そして次の日
そして次の日
昨夜のことは宗助が秘密裏に済ませようとかなり無理をしたのだが、やはり母にはばれていた。
但し警報機の音を小さくし最上階のエレベーター前に限定したことでその音に気付いたのは母だけで済んだのは幸いした。
【宗ちゃん昨夜はどうしたの?】
【ああごめん、あまり騒がしくしたくないから穏便に済ませちゃった】
【もしかして泥棒?】
【正直に言うよ、USAの工作員が侵入したから全員帰ってもらったよ】
【もしかしてあの子たちの事?】
【いや今回は僕の事らしい、例のハッキングアプリで得た情報から僕が重要な情報を握っていると思っているらしい】
【…それって今回撃退しただけじゃすまないんじゃないの?】
【ああ、そうなんだよねだからこのことは岩田さんにも伝えてある、多分向こうの大統領とも一度話さないといけないかもしれない】
【大統領!ってジャクリーンジョンソン?】
【もしくは国防の偉い人だね】
【大事ね】
【もし外交的におよばれしたら、母さんも行きたい?】
【そ それは有りだけど今はだめよね、あの子たちがいるから】
【分かったよ、まだこの先は分からないから一応朱里と平太の事を先に済ませてしまおう】
【それじゃ行くのね】
【今週中に僕だけで一度行ってみる、まずは行って戻れるかを検証しないといけないから】
【そうよね、でも先走って無茶はしないでね】
【大丈夫だよ、今までだって無理はしてないから】
無理はしていないようでしちゃうのだから、母の思いも分からなくはないが、だからと言ってその時になればどうなるかなんてわかるはずがない。
今のところスキルロボは最高だと言って良い、病院のベッドで目覚めて聞いたときはここまで進化するとは思ってもみなかったが、今となってはその恩恵は計り知れない。
【分かったわじゃあ朝食の支度始めるわね】
【うん】
と言ったものの今日は普通に学校があるし、一応予定では今日の夜惑星リズへとスキルを使い転移してみることにしてはいるが、岩田さんの話によってはそちらを優先しなけりゃいけないことになりそうだ。
水曜日は雨が降っていた、道路では傘の花が咲き俺も黒い傘をさして駅までの道を歩いていく。
隣には同級生の百合奈がいて、今だになれない足取りで学校への登校ルートを進んでいる。
昨夜の事件でまさか早朝仕掛けてくるとは思えないが、一応強化レベルは6まで上げてある。
「宗助君、昨晩何かあったの?」
「え?」
「ブザーみたいな音が聞こえたんだけど」
「ああ~どうやら泥棒が来たみたいだよ」
「泥棒?!」
「ああ大丈夫エレベーター前で全員あきらめて帰ったから」
「もしかしてこの間みたいに?」
「ああそこまではしていないかな、いやしたかも…」
「マジック?」
「そう、相手に見えないようにして声を掛けたり触ったり」
「まるでお化けみたいに?」
「そうそう」
本当は違うのだが、相手が普通の泥棒ならばその手も使える、勝手に百合奈が想像してくれるので話を合わせるにはちょうど良い。
「そうなんだ、プッ!」笑
「もしかして想像しちゃった?」
「うん、おかし~宗助君に脅かされて逃げ出すとこまで想像しちゃった」
「かなり慌ててたよ」
改札を通り電車に乗り込むと、リリーから通信が入った。
【宗助様電車に昨夜のエージェントとは違う尾行が数人この列車に紛れているようです、それと私服の自衛隊員も】
【さすが岩田さん、昨夜の話ですぐに対応してくれたんだ】
【そのようです】
【まあここでおっぱじめることは無いと思うけど一応注意しておこう】
【かしこまりました】
三鷹駅からはさらにオタク仲間が3人合流しさらに委員長と石井さんまでが加わってきた。
「おはよ~」
「おはよ」
「あれ金山も加わったのか?」
「ああ電車は逆だから駅からだけな」
「石井さんも?」
「あたしはついでかな…」
文化祭の出し物でなんとなく仲間になった7人だが、まあ気心が知れる仲間というのは悪くない。
俺には若干心配事が増えるが、こうして歩いている最中も数10メートル後方を尾行しているのが分かる。
どうせならガタイのでかいエージェントは外せばいいのにとも思う、身長差が半端ない。
まあその後ろから自衛隊の女性隊員まで付いてきているのだから、彼らは隠そうと言う気はないのだろうか?まあ自衛隊員に限っては先日USBの受け渡しに来ていたクールビューティーな高月若葉さんだったので逆に安心している。
だが普通は尾行となると2人ですると思っていたが、彼女はどうやら一人らしい。
しかも変装しているわけでは無く、まるでOLさんにしか見えないキリリとしたスーツ姿だ。
もしかしたらそれが変装した姿なのかもしれないが、似合っているので文句のつけようがない。




