超越者の行方
超越者の行方
宇宙人の超越者は情報のやり取りをしているうちにだんだん打ち解けて来た。
アルファやベータの時はその危険性からすぐにロボ化を進めたが、この超越者はそこまでしなくてもよさそうだ。
《そんな事までできるのか?》
《ああ可能だ、だがいくら以前のように地上が住めるようになってもそこからは君たちが自ら創意工夫して自分たちが住めるようにしなければならない》
《課題は山積みと言った所か》
《ところで食料はどうしているんだ?》
《俺たちは力を使って奴らから盗んできている》
《そうか、よく彼らに見つからないものだな》
《そういう能力者もいるからな》
その後は次回この星に来て彼と会う約束をする、ところどころ映像や画像まで見せてくれたことで超越者たちの生活が大体わかって来た。
やはり人数はそれほど多くは無いがそれでも1000人以上いる、彼らは粛清部隊から逃げて来た。
最初にこのような場所を見つけたのが幸運だったと言う、すでに200年以上この場所で暮らしていると言う彼等。
超越者達は最初、念動力のみしか使えなかった、だが同じ能力を繰り返し使ううちに別な能力を手に入れる。
最初の一人が手に入れた能力は人の力を測る能力(鑑定)、そしてその能力が次第に大きくなり索敵能力まで派生して行った。
彼はその力で数人の超越者を見つけ仲間にしていく、粛清部隊に分からないように知られないように。
開発途中で廃棄された地下都市を見つけある日数人の仲間とここに移り住んだ。
仲間の中には空気の浄化能力や俊足と言った能力者、瞬間移動や時間操作などの能力持ちもいる。
マザーの支配下から離れても生きて行けるだけの力を持つ能力者を見つけ協力し合い今まで生きてきたが、それでも中々生きていくのは難しいと言う。
最初の難関は子育てと言うのが俺には気になった、確かに機械の中で育った彼らにその情報は無い。
生まれた子供を育てるには様々な経験をもたらすが同時に危険も孕んでいた。
彼らはテレパシーで情報共有するがそれは人口子宮から生れ出た者達に限られる。
自然分娩で生まれた子供は当然のことながらそれまではいなかった。
それは殲滅部隊に発見される可能性も含んでいた、超越者同士の婚姻・出産そして子育て。
新たに生まれて来た生命には同じような超能力が無いときもある、言葉と言う概念を忘れテレパシーに頼って来た彼らは後天的にテレパシーを身に付ける術さえ超能力で手に入れたと言う。
それはある意味宗助のロボ化と似たようなスキルだった、だがその力の範囲はそれほど広くない、言うなればテレパシーのみに限った付加能力。
そういった能力者を探し育て、マザーの目を欺き生きてきたのだ。
時折元居た都市に潜入し仲間を見つけ連れ出し、徐々に増やしてきたが現在はそれも限界が来ている。
千人からの食料を確保するにはかなり危険な作業をこなさなければならない。
食料生産を主に行う都市へ潜入し盗んでくるのだが、最近はそれでは足りなくなり。
盗み出す生産拠点も現在は10か所まで増えている、このままではいずれ見つかるのは目に見えている。
生産ラインごと盗んでシステムを運び込みこのコロニーでも食料を作り出してはいるが、それでも年々食料の供給が追い付かなくなっている。
ようやく手に入れた食料生産の機械も動いたのはごくわずか、結果として超能力を駆使して細かい作業を行う事でようやくわずかな食料を手に入れている。




