ワシントンDC
ワシントンDC
現地時間は17日の午後3時、これから4時間かけてワシントンDCへ到着すると時差の関係で7時間プラスされる、到着時間は17日の午後10時になる。
アメリカでは東へ行くほど時間が加算される、その時差がカリフォルニア州とメリーランド州では3時間あるので移動時間も入れるとこうなるわけだ。
乗り継いだ飛行機も4時間後何事もなく、ロナルドレーガンワシントンナショナル空港へと降り立った。
空港に着くと2回目の手荷物チェック、もちろんルミナスには1回目と同じように先にロビーへと行っていてもらう。
2回目もノートPCにチェックが入り、しっかり立ち上げる所まで動作確認を要求された。
(めんどくさい)
勿論金属探知機では何も出ない、ロボ化でいくら金属のような強度を得ても体自体が金属になっているわけでは無いのですんなりゲートをパスする。
【厳重ですね】
【昔、テロが有ったからね】
【9.11ですね、宗助様がいれば防げたのに】
【生まれる前の出来事だからな~】
西暦2050年、今でも傷跡は残っている。
あれから49年経ち若者のほとんどは事件の事を知らないが、歴史の授業には時たま出て来る過去の惨事。
ここワシントンDCからは300k近く離れているのでグラウンドゼロは見る事が出来ないが。
現在は宇宙戦艦に破壊された跡の方が生々しく残っている。
LAを襲撃したのはUSAに現れた宇宙戦艦のうちの1艘、USAには合計50もの同型宇宙戦艦が襲いかかった。
たまたまNYとワシントンは何故か攻撃されておらず真ん中のフィラデルフィアが大きな損害を被った。
他の地区は通常の住宅地の方の被害が大きく、牧場の被害や農園の被害が目立っていた。
USAの被害で一番大きかったのがLAとアトランタそしてボストン。
どういう選択で初期攻撃目標を決めたのかは分からないが、アメリカの場合一つの州に一艘の宇宙戦艦が攻撃を行ったと言った方が分かり易いかもしれない。
宇宙戦艦一つで一つの州を攻撃し約2年を掛けて文明を破壊すると言うインベーダーの惑星侵略プランだが、考えようによっては相手が機械に依存し過ぎていたのが幸いしたのかもしれない。
こちらの情報をあまり選択肢に加味しないでただ攻撃すればよいと言う侵攻プランであったため各国の主要都市が半分以上攻撃から免れていた。
日本も5隻の宇宙戦艦によって攻撃されたが、沖縄や離島は攻撃されていない。
彼らの侵略プログラムはある程度破壊し終えると次の場所へと言う風に攻撃地域を変更するようになっているのだろう。
「ようやくついたな」岩田
「ここからは?」
「こちらで車は用意しました、私に付いてきて下さ~い」コーディ
彼の後ろを付いて行くと空港の外には黒塗りのリムジンが停まっていた。
「これに乗って下さ~い」
リムジンの前後にはSPの乗る車が1台ずつ、リムジンには10人ぐらい乗れる大きさが有った、中にはソファーのような椅子が。
そして冷蔵庫内にはシャンパンが用意されており天井には数百万はしそうなシャンデリアの灯りがキラキラと光っている。
【マジ?】
【無駄な作りの車ですね、シャンデリアはきれいですけど】
【乗り心地を求めた形だからね】
ルミナスは俺の背に乗っているが、光学迷彩はまだ継続中だ。
歩いているとたまにコツコツと彼女の頭が俺の後頭部に当たるので置き去りにしていないか心配することもない。
リムジンの乗り心地は結構よかったが、若いうちにこういう贅沢をできるとは思わなかった。
「もしかして岩田さんも初めてですか?」
「いや日本人でリムジンに乗ったことが有る人は1パーセントもいないだろう」
「さすがアメリカですね、ちなみに私は昔乗りましたよ」三田
「どこで?」岩田
「世界柔道のアメリカ大会で一度渡米してますから」
1%が目の前にいたとは、だが彼女は語学も堪能な防衛大卒のエリート。
「ちなみにこちらには友人も数人いますよ」
「そうなんですね」ジェシカ
「内海さん?どうかしました?」
「私は車酔いするんだよ…」
「飛行機は平気なのに?」三田
「細かく揺れるとね…」
「酔い止め有りますよ」三田
そういうと三田さんは冷蔵庫から冷水を取り出しグラスに注ぐと、バックから取り出した薬と共に内海さんに渡す。
ヘリや飛行機では酔わなかったのに車では酔うらしい、ちなみに俺は昔から酔わない上に現在はロボスキルのおかげで時速900kオーバーでも平気になってしまった。
「あ・有難う」
空港からホワイトハウスまではさほど距離が無い約3キロ、広い通りを割とゆっくり走って行く。
夜10時が過ぎ本日はホワイトハウスのすぐ横にあるホテルに宿泊する予定だ、車はそのホテルの前で止まるとボーイの手によってドアが開かれた。
「あ、両替忘れてた」岩田
「私が出しておきます」三田
アメリカと日本の違いそれはチップ、必ず50セント硬貨や1ドル札は数枚用意しておくとよい。
よく考えてみると確かにそんな暇は無かった、三田さんはさすがに何度か海外旅行を経験しているらしく小銭を常に用意しているらしい。
コーディが先頭に立ちホテルの受付でチェックインの手続きを始めるとすぐ後ろにはジェシカさんがコーディのサポートを始める。
俺はと言うと1階ロビーの天井を眺めていた。




