CN(チャイナ)
CN
研究員から得た情報により、惑星間転移装置のデータは簡単に手に入った、それを本国の上役へと話しさらに国の上層部へと持っていく。
すぐさまその国から日本に潜入しているスパイへと特務事項が言い渡された、それは一時USAが行った事と似ているが。
CNが現在行っている潜入は色仕掛けや接待が多い、まずは酒と女で鹵獲しようと言うのが一番確実な方法であり、相手の羞恥心に働きかけ鹵獲し機密情報を出させることができればOK。
だが呂方宗助は高校生であり、そこへ嵌めるのには無理がある。
ならばその家族を嵌めて、息子へと手を伸ばすのが一番うまく行く作戦だろう、そしてその最初のターゲットは2人、父親である敦之と母親である美土里と言う事になる。
その前段階として2人の内どちらをメインターゲットにすれば効率よく呂方宗助を嵌められるのかを現在探っているのである。
CNの調査員は数メートル離れた路地にバイクを停めて、スマホを操作している風を装っている。
時折こちらにレンズを向け写真を撮っていたりするが、このぐらいの距離では相手が何者かもわからない。
だが尾行していた自衛隊員石神はその様子を気になりチェックしていた。
(バイク便でもないのに何してんだ?)
時折建築現場にスマホを向け写真を撮っている、それは不自然だが昨今はグーゴルマップの投稿とかでやたら写真を撮る人も増えている。
そういう人もいないわけでは無いが、まだ建物が立つ前の土地なのに写真撮りはおかしいと思うのが普通だ。
なので彼は側に寄ってみることにした、現在石神の服装は普段着ではあるが靴はスニーカー、Gパンに皮のジャンパーと言ういで立ち。
わざとバイクに近寄り声を掛ける。
「すいませ~んちょっとお聞きしたいことが…」
するとスパイは慌ててヘルメットをかぶると、何も言わずに立ち去ってしまった。
(怪しすぎる)
こちらが制服を着ているならばいざ知らず、今は普段着であり石神の外見はややイケメンの普通の男だ。
身長は172センチ、やや筋肉質であるがそれほどムキムキでもないし今日はサングラスもしておらず強面でもない。
「ありゃ、せめて一言でも交わせれば素性わかったのにな~」
(一応知らせておくか)
彼は定時連絡を上司の三田へと入れることにした。
『こちら石神』
『三田です、どう警護は』
『不審な奴が2組いますね』
『ほんと⁉』
『ええ、一組は金融関係です、前に木下家がらみで関係が有った高利貸しみたいです』
『あ~それはしつこそうね』
『後の一組はかなり不審でした、声を掛けたら速攻逃げましたから』
『USAの時のことも有るしこの先どの国が出てきてもおかしくないから、ちゃんと見張っていて頂戴ね』
『ああ後で2組の映像送っておきますね』
呂方家を見張るついでにしっかりと2組の映像を撮っていた、悪徳金融の3人は斜め横から通り過ぎざまに全体を撮ってあるしバイクの奴は正面から映像で記録した。
彼の体には2か所にカメラを取り付けてある、革ジャンの胸ポケットのペンに仕込まれたカメラは自然と思うか否かはわからないが。
スーツではなく革ジャンにペンなのだから、そして2個目のカメラはベルトのバックル。
バックル型カメラの場合Tシャツやワイシャツがベストだが、この時期だとそれは少々涼しいので革ジャンは前をはだける形で着こなさなければバックルに埋め込まれたカメラの邪魔になってしまう。
それにしても懲りない奴らがまだ狙っているとは思わなかった、このことは母や平太たちの目を通して宗助にも映像データが共有された。




