陸自本部で大臣と
陸自本部で大臣と
前回陸上自衛隊赤坂本部に来た時と同じ6階会議室にて、すでに赤松幕僚長が待っており。
そこにはリモートアプリで見た石井防衛大臣まで席についていた。
「先日はどうも」
「生では始めましてかな、防衛大臣の石井孝之ですよろしく」
「は 初めまして呂方宗助です」
「やはり生は緊張するな~ははは」
「ではこれからの事を話し合いましょうか」赤松
「そうだった時間もあまりない」石井
「我々は君からの申し出を受けて本日USAの事務次官と話し近日中にリモートでジャクリーン大統領との話し合いの時間を設けた、それも今夜だ」
「ずいぶん早い対応ですね」
「ああ君の持つ情報に大変興味を持っているようだよ」石井
「そこで問題なのはどこまで情報提供するかなんだが、君はどこまで情報を渡すつもりなのかまずはそこを我々は知りたい」
「基本的には一つずつです、現在僕が持っている情報は惑星間転移装置以外に10以上あると思っていただいて結構です」
「10以上か…」石井
「もちろんその中には地球では作ったり実行したりできない技術も含まれます」
「確かにそうだな」赤松
「ですのでその中から精査して実行可能な、危なくないものに限って情報を提供するつもりです」
「それで、その中のまずは一つ目だが」石井
「人工子宮です」
ザワザワ…
「それはまずくないのか?」
「人工授精は今でもしていますし、何らかの理由で子供を作れない夫婦にとっては今以上に子供を授かる確率が上がります」
「君はそれがどういうことかわかって話しているの?」赤松
「分かっているつもりです、宇宙人は全てその方法で生まれているので、その技術ならばUSAに提供しても問題ないと思います」
多分人口子宮に関する研究自体はどの国においても行われていると思われる。
一番進んでいるのが先進国と言う事でUSAはその中でも一番進んでいるのではと思う。
だが宇宙人の技術はすでに完成されており精子と卵子の保存法や取り出す方法も確立されている。
この技術が地球でも取り入れることができれば、子を授かりたい夫婦には天からの恵みとなるだろう。
もちろん日本でも研究はしておりその技術はUSA以外でも知りたい技術だ。
宇宙人はそこへさらに薬品を投与し超能力者を製造する技術まで開発している、もちろんその部分は別口なので絶対教えないが。
「そのデータは我々にも開示してもらえるのかね」石井
「もちろん、その上でUSA側へ供与しても構わないかという話ですが」
「だがあまり時間もない、データは精査する前に向こうへ引き渡すことになる可能性が高いな」石井
「まあ武器のデータではないので、構わないのでは」赤松陸自幕僚長
「そうだな」
「ではそのデータを受け取り厚生労働省の日渡さんへ打診しておこう」石井
今季の厚生労働省大臣は日渡創平(69歳)厚生労働大臣を2期務めている。
「まずは一つか、呂方君 他にはUSAに出していいデータはないのか」
「あとは特殊な金属のデータが10個ぐらいですかね、薬品のデータもありますがいくつかは地球では手に入らないと思います」
「大臣あまりデータを受け取っても調べる時間がかかるだけでは?」赤松
「確かに、民間に頼んでもすぐには調べがつかないか…」
「よしそのぐらいにしておこう」
宇宙船のコンピューターから抜き取ったデータには宇宙船を大気中に浮かせておく重力制御の技術や、外敵から船を守るバリアのデータ、そしてロボット兵器のデータなど。
軍事に転用できるデータならば、100どころか千近い情報を手に入れている。
まあそれらは絶対誰にも渡すことはできないので、今ここで教えることもない。
「では呂方君に空のUSBをいくつか渡しておいてくれないか、それと契約書も作っておこう」
「岩田君」
「はいただいま」
そういうと岩田さんは部屋から出て行き外にいる自衛官に命令する。
「それで本日のリモート会議だが夜9時、向こうの時間で朝10時を予定している」
「リモート用のアプリは?」
「リモートアプリはすでに先方に渡してある、こちらでUSA仕様のアプリをインストールする必要はないよ」
「そうなんですね」
「と言う事であわただしいようだが、この場はここまでにしておこう私もすぐ他の大臣と話さないといけないからな」石井
「そうですね」
「書類を用意しました」岩田
「すまないね」赤松
契約書、と言っても前回の時と同じ仮契約書であり、本契約はこの後金額を含めたやり取りが必要だ。
ちなみに人口子宮についてはまだ特許化していない。
「ではUSBも4つ、これにデータを入れてくれればあとあこちらで精査しよう」赤松
「では今夜9時すまないが向こうの大統領と直接話してほしい、もちろん通訳も付ける」
「わかりました」
この後は前回と同じく、岩田さんが同行して陸自の軽装甲車に乗りマンションへと家路を走る。
「データUSBは又私か部下の三田か高月が取りに行くと思う」
「はい、帰りは三田さんも高月さんもいないんですね」
「なんだ期待してたんだ」
「そういうわけでは無いですが」汗
「2名とも美人だろ」
「はい まさか彼女らは」
「僕の部下で今回宇宙人対策班に任命されたんだ、二人とも防衛大学卒のエリートだよ」
「もしかして理工学部ですか?」
「その通り、よくわかったね」
「これから外交も含め語学も必要になりますから、自衛隊としても優秀な人材を集めるのは当然だと感じましたから」
「まったく君はすごいな、そういえばこないだの事なんだけど」
「また改まってなんですか?」
「ROBOって知らないか?」
「ROBO?」
「空自のヘリが宇宙人2人によって墜落させられた際に救助の連絡をしてきた人物のアドレスなんだが?」
陸自の岩田さんは多分真相の一歩手前までつかんでいるような気がするが、だからと言ってそれが自分だとは名乗り出ることができない。
彼を仲間に引き入れることも考えられるがそれはかなり危ない道だろう。
将来的に自衛隊のロボ化計画も無いとは言えないが、そうなるとどんどん自分自身の自由がなくなっていく。
そこまでたどり着くのに後2年は猶予が欲しい、せめて大学に入ってからにして欲しい。
「それ僕に明かしてもいいんですか?」
「それは野暮だろう、もうすでに君は僕ら自衛隊の宇宙対策班の一員みたいなものじゃないか?」
確かにここまで足蹴く通い友好的に接してくれる、自分の持つデータと交換で金銭まで受領していて関係ないですとは言えない。
しかも今後その金額は増えていきそうだ、その関係もどんどん深まっていくのだから今更な話でもある。
「それじゃあちゃんと給料も別口で頂かないといけないかもですね」
「それは経理に言わないといけなくなるな…」
「冗談ですが」
「あはは、本気にしてしまったよ」
「メールの人物には今のところ、心当たりは有りません」
「そうか、まあこの話はここまでにしておこう、なんにせよ協力者にウザがられてはいけないからね」
【宗助様岩田氏を配下化してしまいましょうか?】
【いやそれはまだ早い、配下化すると彼が自由に自衛隊で活動できなくなる】
【すでに差出人の名前で彼にはばれている模様です、申し訳ございません私の浅慮でした】
【名前の事なら仕方ないと思うよ、岩田さんが嗅ぎ付けたのは音声の可能性が高いから】
ヘリに積まれたブラックボックスもあの時点では生きていたし、搭乗員が他にも連絡手段を持っていない訳がない。
勿論無線は一時応答不能になっていたようだが、そこを考えずに声をかけたのは自分であり。
そこまで気にしていては人命救助など出来はしない。
岩田さんの勘は声と超能力という2つの可能性から僕を疑っている、宇宙人が超能力を持っていると言う事は同じ人族で超能力を持た無いとは言えないと言う事。
ならばそこに本人がいなくとも、声だけで命令し他の誰かにパイロットを救出させることも可能だと。
呂方宗助という完全記憶スキルを持つ人物が他の能力持ちと繋がっている可能性を彼は模索したのだと考える。
「そうか、それなら今度は彼女らに受け渡しの任務を頼んでおこう、その方が君をつなぎ留めておけやすそうだ」岩田
「あまりからかわないでください」
「そういえば、文化祭の時に来ていたモデル張りの女の子2人、調べてみたがどうやら宇宙人と関係があるようだよ」
「そんな情報何処から?」
「今うちの班には宇宙に詳しい人物が何人も所属している、オタククラスのね その中から彼女らの事務所自体がUKのある団体とのつながりがあることが分ったんだ、USSA(ユニバースサバイバースペースノイドアソシエーション)通称サバイバーSVR・全宇宙生還者協会、UKに本部が有り現在は世界中に支部がある」
「まさかそれを信じているんですか?」
「君だって言ったじゃないか宇宙人はこの地球から旅立った人類だと」
「あ~そうでした」
「なら、帰ってきた宇宙人がいてもおかしくないよな」
「まさか今まで嘘だと笑って聞いていたことが本当だったとは誰も思わないだろう」
「で、調べてみたら本当にあったと?」
「その通り、なんでもすでにその組織は千年以上続いているそうだよ、嘘か本当かは分からないけどね」
その話を聞き宗助は土日を利用して彼女らの事務所へ行かざるを得なくなった。
宇宙人の話もあるが彼らがどこまで情報を得ているのかも気になる、なんせ彼女らは超能力を使える事が分かっているのだから。




