惑星リズ
惑星リズ
大統領とのリモート会議、官房長官も忙しいらしく大統領が去るとすぐに退席し残ったのはまたもや岩田さんと俺の2人。
渡米するのを来月にしたのは、当然宇宙人をその間に何とかするための期間を考えたからに他ならない。
そういう事になると判れば、今後の予定として俺は早ければ明日にでも惑星リズへと行く計画を進めなければならない。
『宗助君そう言えば人口子宮のデータはどうする?』
『ああそうでしたね、人口子宮のデータは未加工で出しますよ』
『だがそれでもかなり大きな情報だと言わざるを得ないだろう』
『そうですね今の医学が100年ほど進歩する可能性が有りますね』
『そんなデータがまだいくつもあるのだろう』
『あるかもしれないとだけ伝えておきます』
『ああすまん、悪気はないんだが、少し心配になってきたよ』
『岩田さんは良い人ですね』
『いや俺だって自分が大切だから、家族をないがしろにしなければいけないことはお断りするよ』
『それは当然ですよ、今はわざわざ現地へ行かなくてもリモートで情報は得られますし』
『だが、本当に君は大丈夫なのか?』
『まあ僕はいち学生ですから、それほど危険はないでしょ』
持っている情報はとんでもないものだが、見てくれは普通の若者にしか見えない。
渡米したとしてあちらの人間にどう扱われるかはそれほど心配することもないだろう、まさかヒーローものの登場人物と同じような能力をリアルで持っているなどとは思わないだろう。
この後数分で岩田さんもアプリから退場した、俺はその後母とやり取りしその日は就寝することにした。
【どうだった?】
【ああやっぱり英語むずいな~】
【でもこれからは絶対必要よ】
【ああ、勉強しなきゃ】
【ええとそれで何の話をしたの?】
【例の宇宙船からのデータの話だよ】
【それだけ?】
【そのほかにもあるのか聞かれて、それで来月やっぱり向こうへ行かないといけないみたいだよ】
【アメリカにいくの?】
【ああそうなる、日程は分からないけど、こっちは学生だから土日を使うしかないから】
【そうよね】
全容は母にも話すことを避けるがそのうちに分かることなので細かく説明していたら何時間もかかってしまう。
それよりもこの状況はやはり先に進むことを考えなければいけない。
と言う事で翌日俺は惑星リズへ惑星間転移スキル、いやこの場合スターテレポートと言った方がしっくりくるかな、俺は惑星リズへの日帰り旅行を決行することにした。
10月24日、学校はいつも通りに終わり家に帰ると俺は食事前に散歩に出ると母に告げた。
「ああ少し運動不足を解消して来るよ」
「分かったわ」
【行くのね】
【行けることを確認するためにね】
【帰りはいつになるの】
【1時間後を予定してるよ】
【分かったわ】
「じゃ食事時までには帰るから」
「いってらっしゃい」
「私も行こうかな~」ゆりな
「あ~百合ちゃん少し手伝って」
「はい」
俺はマンションのエレベーターに乗り込むと認識疎外の機能を少し働かせ、マンションを出て少し歩いたところで光学迷彩機能を展開した。
勿論人気が無いことは確認している、いや人気があることも確認しているが正しいかもしれない。
50メートルほど言った所に自衛官らしき人影が見えたからだ、もちろん彼らには俺が外に出ていることは知られていないそのために認識疎外や光学迷彩機能を使っているのだから。
その後公園についたところでサイクロンエンジンを起動させて大気圏外へと移動する。
何故大気圏外へと移動したのか、それは惑星リズの地表が汚染されていることに起因する。
惑星間転移装置、スターテレポートは範囲相互置換であちらとこちらの座標にある空間ごと入れ替えることだ。
もし向こうの大気がかなりやばい物だったら、こちらの地表に毒をばらまくのと同じこと。
それを避けるためには一度引力が届かない場所へと移動し毒の大気が地球に干渉しないようにしないといけない。
俺は大気圏外からさらに月の地表へと移動する、実は月にも少し空気が有ったりする、但し酸素の分量が少ないため特殊な吸入装置が必要になるがそこはスキルで何とかなる。
それに月には今誰もいないのだから。
【リリーエア吸入装置にプラスして酸素作成装置を作ろう】
【了解しました、高速飛行時のエア吸入装置をバージョンアップします、3・2・1完了しました】
【そうかバージョンアップで対応可能なんだ】
【似たような装置の場合バージョンアップで対応可能です】
【了解、じゃあ月面へ行ってみよう】
【かしこまりました】
【転移月表面:座標…】
月の表面に降り立つとそこは色の乏しい世界、地表の土は軽く重力が小さいため足元が不安定になる。
俺はポケットに入れて来た携帯食を一つ取り出し使用したエネルギー100kカロリーを補充する。
100kカロリー、本当におなかが減るのが分かった。
【マジで一回100kとは】
【食事を摂らずに転送できる回数は3回までです、その場合体内にある脂肪分をエネルギーに置き換えます、宗助様はどちらかというと痩せ気味ですので、お気を付けください】
【え?マジ】
散歩と言いながらカモミーメイトを3つほどポケットに入れてきている、そうなると皆で転移する際にはそれぞれに食糧を持参していくことを考えておかないといけないと言う事、特に俺は余分に持っていく必要がある。
【よし、じゃあ次はフィルター機能も作ってしまおう】
【惑星リズの大気に合わせるのですね】
【ああ】
【高性能のエアフィルターを作成酸素吸入装置に取り着けます、3・2・1完了しました】
【あとは有害物質除去装置を構築して使えるようにしておこう】
【かしこまりました、有害物質除去装置を作成20%50%80%3・2・1作成完了】
【よしでは俺の体を強度10にあげておこう】
【かしこまりました】
【では転移装置に惑星リズの座標と転送場所の数値を入力してくれ】
【入力完了しました】
【それじゃ行こう、スターテレポート!】




