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帰国の便

帰国の便


午後7時にホテルのエントランスへ行くと、ややポケっとしていたコーディと、背筋をビシッと正したジェシカが待っていた。


「それでは予約しておいたレストランへ行きます」ジェシカ


コーディの記憶改竄はうまく行ったようだ、もともと上司からコーディへの命令は俺を鹵獲するのではなく上司が俺から情報を聞き出すのをサポートすると言う命令だった。

だが部屋に訪れた時、ジャミルが倒れているのを見て俺が攻撃したのだと瞬時に判断したのだろう。

普段の彼の様子からはその判断の速さは想像できなかったが、最初からただのコーディネーターが筋肉ムキムキなのはおかしいと思っていたその勘は正しかった。


「何か少しふらつくです」コーディ

「別についてこなくても私一人で大丈夫よ」ジェシカ

「それはノーデース」


ホテルのレストランで無事フレンチのコースを頂くと夜9時に自室へと戻って来た。

そして昨日のように大人3人は俺に聞きたいことが有る様子、そりゃ聞きたいだろう。


「呂方君、何かあったの?」三田

「何がですか?」

「コーディがあなたの方をチラチラ見ていたから」

「ああ、彼CIAの諜報員みたいですよ」

「そうなの!」

「だっておかしいでしょ、あんなムキムキ」

「そういわれればそうだな」内海参与


食事が終わり3人は又俺の部屋へと来て話をしている、多分今日の事に対する彼らの疑問を俺に問いかける為だ。


「俺は気付いていたが、当然だと思っていたよ」


岩田さんの考えではただのSPではなく大統領側から頼まれてFBIから派遣されたSPではと言う事だ。

まさか俺から情報を得るために来ていたCIAのエージェントだとは思っていない。


「それで皆さんが聞きたいのは今日の調印式の事ですよね」

「それだよ!」3人


英語がわかる三田さんと内海さんでもあの書類の中身までは詳しくわからなかったようだ。

それは俺も同じだが、リリーさんのおかげで不利な条項や文章は全て排除又は書き直させてもらった。

書き直させた部分をリリーさんに聞きながら彼らに説明する。


「そんな意味だったんだ」岩田

「専門用語はさすがに分らなかったわ」三田

「分かったのは金額のところだけだったよ」内海

「僕だって完全記憶がなけりゃ指摘できない所でしたよ」


本来ならば完全記憶だけでもわからないはずなのだが、今日のために英語版の契約書を各種データベースからダウンロード、それらと見比べておかしいところを指摘したと嘘をつくことにした。

特に企業が各種の特許を取得するときに用意する契約書の英語版を数十件、見比べたと言う嘘を。


「でもそんなのよくわかるわよね」

「契約書なんて専門的な部分以外は殆ど同じなんですよ」


実際十数枚の条文も企業用の契約書とほぼ同じで、最後のサインをする部分や重要な部分だけが白頭鷲のマークが入れられ国家間の取引と分かるようになっている。

今回の契約も本来、日本側も特許系の契約に詳しいアメリカの弁護士を数人雇って契約に臨むところだろう。


「一応自衛隊(日本国)を通しての契約みたいですし、問題が有ってもそちらで最初に対応する形になっていますから、直接僕には言ってこないと思います」

「まさかその日のうちに国家間の契約になるとは思ってもみなかった我々の落ち度だ」岩田

「多分あちらは僕一人さえ何とかしてしまえばやり取りが有利になるとでも踏んだのでしょう、昨夜相談した予定通りですよ岩田さん」

「確かにそうだが…」

「なにかあればさらに内緒のデータが有りますから」ニッと微笑む

「君には驚かされてばかりだな」

「今更でしょう」


人口子宮のデータはほんの一部に過ぎない、コールドスリープや完全治癒装置パーフェクトメディカルラボそして各種エネルギー還元装置エトセトラ。

宇宙戦艦のコンピューターから得られた情報はそれこそ100を超えている、その中から今回出したのはたった2つ、惑星間転移装置と人口子宮の2つ、ハッキングアプリはリリーさんのお手製だ。

何か文句を言ってくればさらに欲しそうなデータをちらつかせてあちらの言い分を相殺すれば良いだけ。

コーディ達の計画には参ったが、それも危なげなくクリアできたし対アメリカ対策はこれで何とかうまく行ったと言う所か。

だが、日本に帰れば次はCN側のスパイやその他の国が動き出すだろう。

次の日宗助たちはロナルドレーガンワシントン空港から帰国の途へと就いた。

行きはロスで経由したのだが帰りは時間の関係も有り直行便を用意してもらった、もちろん空港ではいくつかのお土産を購入したが、果たしてうちの女性陣は喜んでくれるだろうか、それだけがやや気がかりな宗助だった。


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