ジャクリーン・ジョンソン
ジャクリーン・ジョンソン
当代のアメリカ大統領であり歴代大統領の中でも若くして当選した彼女、もちろん頭脳は明晰そして人望も厚くその姿は威厳さえある。
彼女の家系は代々政治家であり資産家でもある、そして実はUSAのSVRでもあることは一部の人しか知らない事だった。
勿論USAにもサバイバーの団体が有り、非公式ながら協会も有ったりする。
SUFO(セイブアンデンフィールフライングオブジェクト)
Save the unidentified flying object
未確認飛行物体を守る者協会
小さいながら独自にUFOを研究する協会として存在する、もちろんその協会に所属している人物達はそれぞれに能力が有り、今でも各方面で活躍していたりする。
あのビル〇イッツもSVRだと言う噂だ。
俺は大統領を目にしても目の前のステーキにかぶりつくことにした。
単純に大人な話は大人に任せてしまおうとしたのだが、やはりそうもいかなかった。
「ミスターロホウ…」大統領
「呂方、あなたは他にも色々と知っているようですね」ジェシカ通訳
「何のことでしょう?」
「分かっているのですよ」ジェシカ通訳
「そうですか…」
「さすがですねやはり、あなたが撃退したのですね」ジェシカ通訳
「え?何のこと?」三田
「三田君少し黙ってて」岩田
「ひと月前アメリカに攻め入った2名の宇宙人、彼らは硫黄島まで行き姿を消した、だけどその後おかしな軌跡を衛星写真で確認したわ」ジェシカ通訳
「……」
「そのラインは日本へいっ直線に続いていた」ジェシカ通訳
「そうなんですか?」宗助
「ではこの写真を見てください」ジェシカ通訳
テーブルの前に出された写真にはうちの家族、それも最近取られた写真が提示された。
母そして2名の双子が仲良く買い物をしている写真だった。
写真は母と2人が買い物をしている時に撮られたようだ。
「この2名のアジア人はだれ?」ジェシカ通訳
「遠い親戚です」
「フ~ イッツフェイク?」
「噓でしょ」通訳
「どうしてそう思うのでしょうか?」
「彼女らには戸籍もパスポートも無かったからです」ジェシカ通訳
やられた、だがまだ手を打つことは可能、俺はすぐにリリーと連絡を取ると彼ら2名のパスポートを作成し電子データを改ざんするように指令を出した。
【リリー緊急事態だ】
【どうされました?】
【大統領は朱里たちの出自を疑っている】
【でしたらパスポートと渡航記録を改ざんしてしまいましょう】
【そんなことできるのか?】
【可能ですよ、それにまだ宇宙人2人の情報はばれていないと思われます】
【もしかしてハッタリか?】
【はいインドネシアの情報はそれほど厳密に管理されておりません、それにハッキングによる防御網はすでに張らせていただきました】
【やるな、ならばパスポートだけか…すぐにパスポートを作れるか?】
【パスポートを現実に作るには少し時間がかかります】
【どのくらい?】
【1時間です】
宇宙人から得られたデータの中には複雑なコピー機械も存在する、単純に言えば立体コピーの未来版。
それを使いアジアの国で発行しているパスポートを元に堂本朱里と堂本平太のパスポートを作成する。
勿論それに合わせてその国の戸籍データベースを改ざんする、発展途上国のデータベースを改ざんするのはさほど難しいことでは無いが、入力した日付けも出生日もうまくカモフラージュしておかなければ後で嘘がばれることになる。
俺は大統領が全てを知っていると言うより、リリーが言う通り半分はブラフだと言う勘に掛けることにした。
大統領は俺に対してカマを掛けている、多分その様子を見て俺が嘘をつくのかそれとも本当に知らないのかを見抜く力を発動するのだろう。
【宗助様インドネシア側の住基データの改竄は完了しました、現在パスポートを作成しています】
【頼む】
俺はそれを聞いても休まず目の前の厚焼きステーキ肉を切り続け口に運んで咀嚼する。
「彼ら2名は遠い親戚でインドネシアで宇宙戦艦に襲撃されたときに養父母が死んだ為、うちの母が連絡を受け引き取ることにしたらしいですよ」
「そんなデータは無かったはずです」ジェシカ通訳
「でも黒髪ですから襲撃した宇宙人とはまるっきり違いますよね」
「そうですか、わかりましたこれ以上質問しても本当の事は話さないのですね」ジェシカ通訳
「疑うのもよろしいですが、あまり疑い過ぎては得られるものも得られませんよ」宗助
「ホワッツ!」
「なんですって!」ジェシカ
「人工子宮のデータはまだ僕の頭の中です、交渉材料の一つですが疑われてまでこちらに協力するわけには行きません、それにハッキングアプリには数か月で専用のパスを打ち込まないと使えなくなるようにしてあります」
「リアリー!」
「それは本当なの!」
「嘘は無いですよ、面倒ですし普通アプリを作成する段階でいつまでも使えるように作ること自体変だと思いませんか?お金になりそうなものには必ずバージョンアップや課金する為のパスが用意してある物でしょう?」
自衛隊も宗助からはそこまで話を聞いてはいなかった、だがソフトを開発しそれがお金になるのなら使用期限は必ず作るものではある。
ましてや昔のアプリではなく最新のアプリであり使える場所が場所なのだ。
犯罪にも使用できるアプリにカギを用意しない訳がない。
「オ~ソ~リ~…」大統領
「ごめんなさいね、でも一応聞いておかなければいけないと思ったのよ、貴方が敵か味方かを測るためにね」ジェシカ通訳
「分かっていますよ政治的な駆け引きですよね」
さすが自分が不利になると分かってすぐに謝罪をしてくるあたりこの国のディべート力は侮れない、しかも彼女は弁護士でもあったのだから。
ブラフをかませてこちらの穴を探りそして情報を優位に引き出させる、スキルロボでなければ俺に突き刺さる視線によって嘘は簡単にばれてしまっていただろう。
「お話どうもありがとう、今日はこれで時間が無いからお暇するわね」ジェシカ通訳
「グッナーイ」大統領
自分がしたい質問を済ませてすぐに去るところから、すでに俺の初見での考察は終わったのだろう。
【脈拍120血圧120かなり動揺しています、得られる情報が無かったのだと思われます】
【反撃してあげたからね、まあ少し調べればわかるはずなのだが…】
【さすがポーカーの国です】
【まさか1ペアでフルハウスにケンカを売って来るとはね】
【朱里と平太のパスポートが完成しました】
【宗ちゃんこれって2人分】母
【ああジャクリーン大統領にカマかけられたから作っておいた方が良いと思って、もちろんインドネシアの住基データにも2人のデータを入力してあるよ】
【ほんとに、助かったわ】
【問題はこれからだけどね】
【さすが大統領ね、ここからだと見守る事しかできないから…】
【大丈夫だよ任せて】
大統領とSPが去って行くとその場に有った圧力が一瞬で消え去る、多分それ自体が彼女の超能力なのかもしれない。
人を威圧し自分のペースに持っていく、そして相手の弱い部分を見つけ攻撃していく。
だが彼女の力も宗助には空振りに終わった。




