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タレント事務所

タレント事務所


土曜日俺は約束だったタレント事務所へと出かけることにした午前10時、この日母と百合ちゃんは今絶賛建て替え中の思い出の家へと行くらしい、すでに取り壊しは済んでおり、荷物は母の伝手で大きめの倉庫へと搬入が済んでいる。

今日はその家の跡地に建築設計会社の責任者の人が来て打ち合わせもする予定だと言う。

確かに現地をしっかり見てからでなければ家の設計図だけを見ても分からないことがある。

それにその土地は百合ちゃんの持ち物なのだから。

一応暴漢対策として母にロボスキルのレベル変更可能権限を付与して置いた、まあ変更しなくても大丈夫なのだが、万が一車で突っ込んできたり重機で襲ってきたりした場合や。

ナイフやスタンガンというような武器で襲われそうなときレベルを上げることでそれらを完全無効化できるのだから、一応母には注意事項だけは伝えてある。


【レベル10はスーパーウーマンだから、できれば使わないようにね】

【分かったわレベル6ぐらいでいいわけね】

【うんそれでもかなり強くなれるから】


レベル6、まあレベル1でも弾丸やナイフにはびくともしないボディーなわけだが。

相手を捕まえたり追いかけたり飛び回ったりという行為に対してはレベル5以上無いと対応できない。

レベル10は車に体当たりして車がぐっちゃりするレベル、レベル6だと体当たりはできるがそこだけ凹むぐらいの力だと言う感じかな。

母がそういう事までしなければならない状況は考えたくもないが、何が起こるかわからないのが分かってしまった以上対応策は必要だ。


【多分大丈夫よ】

【そうだ朱里と平太も連れて行くんでしょ?】

【あ、そうよね連れて行くわ】


そちらは母に任せるとして本日はいよいよアイリーンに再び会わなければいけない。

そしてサバイバーたちの所属する事務所へと行く事になっている、ホームページからではまるっきりわからないその実態を今日確認しに行くわけだが、数十年も通常のタレント事務所で通しているわけで。

まさか俺の事を監禁するようなことまではしないだろう、まあ一応覚悟はしておくがアイリーンの態度もそれほど危険があるような感じでは無かったし。

普通のタレント勧誘ぐらいに考えておいても間違いはないだろう、だが話の内容は結構宇宙人がらみになるのは避けられないと感じる。


中央線に乗り代々木で地下鉄に乗り換え六本木の駅へ、少し早めについたのでキコスクに寄り飲み物を購入。

するとすでに待っていたのか、後ろから女性の声が聞こえる。


「呂方君!」

「ああ国生さん、こんにちは」

「早かったね」

「いや六本木は1度くらいしか来たことないし改札を間違うかもしれないから」

「そうなんだ、じゃあ案内するね」


そう言うとすぐに腕を絡めて来ようとするので、先制攻撃として手を握ると指を絡めてにっこり微笑みかけてみた。

言っておくがこんな事今までしたことが無いし、本当はしたくないのだが腕を組まれて体を寄せ付けられたらそちらの方が困ってしまう。

ロボスキルで心臓は鋼のようになり慌てることもなくなったが、彼女に対しては少し演技しておいた方が良いだろう。


【宗助様計画通りです】


何が計画なのかはよくわからないが、アイリーンはタレントなわけで実は手をつなぐのもあまりよろしいわけでは無い。

一応この場所にいて俺を待っていたのに彼女に気付きサインを求める人がいなかったことを考えると、今の彼女の変装はうまく行っているのだろう。

それは何故か?その恰好はとても普通だったからもちろん頭には帽子をかぶり顔にはマスクそしてサングラスではなく普通の眼鏡と言う感じ、アウターはGジャンに黒のGパン。

確かにスタイルの良さは変わらないが、この格好だとアイリーンだと気付く人は少ないだろう。

髪の毛も纏めて帽子の中に入れ込んでいる様子なので金髪なのかも分かりずらい。

彼女はまるで俺の恋人のようにふるまおうと言う気が見え見えなのだがそれは勘弁願いたい。

それならば手を握ってしまう事が何故密着度を制限できるのかと言う事に関しては、説明が難しいところだが。

相手が体を寄せて来ようと言うなら手ぐらいつなぐのはかなり自然な行為、そして指を交互に絡めて握れば実はそれ以上密着させないように誘導することができるのだ、絡めたまま腕を体から離し肘を曲げればそれ以上こちらへは寄ってこれなくなる。

だが彼女の能力はこの状態でも使えるはずなのだが、そのそぶりは全く見えなかった。


「呂方君、迷惑だった?」

「何が?」

「え~いじわる~」

「君が何をしようとしているのかはわからないけど、僕は健全な高校生でいたいから君もあまり無茶はしない方が良いかと思うよ」

「え~別に無理はしてないよ~」

「それでどっちへ行けばいいのかな?」

「あ そうだったこっちこっち」


と言いながら絡めた手のひらを見て顔を赤く染める、駅の改札を出て通り沿いに右へ曲がると少しして赤い塔が見えてくる、言わずと知れた東京タワー、それを見ながら少し歩いて又右へと路地を入ると。

おしゃれなビルの1階にはブティックやヘアサロンが並ぶ一角、そして目指す建物が見えてくる。

8階建てのビルには1階にカフェが有り2階に彼らが所属する芸能事務所が入っている。

3階も同じくUSSJウルトラスーパーサバイバージャパンの事務所兼稽古場となっているようだ。

2階へは階段とエレベーターどちらでも行けるのだが建物の作りなのか2階は少し手前に出ていてエントランスまで階段で行けるようになっている、エレベーターは1F 建物の奥から乗る形だ。


「こっちよ」


階段を上がりガラス張りの自動ドアが開くと中は少し広くなっており中にもう一つドアが設置されている。

入口には花が飾られ、今期所属している大御所タレントの顔写真が数枚張られていて、その横には定期公演のポスターや所属タレントの出演している番組や舞台のポスターもあった。


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