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パスポート

パスポート


後日俺は市役所へ行きパスポートの申請をすることに、初めての海外旅行となるのだが。

海外よりも先に宇宙旅行を済ませていると言うのがなんとも言いがたい。


【宇宙へ行くのにパスポートが要らないのに、地球上の他の国に行くのは必要なんだよな】

【そのうち惑星リズへ行くときもパスポートが必要になりますよ】

【その時は電子申請になるのかな…】

【多分指紋と網膜のチェックになると思われます】

【その前にデータの登録が先になりますね】


ネットのクラウドを仲介して各国の個人データを閲覧可能にする、そうしないと電子情報での入国管理は進まないが。

そのためにはデータ管理をかなり厳重に管理しないといけない、すでに海外では導入している国もあると聞いているのでチェック方式をどの程度まで導入するのかが今後の課題になるだろう。

後は国と国の話し合いと言う形になる、そのうち遺伝子情報で個人を特定する方式になる時代も来るのではないだろうか。

市役所の窓口で申請すると翌日には写真入りのパスポートは無事発行された。

昔は1週間近くかかったと言う話だが、最近はそのあたりも早くなっている西暦2050年。

日曜日の夜夕食が終わりリビングで本日送られて来た郵便物を見ていると百合ちゃんが話しかけてきた。


「宗ちゃんそれって、パスポート申請したの?」ゆりな

「ああ ゆりちゃん、近いうちにアメリカに行かないといけないみたいなんだよ」

「そうなんだ~私もいきたいな~」

「えっじゃあいっしょに行く?」

「連れて行ってくれるの?」

「ごめん冗談 今回は無理なんだ」

「だよね」

「だって今回は行ってもずっとえらい人たちと話し合いばかりになるからね」

「もしかしてあのアプリの話なの?」

「そうなんだよ」


昨日市役所の休日窓口を利用してパスポートの申請をして置いた為本日書留郵便で送られて来た。

一応最新の様式を取り入れたシステムを利用しているらしい、中を開くとQRコードが印刷されており電子チップも採用されている。


「ところで家の方はどう?」

「昨日見てきたらもう柱は全部できていたみたい」

「そうなんだ」

「でも…」

「どうしたの?」

「え~と 宗ちゃんは一緒でも大丈夫なの?」

「ええと それは若い男女が一緒に住んでいてもって事?」

「もう…いじわる」


そういって顔を赤くする百合ちゃんだが、俺は特に同居することに対して問題は無いと感じる。

問題が有るとしたら自分達ではなく他人がそれをどう見るかだろう。

俺は今回の同居に関してはアパートの家主と店子の関係と大して変わらないと思っている。

確かに家主はうら若き乙女と言うのはシチュエーションとしてはどうなの?という感じだが。

そうしないと彼女をサポートするのがあの借金を背負った親戚しかいなくなる。

養子縁組まではしなかったが、うちの母が後見人に名乗りを上げ弁護士をはさんで申請登録までしているのだから今更解消するなんてことにはならない。

今の情況は俺たち家族にとっても彼女にとっても幸せな状況に変わりはない。

天国にいる彼女のお父さんも歓迎してくれると俺は思っているのだが…


「ところで百合ちゃん進路はどうするの?」

「私は文科系か芸術系に進もうかと思う」

「もしかしてうちの母の影響?」

「それはあるかもしれない」


あれから暇なときに母の小説を検索してみた。

すると出てきたのは恋愛物とファンタジー物の小説が100冊以上、中にはドラマやアニメになった物も数本有り。

ファンタジー物は何冊か読んでみた、その中には転生物が多かったが、確かに読みだすとひきつけられる内容が多く。

なぜ今まで息子である俺がこのことを知らなかったのかと考えてしまう。

確かに母の執筆している姿は全くと言って良いほど見たことが無い、今はお休み中と言っている母、俺を産んでから17年間子育て中には執筆活動をしているところは見ていない。

何時の間にか百合ちゃんは母から聞いて小説を読んだりしたのだろう、中にはドラマや映画になった作品もあると言う。

彼女は明らかにそんな母に感化されていると言って良い、もしかしたら百合ちゃんにとって母親と言う形の理想像がうちの母になっているのではないかと思わざるをえない。

息子としてはなんだがこそばゆい感じがするが、彼女がそうやって目標を持ち生きていくならそれは応援しようと思う今日この頃だ。


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