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授業中

授業中


学校の門をくぐり生徒の波はどんどん校舎へと入って行く、高月さんが何故一人なのかが分かった、学校脇の道路に自衛隊の軽装甲車が駐車していたからだ。

そしてその助手席には岩田さんの姿が、俺の顔を見てニコリと微笑んでいるのが分かった。

勿論、尾行の外人2人が学校内へ入ることは無く、同じように道路わきに泊めてあるRVへと乗り込むのが見えた。

もしかして下校時間までそこで見張るつもりなのだろうか。


「そうちゃん、何見てんだ?」

「ああ外が気になってな」

「そういえば又自衛隊の車来てたな」

「ああ」

「それとあの外人なんだ?」米田

「お前も気付いたか?」

「そりゃわかるだろう」

「怪しいな」

「だから自衛隊の人も警戒してんじゃないか?」

「もしかしてお前か?」

「そうかもしれないけど、俺にも見当がつかないよ」


俺のせいだとはこの時点で言える事ではない、まだ事件は起こっていないし生徒に危害は出ていないので。

あまり表ざたにして相手を刺激しても逆効果になる場合がある。


【宗助様、エージェントは撤退する模様です】

【命令が出たのかな?】

【多分大統領から指令が出た模様です】

【もしかして昨夜のエージェントに付けた録音装置?】

【はい隊長格へ捕獲作戦中止の指令が出た模様です、本日の命令はどうやら要人保護の命令だったようです】

【なるほど】

【ですがそれも自衛隊が行うと言う事で話が付いた模様です】

【確かにあのでかいガタイで尾行はつらいよな】


この日の授業は何事もなく終わったが、俺の頭の中では今後の事でいっぱいだった。

多分放課後には岩田さんから直接話があるだろう、もしかしたらお昼休みに呼び出しがかかる可能性もある。

だが、結局昼休みにはお呼び出しは無く、本日の授業は滞りなく終わりいつもの下校風景の中に俺は溶け込むはずだったのだが。

門を出るとすぐに岩田さんが声を掛けて来た。


「こんにちは」

「こんにちは岩田さん」

「あ 先日のお客さん」

「みんなで下校途中すまないが、呂方君と話があるんだ」

「ごめん今日は先に帰ってくれないか」

「お話があるのね」ゆりな

「うん、多分そんなに時間かからないから、母にはそう伝えておいて」

「分かったわ」

「じゃあ呂方君またね~」委員長

「また明日な」米田

「バイバイ」東山


仲間に手を振り、軽装甲車に乗り込む。

中にはやはり今日朝から尾行していた高月若葉さんとさらにもう一人女性の自衛官が乗っていた。


「ああ彼女は僕の副官で三田姫華三等陸尉だ」

「よろしくね呂方宗助君」


にこりと微笑み握手をしてくる、いつものように運転席にいる自衛官は一言も発せず助手席には岩田陸尉が座り、何故か僕の両隣に女性の自衛官が座ると言う形に。

軽装甲車は挨拶を済ませるとすぐに発車し、やはり陸上自衛隊本部へと向かっていくことになった。


「あの…罰ゲームですか?」

「いやその逆だ、良いだろう女性自衛官に挟まれる気分は」

「確かにこのシチュエーションは憧れですが、僕にはその趣味はないので残念です」

「あらこんな美女2名に挟まれてうれしくないなんて…」

「単に先輩が怖いのでは?」


高月さんと三田さんはどうやら先輩後輩の間柄らしい、確かに雰囲気は少し似ている高月さんはクールな美人、三田さんはそこに笑顔が加わる。

どちらも自衛隊の顔になる素質が有りそうだ。


「2人とも柔道と剣道の高段者らしいよ」岩田

「マジですか?そういえば三田さんはどこかで見たような…」

「世界柔道」

「あ~60k級」

「ピンポン!」

「今季夏の大会で優勝したメダリストだよ」岩田


何故知っているのかというと彼女が美人だからに他ならない、通常ここまでの美人でわざわざ柔道でスポコンをしなくても周りはちやほやしてくれるので、それ以上を目指す人は少ない。

しかも柔道は中々大変なスポーツだ、その世界柔道の大会で金メダルを取ったのだから、それは素晴らしいとしか言いようがない。


「得意技見ましたよ」

「そうじゃあ呂方君にも掛けちゃいましょうか?」

「遠慮しておきます」


よく見ると美人なのに肩幅がかなり広く、腕も足も筋肉で通常の女子の2倍はありそうだ。

スキルロボの体力測定機能を使うと着ている服の中身を知ることができる、透明にはできないけどね。

ちょっと見ではわからない、その鍛え抜かれた肢体には相当訓練したのだろうことが見受けられる。

ちなみに彼女の得意技は寝技だ。


「それじゃ高月さんは剣道?」

「はい女子の部全国大会で準優勝させていただきました」

「しかも2人は防衛大学の先輩後輩だそうだよ」岩田

「最強ですね」

「ちなみに呂方君には防衛大からも入学のオファーが出てるから」

「こないだの話ですか?」

「呂方君はK都大京王大そしてT大からもお誘いが来ているからね~」

「そうなの?すごいじゃない」三田

「将来有望ですね」高月

「まあ冗談はさておき、一応この場で今後の予定を伝えておくよ」


岩田さんの話だと昨晩の内にどうやらホットラインが繋がり、大統領補佐官へと事の重要性が伝わったようだ。

今日はその前段階、そして俺の知っている情報をどこまでUSA側へ流すかだ。

勿論その情報は事前に自衛隊幹部も知っておきたいと思う事だろう。

多分今日はその打合せをしてUSA側へどうやって伝えるのかもしくはUSA側が呂方宗助をどう扱う事にするのかを決めてもらう、もしくはこれ以上手出ししないように誘導するための話をするわけだ。


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