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人口子宮

人口子宮


そのデータは元のまま渡すことになっているが、まずは現物の確認と言う事でこの場にいるアメリカ側のコンピューター技師に用意してあったUSBを手渡す。

技師はUSBを見て少し調べてから立ち上げ済みのノートPCへと差し込む。

ノートPCはプロジェクターと連動しており、USB内部のデータを画像や映像として壁に映し出す。

リリーさんの助言から今回は言葉に当たる場所をいちいち翻訳していない。

映像に当たる場所も宇宙人の声をそのままを入れてあるので、その映像を見て音声を聞いてもすぐに意味が分かるのはリリーさんだけだ。


「ではデータを確認します」通訳


映し出された情報は100個以上の画像と映像、それらを一つずつ見ていく。


「ファンタスティック!」大統領

「オー!」研究者


まず表示されたのはゆりかごの部分いわゆる人口子宮の外観の立体映像、それはカプセルと言って良いだろう。

全体は透明でまるで卵のような形だがその中にはいくつもの管が生えておりさらに中央には核となる球体のようなものが浮かんでいる。

中には溶液のような物質で満たされており、考えようによっては大きな卵そのもののようにも見える。

そして次に表示されたのはその卵を作る外観の部品単位の情報、そして説明文が書かれている、もちろん宇宙人の使用する文字で。


「オー!」


画像や映像が変わるたびに数人から歓声が上がる、確かにこれはすごい俺も初めて見る。


【リリーさん今までしっかり見てなかったけど、これって?】

【はい、映像画像としては美しいですが、内容はかなり難しいと思われますので敢えてお勧めしませんでした】


はっきり言うと言葉は分からない、そして声もうなっているような高音にしか聞こえない。

だが人造の構造物でありながらその形はまるで生きているかのような映像で表示されるまるで立体投射された3D映像の様。

各部品の説明になってからは、ほとんどチンプンカンプンでありそこにはたまに開発者である宇宙人の顔が表示される。

100以上のデータが全て開示され、最後に作られた年月を示す文字が出るが、それが何を指すのかもリリーさん以外には解らない。


「終わりました」通訳


約1時間でUSBの中にあった各種データのお披露目が終わり、そこからは目の前で研究者同士が議論を始める、それを見て目の前に座る大統領はにっこり微笑むと。

まるで勝ち誇ったような表情になり、一言。


「ファンタスティック……」大統領

「素晴らしい、我々がこのデータを手にすれば医療は数百年進歩するのが確実になります」通訳


最初危惧していた駆け引きなど人口子宮のデータで吹っ飛んでいた。

確かにその映像は美しかった、データ自体にまるで魅惑の催眠術でもかかっているような映像の数々。

これを手に入れずしてどうするのかという、アメリカ側の思惑は最初の計画で日本側に土を付けて少し駆け引きで優位に立とうと言う物だったが。

宗助が最初思っていた通りこの情報だけでも兆が付くほどの価値が有ると思わせるには十分だった。

だがそれで宗助の立場がどうなるのかというと…


「これを我が国にいただけるなら相応の利益をあなた方に保証しましょう」通訳

「これって」三田

「ああ昨日の夜の相談は杞憂だったな」岩田

「俺も驚いたよ」参与


専門家の話だと、このメカニカルユータラスとでもいえる生体機械を作ることは不可能では無いと言う結論が出た。

但し部品単位では現在地球の科学で全く同じものは作れないと言う事で、一つの部品を開発するのにも数億ドルが必要だとのこと。

要するに全く同じものは作れないが劣化版ならばできなくもないと言う話だった。

映像に有ったのは殆ど生体機械だが現在の科学力で作れるのは見た目が機械メカな別物だと言う事。

まずは劣化版を作成し徐々にバージョンを上げていくのが一番の近道ではと言う専門家の話だ。


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