帰えって来たどー
帰えって来たどー
まずは念入りに有害物質除去装置を使い自分の周りを点検する、さらに外来の微生物や金属をチェック、もちろん近くの公園で光学迷彩を使用したまま。
【どう?】
【大丈夫です、宗助様の呼気からも汚染物質は見られません、放射線値も正常です】
【それじゃこのまま戻ろう】
【かしこまりました、警備の自衛隊員に変化もない様子です】
俺はそのままマンションまで行くと、母に連絡をする。
【母さん、戻ったよ】
【ちょっと待ってて今開けるわ】
いつぞやと同じまるで幽霊でも入って行くかのようにそこには何も映らないが自動ドアだけがスーっと開くと風だけが中へと入っていく。
勿論その後のエレベーターも、同じように無人で動いているとしか見えない。
【ただいま】
そこにはマンションのドアを開ける母の姿。
【無事だったのね、心配したわ】
【みんなは?】
【もう食事は済ませたわ愛はシャワーを浴びてる】
【了解】
何食わぬ顔でリビングへと入ると用意してある食事を摂る、やはりカモミーメイト3つで、計5回のテレポートは少しきつかった。
それは母の作った食事をあっという間に平らげただけではなく、久しぶりにお代わりを2回もしたからだ。
「久しぶりね御替わり2回なんて」
「少しジョギングしてきたからかな」
【転移するのにエネルギーが足りなかったみたいだよ】
【そうなんだ、でも行ってきたのね】
【ああ、ちゃんと行って帰って来れたよ】
【だけど作戦修正をしなければいけなくなった】
【どうして?】
【向こうに、仲間にできそうな能力者がいたんだ】
【そうなの?】
【ああ、ただ彼らを仲間にできるかはまだ未定だけどね】
超越者達の住む場所は特定できた、それは地下ではあるが最初の開拓でガスが多いため住むには適さなかった場所だ、今では他の地上よりは毒性が低い場所であり、現在はそこを住処として開拓したような場所だった、ガスはそのままエネルギー化して利用しているのだろう。
サーチアプリで検索してみたところ、少なくとも100人以上はそこに住んでいるようだ。
彼らを仲間に引き込むとして、どのくらいこちらの話を聞いてくれるかが問題なのだが。
最初はやはりROBO化してこちらのデータを植え付けた方が早いかもしれない。
【その宇宙人達も敵は全部排除しちゃう人たちなのかしら】
【それは分からないけど、単純に考えて朱里や平太たちのような侵略者が超越者の住処を知らないってことがその答えだと思う】
【要するに対抗していないってことね】
【数が少ないってこともあるけどね】
【その人たちの意向を調べてからでないと大本をどう料理するかは難しいと言うわけね】
【それによってかなり計画内容が変わってくるでしょ】
【協力してもらえれば早く片が付く可能性もあるのね】
【逆にやばい人たちならば余計に時間がかかるかもしれないし】
【一応朱里達にも聞いてみよう】
【そうね】
母との話が一段落して今度はテレパシーで朱里達と話をする。
《朱里、平太まだ起きてるかい?》
《あ 主、どうでしたか?》
《行ってきたよ》
《本当ですか まさか本当に行けるとは…》
《それでなんだが、向こうの超越者とはお前たちの側からはどういう立場になるんだ?》
《見つけたらすぐ粛清という形ですね》
《過去に見つかったものは?》
《ほぼ単独での粛清です、コロニーの発見まではしていないですね》
《それって、あえて探すことはしないってこと?》
《発見した場合は即排除という形です》
《そうかならば彼らを仲間にして朱里たちをバックアップしてもらうようにすれば、仕事が楽になるな》
《もしかして超越者を見つけたのですか?》
《ああ、だが味方になるか敵になるかはわからない》
《超越者は年に一人出るか出ないかです》
《そんなに少ないのか?》
《ほとんどの場合隠しますので》
《隠せないような能力者のみ粛清対象になるって感じか…》
《そうなりますね》
超能力と言っても彼らはすでに念動力を最初から使えるわけで、その力の使い方は訓練でかなり的確に使いどころを叩き込まれているようだ。
その中で超越者に対する扱いも教えられるので、後天的に生まれてくる超越者にもし自分がなった場合どうすれば良いのかは知っているはず。
だが超能力もピンからキリまであると言える、SVRの少女達は予知や捜索そして読心といった割と危険度の小さな能力持ちだったが、中には狂暴凶悪な能力が無いとは言い切れない。
その場合自分の能力を抑えきれず爆発してしまう物もいるだろう、当然近くにいる超能力者が犠牲になる。
要するに事件が無ければ動けないし動かない、問題が無ければ放っておくしかないと言う感じになる。
そしていずれ超越者のグループの存在を知ってもそれを隠して暮らし、機を見計らって合流すると言うのが超越者の流れなのかもしれない。
たった一人の超越者だったが見る限り特におかしなところはないし食に飢えているような感じもしなかった。
ただ感知能力が優れた超越者がいることは確かだ、わずかな空気の流れや乱れた磁場を察知して捜索しに来たのだから。
もしかしたら俺の事を殲滅部隊だとでも思ったのかもしれない。




