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百合奈の家

百合奈の家


場面は変わってこちらは現在建築予定の家を見に来た呂方家の母とその一行、そこは閑静な住宅街でやや古い昔からの家屋敷が立ち並ぶ地域、百合奈の家は一応通りに面しており庭の広い家だった。

今はすでに家屋の取り壊しが終わり70坪の土地だけがそこにあった。


「わー何にもなくなると寂しい感じ」

「そうね、だけどこれからここに百合ちゃんと私たちの住む家が建つのよ」

《家族ですね》朱里

《ええそうよ》


ロープと車止めで仕切られている土地はすでに整地が済んでいて今日は地鎮祭と言う儀式をすると言う。

時間はまだ10時を回った所だが、そこに不動産会社を経営する兄とこの場所に家を建てる建築会社の人がやって来る。


プップー

「あ 来たわ」


建築会社の人がすぐに車から降りてロープを外し車止めを脇によけると車はその中へ半分入ってきて停まった。

すると美土里の兄である、不動産会社社長の香月葉介と地鎮祭を受け持つ神主が降りてくる。

昨日の内に用意はしてあるため、本日は神主が祝詞を唱えて神に祈れば終了だ。


「お手数かけます丸〇建築株式会社の一級建築士、吉本蔵人と申します」

「初めまして呂方美土里です」

「初めまして、木下百合奈です」

「ドウモトアカリです」

「ドウモトへいたです」

「この子達が へ~ あ すまんすまん不動産会社の香月葉介です」


一応美土里から兄には2人の事は伝えてある、確かに遠い親戚に堂本という姓を名乗る人はいるしその子孫は外国へと渡ったと言う話も聞いている。

だがすでに半世紀以上前の話であり遠い親戚のため、そんなに近しい付き合いを続けていたわけでもない、そういう親族がいたかもしれないと言うぐらいしか記憶に残っていない話だ。

勿論妹の話を信じた兄は詳しく説明を求めたりというようなこともしていない。


「オジサンはママさんの?」

「美土里の兄なんだよ」

「そうなのですね、よろしくです」


この間に神主さんは地鎮祭の小道具をそろえていよいよ地鎮祭が始まる。


「さあこれから始まるからここで見ているのよ」


神主の後ろに並びその様子を見ている。


《これは?》

《この土地の神様に、家を建てるための許可をもらう儀式よ》

《何のために?》

《神様にお願いをして事故や不幸を呼び込まないようにする為よ、まあ施工主の不安を取り除くためでもあるわ》

《不幸、幸せは自分でつかむものでは?》

《あなたたちの世界でも争いはあるでしょ、自分たちの生活を守るために戦争をするんだし》

《はいそうです》

《その戦いをうまく行くようにマザーにお願いするんでしょ》

《ああ、そういう意味でしたか》


確かにマザーは神ではないが立場や位置づけは同じようなものだ、兵士はマザーからの命令で動くし、何をするのもマザーに相談してから決める。

それと同じことと言われれば確かにその通り、神と言う実体のない物を信じている地球人の考えがようやく少し分かって来た。


《この世界には神がいっぱいいますね》

《そうよ特にこの国はね》

《よく命令が混濁しないものです》

《直接命令するわけでは無いもの、神はただ見ていてくれるだけよ、そう考えておくことで安心を得るのよ》

《いると信じる、確かにここに主がいないけどいると思うと安心しますね》

《いい例えね、まあその代わりの者が前でお祈りをしている神主と言う神に使える者の事を言うのよ》

《また少し難しいです》

《うふふ、あなた方の世界だと彼がマザー付司令官かな》

《そう考えれば分かり易いです》


地鎮祭が終わると今度は本格的な建築の話になって行く、もちろんすでに設計図は出来上がっており。

地主である百合奈ともしっかりと話合って決めていく。


「わー3階建てですか」

「3階部分はお風呂と多目的スペースと物干しね」

「マンションにあったサンルーフと同じ仕様ですか?」

「ええ、今度の家は女性が4人いるんだし、昔のような外に干すなんてできればしたくないでしょ、洗濯はお風呂に入った後そのまま3階で行えるようにしたから、おトイレは各階に一つずつ設置してあるから、皆で手分けして掃除しましょう」

「はい」

「2階はみんなの寝室や勉強部屋で1階がリビングとキッチンね」

「少しお庭も残したんですね」

「将来の事を考えると1階部分は車や自転車を入れておく場所も必要だし、外に物置小屋を作ることもできるから、全部建物で使うと後で何か不具合があった時に余裕がなくなるから」

「でも素敵な家になりそうです」

「直すところはございませんか?」建築士

「このままで大丈夫よ」


いよいよ明日からこの土地に木下家と呂方家の住む共同住宅の建築が始まるのだが、それをやや遠くから見ている者がいた。

一人は陸上自衛隊宇宙人対策特化部隊所属の隊員、岩田陸尉が任された部隊の隊員だ。

直属の上司は三田三等陸尉でありこの部隊の構成員は全部で50人、全員が完全に部隊に所属しているわけでは無く専属の部隊員は20人と言う所。

30人は各部隊に勤務しながら要請があると協力する為に合流する形。

いくら宇宙人に詳しくともそれ自体が仕事になるわけではない、なにせこれまではただの趣味で知識を得ていただけなのだ。

そういう隊員を探し出し急遽協力してもらうようにパイプを作ったと言った方がしっくりくるかもしれない。


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