フィギュア3体
フィギュア3体
呂方宗助は車の中で考えていた、もちろん脳内のリリーと一緒に。
【アイリーン嬢からSNSが入っていますね】
【なんて?】
【いやなことが有ったと言う話と、変なものを見たと言う事ですね】
【アーバンの事かな…】
【多分】
【あまり手出しをしない方が良いのかな…】
【普通の方ならあまり加勢しない方が良いと思われますが一応彼女はSVRですので、少々一般とかけ離れた状況になっても免疫が有ると思いますが】
【まあ後でアイリーンから直接話を聞いてあげることにしよう】
【分かりました、それより先日オークションで落札した3体が本日届きましたがいかがいたしますか?】
【!!本当か!】
あと少しで自宅だと言うのに俺の顔はうれしさのあまり変な笑顔になっているだろう。
運転手の自衛官がバックミラーを見て怪訝な顔をしているのがわかった。
(おっといけない、平常心平常心)
そう言い聞かせても口角が少し上がり気味になる、そしてルミナスが追い打ちをかける。
【本当ですか、仲間が増えますね】
【ああ当然だが3体ともにロボ化を施すつもりだからね】
せっかく手に入れたフィギュアであるが、全部ロボ化することになるだろう。
そうなると合計7体のフィギュアがロボ化されたことになるのだが…
マンション前の道路に軽装甲車が止まると高月さんと少し話した後、俺はマンションの中へと向かう。
その足取りは軽く、そして心なしか少し速足になっていた。
【宗ちゃん荷物来てるわよ】母
【分かった俺の部屋に置いておいて】
【フフフ】
【何か言いたそうだね】
【だって宗ちゃんの笑顔が目に浮かぶんだもの】
【悪いですか?喜んじゃ!嬉しくて仕方ないんだから】
【どうするの、またロボ化するのよね】
【一応30センチバージョンは全部ロボ化しようと思っているよ】
【そうなのね】
【でもそうすると、常時部屋にいるフィギュアは2・3体になるんだよな…】
そうアイリーンを尾行してもらっているように他のフィギュアにも今後問題が起こった時には色んな任務をこなしてもらう事になるだろう、できればその数は少なくしておこうとは思うのだが。
【あまり外で使うのは考えておいた方が良いわよ】
【やっぱりそう思う?】
【いくらこの子達が優れていても現実はそう甘くは無いと思うのよね】
【分かったできる限り諜報活動させるフィギュアは少なくしておくよ】
【それに何かあった時は私にもやらせてもらって良いのよ】
【そ それは勘弁してほしいんですけど…】
まさか母を顎で使うなんてことは今後の情況変化でがかなりの問題が出ない限り考えられない。
それに生身の人を使うのは結果として俺自身が窮地に陥っていることが前提になる。
要するに母の手を借りるぐらいならば自分でやると言う事だ。
【もしかしてロボ化の力を試してみたいって考えてたりする?】
【ウフフ 当たり、宗ちゃんも試してみたんでしょ】
【そりゃそうしないと今の情況は無いからね、リハビリのような期間を経てようやく普通に動けるようになったんだから】
【大丈夫よそこまでお外で暴れたりしたいわけじゃないから、でも一度でいいから空は飛んでみたいかも…】
【分かった考えておくよ】
どちらにしても一度母を惑星リズに連れて行くことは考えている、だがそれにはまだ問題が山積みされており、向こうの超越者数名と会見する場所へ連れて行けるのかは未定だ。
エレベーターはいつの間にか最上階へと到着する、玄関から入るとリビングには朱里と平太の姿があった。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「おかえ りなさい」
「…なさい」
「どうだった?」
「一応うまく行ったと思うよ」
「そうなの?あちらの言うがままに契約したんじゃないの?」
「まさか」
【ちゃんとリリーさんに手伝ってもらったから】
【そうなのね】
【お土産は後でね、先に…】
【フィギュアね!】
【うん】
そうお土産を渡すより先に自室でやらないといけないことが有る、新しく手に入れた3体をロボ化してこれから増える問題ごとの手助けをしてもらわなければ。
母との会話を切り上げ、自室へ行くと机の横に3つの箱が積みあがっていた、縦40センチ幅25センチ四方の段ボール。
その中には販売当時そのまま箱に入れられた、ボルドー・キャンディー・クリスタルがプチプチシートにくるまれていた。
(スゲー、これで30センチはクロームを手に入れればコンプだな)
丁寧に段ボールから中身を取り出しそしてさらに箱から一体ずつ取り出すと棚に並べる。
(おっと…デイバックからルミナスを出さないと)
軽装甲車に乗っている間ルミナスは又バックの中に入ってもらっていた。
【ご主人おそいです~】
【ごめんごめん夢中になっちゃって…】
【分からなくもないですけど~、わー仲間が来たんですね】
【ああこれからロボ化するから待ってて】
ボルドーそしてキャンディー、クリスタル3体に対しロボ化を設定するとそれぞれに挨拶をしてくれた。
【私の心は何時でもあなたの物、笑顔でお仕事こなしますご奉仕大好きボルドーです】
【甘いと言われても止めません、あなたを癒すのが私の幸せ、おひとついかが極甘キャンディ!】
【ピュアな心は少女の証、お出かけ大好き皆の妹今度どこかに連れてってね お兄ちゃん!クリスタルで~す】
それぞれに挨拶をするとポーズを取りお辞儀する、まるで目の前でアニメから飛び出したキャラを見ているような錯覚をする。
憧れのフィギュアが俺だけのために動きそして話すのだからマニアならよだれが出る光景だろう。
それを今独り占めしているのだから…




