荒廃した世界
荒廃した世界
そこは植物などという命も動物もすべて死に絶えたかのような世界、一応構造物の残骸はあちらこちらに見られるが。
それらは現在使われておらず、地表には砂埃が舞っている。
【大気の測定をしておこう】
【かしこまりました、現在の大気には窒素50&酸素8%炭素20%有害物質とみられるPM2.5を確認、放射性物質を確認、シアン化物質を確認、ヒ素及び硫酸塩の粉末を確認しました】
【宇宙船から手に入れた情報よりひどいな】
【あの情報は少し古いようですね】
【この状況を変えるにはどうしたらいい?】
【廃棄された瓦礫から機械類を探し大気汚染除去装置を構築するのが一番確実だと思われます、但しこの星全ての大気を浄化するには100年以上かかると思われます】
【それは仕方ない、まあ来るたびに装置を増やせばもしかしたら早く浄化できたりしないか?】
【それは可能です】
【じゃあそうしよう】
俺は一応転移した後も光学迷彩機能を使っている、もし地上にこの星の人族がいたとしても分からないはずだったのだが。
俺が転移した場所は眼下に汚染された海が見える崖の上、少し歩くと建物の残骸が有り。
海の向こうには高い塔のようなものがそびえたつ、だがその塔も半ばからひしゃげており。
どう考えても今は使われていないと一目でわかる、崖の上から少し歩くと瓦礫の街。
それはコンクリートのような壁が不規則に割れて所々金属の板がむき出しになり、その先端は丸く溶けているようだ。
さらに歩くとようやく形が分かる建物の残骸が有ったので中を覗いてみる。
建物の残骸の中には機械らしきものの残骸が有り、俺にはそれが何の装置かもわからなかった、地球ならば機械には必ず線がいくつも伸びて居るはずなのだが、その機械には電源という物を使用するための線が一つもなかった。
【これは何かの機械らしいな】
【そのようですね、この大きさですと水の作成装置かと思われます】
【取水するんじゃないんだ】
【大気から抽出するのではと思われます】
【大きさも手ごろだしこの残骸を浄化装置にしてしまおう】
【かしこまりました、対象の残骸に大気の浄化装置ギガエアクリーナーを構築50%70%90%5・4・3・2・1完了しました】
浄化装置を構築したとたん周りのくすんだ空気がすぐにクリアに変わってくる。
見てくれは廃棄された機械にしか見えないのだが。
【これって稼働するためのエネルギーは?】
【この星の場合、地熱と放射線を利用した半永久機関を採用しています】
【この星のデータにあった情報からか?】
【はいその通りです】
【宗助様誰か来ます】
突然と言って良いだろう、目の前に宇宙服のようなものを纏いゆっくりと歩く人が見えて来た。
大気は未だくすんでおり風に砂のようなものが混ざっている為、生身でこの地を出歩くことは生物にとっては死にに行く事に他ならない。
《この地区だったはず》
《磁場に変化がみられる》
《何かが来たことは間違いないな》
《粛清部隊か?》
《いや奴らなら調査した場所に印を置いていくはずだ》
《?大気が変化している、なんだ?》
《どうした?》
《おかしいこの場所だけ大気の汚染度が低い》
《そろそろ戻れ!》
《分かった、汚染ゲージも上がってきたので帰還する》
どうやらその人物は一人で調査に来ていたらしい、この地の超越者といった人たちか。
様子から見ると彼らはかなり前から活動している様子、これでこの星の安全化計画は又複雑になってきそうだ。
これは宗助にとっては朗報でもあるが計画がより複雑になって行く事にもなる。
【リリー彼にマーキングしたか?】
【はい完了しています】
【これで彼らの居場所が特定出来たら、次に訪れる時はその近くへ転移し、彼ら超越者のグループと接触してみよう】
【宗助様そろそろ1時間が経ちます】
【分かった戻ろう】
この星の重力は地球の0,7倍 超能力が有れば楽に空を飛べるが、その代わり死を覚悟しないといけないぐらい大気は汚染されている。
一応大気中の汚染物質は地球にもある元素の様で、全く未知の元素は2つぐらいしかなかった。
それも宇宙船からのデータにあったものであり、その物質自体は人体に影響がないと結論付けられている。
俺は一度この星の大気圏へと移動し、そこから月の表面へと移動する。
【無事帰って来れたな】
【おかえりなさいませ宗助様】
【俺の周りに空気浄化装置と汚染物質除去装置を展開】
【かしこまりました、約1分で汚染物質は除去されます】
その後カモミーメイトを口に入れ足りなくなったカロリーを補充する。
そして又地球の成層圏へと移動しそこから地上へと転移した。




