ホワイトハウス
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契約と言うかそれは調印式ではという、かなり大事になって来た大統領との会議。
始めは連邦ビルの会議室で契約書をやり取りするのではと思っていたが、この会議室では基本的にデータの確認とハッキングアプリの情報開示が主だった話し合いの内容だった。
だが人口子宮のデータでそれはぶっ飛んだ、いやアメリカ側が驚愕したと言って良い。
急遽このデータと合わせて日本側と正式な調印を取り交わそうと言う事になったらしい。
それほどまでに国家間で重要な取り決めをしなければいけなくなったと言う事だ。
だがそこにはアメリカ側の国家元首がいるのだが、日本側は下っ端4人と言うのでは力関係でどう見ても負けている。
もしかしたらそれこそがアメリカ側の作戦であり、本来これこそ彼らの考えそのもの。
結果としてアメリカ側にマウントは取られたが、高校生の宗助としては別に勝ち負けはどうでも良い話。
ロボ化した心臓は特に驚きもものおじもしない、ただ契約書のランクが思ってもみないほど最上級になったと言う事だ。
そしてそこには大統領のサインと、呂方宗助のサイン。
そして見届け人として大統領補佐官数人と岩田幸造や内海参与のサインが連名で書き加えられた。
そして契約書が目の前に置かれる、もちろん英語で書かれており内容はしっかり読むことを勧められたが。
【お任せください】リリー
結局リリーさんに全部確かめてもらう事になった。
【第3第7そして第22ページの項目にこちら側に不利な部分が有ります…】
リリーさんの指摘通りにクレームを入れ、書き直させたり条文を足させたりと。
向こう側の担当官も間違いを指摘され少し焦って書き直したり…とそう言う事が数回、そして2時間のやり取りを経てようやく最後の調印をし大統領と握手をする。
笑顔で握手しポーズを決めて写真に撮る、その枚数は50を超えていた。
【ところで書き直した部分って?】
【利益の%が一桁少なかった様子です、それと違約金の部分ですね、要するに責任を取らせようとする部分です】
【マジで?】
【もちろんその部分を指摘しましたので利益も5%を15%に、違約金の発生もアメリカ側に負担するよう書き換えさせていただきました、有効期限も10年から50年に変更させて頂きました】
【そういう指摘だったんだ、なるほど】
所々にNOを突き付け見直しをさせるよう要求しておいたのだが、俺はもとよりポーカーフェイスを貫いた。
こちらが指摘して直させると相手側からはシットとかオゥとかノゥという声がもれる、多分知っていて書いている節が見て取れた、要するに日本側が不利な条文を高校生に全部指摘され書き直させられたと言う事。
そして出来上がった契約書を再度確認し、全文リリーさんにコピーしてもらう。
相手が下っ端なのを良いことに、かなりぼったくりな契約書で納得させられるところだった。
アメリカ人がニコニコしている時は要注意だと言っておこう。
「これで調印式を終わります」通訳
「センキュー」大統領
「ミートゥー」
大統領と握手するなどとは今の今まで思ってもみなかったことだが。
【やはり威圧する能力とは別にだます能力もあるようですね】
【だます?】
【嘘をついてそれを認めさせる能力です】
【もしかして顔色?】
【可能性は高いです】
正確には顔色だけではなく脈拍の変動による音の変化、彼女は相手の心音を聞く能力と威圧と言う能力を使い相手に嘘の情報を投げかけ付け入る隙を作る、そして顔色を窺い勝負をかける。
さすが弁護士や代議士になって大統領まで上り詰めた人物だけの事はある。
だがロボ化した宗助に彼女のブラフ(嘘)は通じなかった。




