?」

「ハッ!だれ!」


当然のことだが部屋全体に消音機能を巡らせておいた、部屋の内部からは音が漏れないように。

だから彼女が大きな声を発しても誰にも聞こえない、まあ母にはロボ化したせいで少し聞こえるかもしれないが。

彼女は今夜何があるかぐらいの予想は付いているようだ。


「呂方宗助ですが」

「え?どこ?」

「どこでしょう?」

「え?」


目の前のベッドは人が寝ているようにこんもりと盛り上がっている、洋子はそこに宗助がいると思っていたのだが…。

一方宗助が洋子をどうするのか百合奈は見学することにした、その後で彼が自分をどうするのかは彼に任せるつもりだ。

(せっかく夜這いしに来たのに…え?夜這いこれって夜這いなんだ)

彼女は自分がしている行為に初めて気付くが宗助の言う通り、彼の布団をかぶってじっとしていた。

それを見た洋子は宗助がそこにいると思い布団を引きはがす、本来ならば女子2名が男の部屋で対面すれば、そこは修羅場なのだがそうはならない。

タイミングを見計らい明りを通常に戻す、宗助はデスク前の椅子に座り様子を見ていた。


「円さんは何をしに?」

「へ、だれ?」

「百合奈ですが何か?」

「なんであんたが宗助君の布団の中に?」

「それはどうでも良いんだが、君達2名は共に夜這いしに来たという事でいいのかな?」


当然女子2名は黙ってしまう。


「百合ちゃんは一応僕の家族でもあり一番近い女の子です、だが彼女とはもっとゆっくり付き合いたいから僕ははっきりと自分の気持ちは告げていません、ですがそこへ横から邪魔が入ろうとしています、それが貴方です円陽子さん」

「エ!」

「そうすると百合ちゃんはあなたの前に僕へアプローチしなければいけなくなりますよね」


うんうんと百合奈が首を縦に振る。


「円さんの素性をあまり知らない僕としては君にはあまり僕たち家族の生活を乱してほしくないと思っています」

「そうそう」ゆりな

「あ~せっかくうまく行くと思ったのにな~」

「それは仕事?」

「…仕事だって言った場合は?」

「せっかく友達になれそうなのにそれをつぶしちゃうとどうなるか君にも分かるよね」

「分かるわ、私は外されてまた違う子があなたに近づくのよね~」


長い髪をかき上げながら妖艶な笑みを浮かべるが、それはまだあきらめていない表情だ。

彼女も引くことはできない、ここで引いてしまうと自分の家族にまで迷惑がかかる。


「円さんは僕をどうするつもりなの?」

「そこの彼女の前で話していいの?」

「かまわないよ、後で消しておくから」

「消しておく?それはどういう事?」

「そのままの意味だよ、僕は催眠術を使えるから」

「それは初耳だわ」

「とりあえず円さんには自分の事話してもらおうかな?」

「…仕方ないわ、私はCNのエージェントレイラン、呂方宗助と言う人物から情報を聞き出すために派遣されたスパイよ」

「どこまで情報を知っているのか教えてくれる?」

「そ それは…」

「君は俺に逆らえないよね」


宗助は彼女の情報を操作するとき、自分には逆らえないように記憶を操作して置いた。

今日の出来事も自分が話した事も、宗助にとってまずいことが有った場合は話せないようにしてある。


「鹵獲できれば惑星間転移装置の情報と宇宙戦艦を操作し引き帰らせた方法の聞きだし、そして先日アメリカでジャクリーン大統領と何を話したかの割り出しよ」


宗助は洋子の話が終わると百合奈のいる前で先日までアメリカで何をしていたのか話し出した。

百合奈も洋子も、宗助の話に聞き入った。

まずは宇宙船が何故引き返したのか?その内容は自衛隊に話した事と同じだが、ハッキングアプリに関しては元のままでは絶対に中国側へは流せない、それはアメリカと日本の契約内容に条件付きで他国への販売禁止という条項があるから。

そしてそのアプリを使用して宇宙船にハッキングを仕掛け命を懸けて引き帰らせたこと。

手に入れた情報の一部からアメリカの知りたい情報を一つ譲った事、それは宇宙人の持つ技術の一つ。

いくら高校生だとは言え2名の女子はその話を人に聞かれればまずいことぐらいは分かる、内容が絵空事だとしても、すでにデータはアメリカと日本の外務省や、各大学の学者や大手電機メーカーの研究員が関わっているのだから。


「それで転移装置はもう作っているの?」ゆりな

「ああ 後半年で出来上がる予定だ」

「でもそれで間に合うのかしら?」ようこ

「分からない宇宙人が早く気付けば間に合わないかもしれない」

「それで私がCNのエージェントに話していい情報はどこまで?」

「転移装置はどうせ知られているから全部話しても良いよ、ハッキングアプリはそちらに渡すとまずいから話せないけどね」

「そのぐらいじゃ上の方は納得しないかも…」

「それじゃあ言っておいて、そちらの軍事秘密は全て手に入れたから、その中から核ミサイルの情報を君に教えておくよ」


中国のとある場所に大陸弾道弾を装備したミサイルがある、さらにその状況について詳しく話して聞かせた。

実はすでにハッキングは完了していて、最終フェーズ以降発射システムがフリーズするように設定してある。

勿論それを知るには現実に発射ボタンを押さなければ分からない、テストでは分からないように細工してあったりする。


「それは本当?」

「嘘だと思っても良いけど、そちらの出方次第では色んな妨害工作をすることが可能だから」

「それが本当なら逆に何も話せないわ、言ったら私も処分される」

「知らない方が良いことも有るって事だよ、どちらにせよ帰る前に今の情報は忘れてもらうけどね」

「スキルロボ」


宗助はそう言うと洋子の肩に手を触れた、ベッドに腰掛けている洋子に脳内のロボ化を適用すると、たった今話していた記憶情報を抜き出す。

その間洋子は目を閉じ黙ったままだが、何が起こっているのかまではベッドの上で正座する百合奈には見当もつかなかった。

宗助が何かしたことは分かっている、だがそれは必要な事なのだと言う感じだけが頭をよぎる。

今までの事は全部目の前にいる男の子が必要に迫られて行っているのだと。


「もしかしてそれが能力?」

「うん能力の一つ」

「宗助君 私の記憶も消していいよ」

「いや君は人に話したりしないし、どうせなら僕の言う事を聞いて受け入れて欲しいことがある」

「何でも言って、私 協力する」

「僕は…」

【宗助様全部話すのですか?】

【多分百合ちゃんはかなりまずい所まで以前から知ってしまっている、それなのに彼女は黙って見守ることを選んだ、そんな人の記憶を改竄するなんてできない、多分これは僕のわがままかもしれないけど、きっと彼女は協力してくれるよ母と同じ感じがするから】

【分かりました宗助様がそう思うなら私達一同異論はありません】

【有難う】


残念なようだがHなシーンは無くなった、残念!もともと百合奈はそういう子では無い。

それに洋子さんは日本の生活が長く相手を鹵獲する為の方法として使うのは、体を使い嵌める作業がほとんど。

要するに相手に攻撃させ、後から脅して情報を引き出すのが常套手段。

勿論襲われれば攻撃もするが、それには仲間がそばで見ていることが条件だ。

この後、円陽子はトイレへと行き、何事も無かったかのように愛菜の部屋へと戻って行く。

そしてすぐに就寝し目が覚めると宗助の事は好きだが、友人になったと言う記憶そして情報として渡された一部のデータだけが残っていた。

一方、百合奈は宗助の話を受け入れると同時にロボ化も受け入れた、それは宗助と同じ時を生きると言う事に他ならない。

今はまだ能力の事を聞いても百合奈には特別何も感じてはいなかった、彼女はいつかこうなることを予感していたのかもしれない。


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