CN(中国)の諜報部員
CN(中国)の諜報部員
隣の国とは言えその性質も生活環境もまるで違う社会主義という政治方式を導入している大国なのだが、いまだにその科学力は不透明だ。
進んでいる所だけはやたら宣伝してくるのだが、辺境の農村は今でもさびれて貧しい。
そんな国から日本へとやってきたのは、CNの中でも軍からは少しかけ離れた組織に属するエージェント。
科学武装衛士隊、CIAやKGBと同じ様であるが彼らはどちらかというと産業スパイの色合いが強い。
日本の企業はすでにたくさんの中国系労働者を受け入れており、今ではそれほど盗むものなどないぐらい現在は技術も解放しているのだが、それでも最新技術となると話は別だ。
「よく来た」
「劉さん、お久しぶりです」
「立ち話もなんだ、場所を移そう」
CNのエージェントである喬余南は特殊な部隊に所属しているが。
専門は戦闘と言うより科学情報に特化したエージェント、すでに本国で稼働している日系企業の技術を全てと言うほど、あらゆる技術を把握している数人しかいない科学兵士の一人だ。
先日国家技術省から彼に対して呂方宗助なる人物を探れと指令が発令された。
すでに細かい情報を手にはいれたのだが、呂方宗助と手に入れた惑星転移装置との噛み合いがはっきりしてこない。
どうやって手に入れたのかが漠然としていた。
要するにハッキングアプリの件が彼らの手元には届いていなかったのだ。
「ここにしよう」
そこは中華料理店、そしてここは横浜だったりする。
席に着くと2名は飲茶を注文する、この中華飯店では昼食のコース料理が主力らしい。
リュウは2人分の昼食コースを頼んだ。
「それで情報だが」
「秦君の話だとごく普通の高校生だと言う話だが、家は裕福と言う情報も得ている」
秦華晃は先日呂方家に配達人に化けて潜入し監視カメラを仕掛けたアルバイト学生だ。
勿論ちゃんと留学生として潜入してはいるが、家が貧しいため国から奨学金の代わりにスパイのような仕事を請け負っている。
彼は立場的には末端の工作員であるので、つかまったとしても不法侵入ぐらいでしか立件できない。
しかも本当に某運送会社の配達員として登録されているので、配達する家を間違えたと言えば済んでしまう。
「要するにそこから先の情報を知りたいと言う事だな」
「向こうではどこまで情報を得ているんだ?」
「アメリカが得た情報は殆ど手に入れたと言う話だが、先日アメリカの同士から呂方宗助がアメリカ大統領と会見したと言いう話が入った」
「惑星間転移装置の話か?」
「いや他にも情報が入っている、一つはハッカーの話ともう一つは医療機器の話だ」
「宇宙船の話からはかけ離れているな」
「いやそうとも言えない、実は宇宙船が引き返したのはアメリカが撃墜したからという話だったが、どうやら呂方宗助なる人物が宇宙船にハッキングを掛け帰還するようにコンピューターを乗っ取ったという話を聞いている」
「日本の高校生にそんな度胸は無いだろう」
「俺もそう思うが、それでも情報の真意を確かめるのが俺たちの仕事だ、それに惑星間転移装置のデータはその高校生が持っていると聞いた、彼を捕まえて話を聞けば事の真意は分かるはずだ」
「と言う事はチームでその高校生、呂方宗助を拉致すると言う事か!」
「おい、声がでかいぞ、拉致までする必要はない」
「ではどうするのだ?」
「玲蘭を出動させてくれ」
「そうか ならば鹵獲作戦だな」
コード名、玲蘭は人の名ではなく各国で暗躍するCNの鹵獲チームの総称。
特に相手が男の場合や子供の場合など、そこへ出向いて情報を得るには相手を安心させ信用させるのが一番手っ取り早い。
そのために使われる人材=女性、しかも飛び切り美しい女性達だ。
現在日本で活動している玲蘭は10名、その中でも一番若く美しい女性はまだ学生だったりする。
「ならば年が近いのは燕陽鋒だな、だが一人では安心できない喬香艶にもサポートさせよう」
「よろしく頼む、私はいつものようにKホテルに滞在しているので、何かあったら知らせてくれ」
「分かった」
その日のうちに情報はスパイである2人の女性に伝えられた、もちろん彼女らは通常普通に学校へ通っており。
時折簡単なアルバイトに精を出していたりするが、たいていの場合アルバイトは相手の情報を得るための手段である。




