表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/475

その夜

その夜


家に帰ると母も妹もすでにリビングでくつろいでいた、宇宙人の2名は自室にて今日の試合を再検証しているようだ。


《興奮しましたね》

《ええあのスポーツは絶対我々の星でもやるべきね》

《あの足の動きはまねできないでしょう》

《そうね念動力で飛ぶ私たちではまねできそうもないわ》

《確か同じようなスポーツが映像集の中に有りましたね》

《イングランドという国の魔法映画だったわね》

《我々なら箒もいらないのでそのまま飛んで球をけったり棒でたたいたりすれば同じようなゲームができそうです》

《この星の発想は素晴らしい、必ず帰って薦めましょう》


宇宙人たちにはかなり気に入られたようだ、まあ念動力がある彼らからすれば地面を走るより空を飛ぶ発想からゲームを組み立てた方が分かり易いだろう。

そうこうしているうちに夜も更けこの日は全員が早めに眠りについた。


【リリー、惑星リズに行くとしたら一番良い日はいつになる?】

【明日の夜にでも試してみますか?】

【明日は何もない日か?】

【はい予定は何も入っていません】

【行くとしたら能力レベルは10にして行く方がよさそうだな】

【汚染された荒野へ転移しますので安全を考えるならばレベルは最大にしておくことをお勧めします】

【分かった、では明日決行しよう】

【了解しました】

【宗助様マンションに侵入者を発見しました】

【泥棒か?】

【泥棒には見えません】

【監視カメラの映像をモニターに出せないか?】

【かしこまりました各階の監視カメラの映像をホロモニターに出力します】


1階エントランスから目出し棒をかぶった黒ずくめの人物3人が辺りを見回し注意しながら中へと侵入する。

外の監視カメラにはさらに2名の仲間と思しき人物の映像が入ってくる。

一人はマンションの道路わき、この人物はマスクとサングラスで顔を隠しているが服装はごく普通のファッション、もう一人は道路わきに停めた車の中にいてスマホを手に何かしている。

こちらもサングラスを掛けている、どうやら5人が一つのグループらしい。

そして中に侵入した3人はエレベーターに乗り最上階のボタンを押す、もちろんその手には手袋をしており、指紋は残さないようにしているらしい。

まあ泥棒ならば当然の用意ではあるが、身のこなし方に無駄がないのを見ると泥棒と言うより軍人かそれとも忍者かという身のこなし。

時折合図をしているところを見ると、その合図は昔見た軍の突入シーンを思い出す。


【リリー最上階で扉が開いたら警報を鳴らせないか?】

【建物全体にでしょうか?】

【いやこの階のエレベーター出口のみで構わない】

【アクシデントを起こして様子を見るのですね、かしこまりました】


アクシデントを与えてその対処方法を見て何者なのか何のために侵入したのかを探る。

多分ここまで警報が鳴らないと言う事は、マンションの警備システムは乗っ取られている可能性が高い。

だがこの最上階はリリー自体が独立して警備している、2重警備方式で彼らのハッキングにもリリーのシステムは汚染されることが無い。

逆に相手の出方を見てハッキングをし掛けることも可能だ。

エレベーターが最上階に着き、黒ずくめの3人が出てきたところで、サイレンが鳴り響く。


ウ~ウ~ウ~


この音はマンションの警報とは違う音だ、しかも大音量ではなく中音量と言った所、さあどう出るのか見ものだ。


「…‼」

「どうしてばれた?」

「セキュリティーは切ったはずだ」

「この階だけ別なのでは」

「聞いてないぞ」


その言葉はどうやら英語の様だ、しかも一人は女性らしい。


【さてどうするか…】

【捕まえますか?】

【いいやそれはまずい、というか捕まえた場合全員を洗脳しないといけなくなる】

【私の意見ですが、逃がした場合又やってくる可能性が80%です】

【は~全く面倒な…リリーエレベーターを止めて置いてくれ】

【かしこまりました】

【光学迷彩起動、空間転移・座標は最上階の廊下】


宗助は今までに何回かロボ化の副産物である瞬間移動機能を使用している。

1回の移動で自分だけであれば100kカロリーの消費で済むらしい、同時に光学迷彩も起動しているので彼らが遠赤外線スコープを所持していなければ見つかることもないだろう。

一瞬で廊下に移動するとエレベーターの扉を開ける為彼らの一人はドライバーのようなものをスイッチ部分につき立てている。

一人は通信機でなにやら外部と連絡しているようだ、そして3人目は非常階段の扉を開けようとしているが、そこはロボの機能で制御可能にしてあるため見えないカギが掛かっていると言う状況だ。

多分何故開かないのかわからず焦っている事だろう。


《手を上げろ!》

「ホワイ」


相手が混乱している内に脳をロボ化し思考を制御する、どうやらこの人は女性の様だ。

そして次々に脳だけロボ化し体のシステム制御を乗っ取る、そして日本語で答えさせるために英和アプリをペーストし彼らの脳に設定する。

さらに宇宙人から手に入れたテレパシー機能をペースト、そうすれば声を出さずに会話できるので周りに聞かれる心配がなくなる。


《お前たちは何処から来た?》

《USA特殊部隊所属諜報班》

《右から名前と階級を教えてくれ》

《私は元海兵隊中尉ドナルド・マッケンジー》

《元海兵隊上級軍曹ウェン・リー》

《元海兵隊准尉アリスン・フォード》

《何人で来た?》

《全部で6人》

《そうすると外部に3人いるのか》

《そうだ》

《今回の任務は?》

《ソウスケロホウの捕獲が我々の任務》


一番恐れていたことがここで分かってしまった、多分ハッキングアプリと惑星間転移装置の件による要人奪取とかいう任務だろう。

さてこれを知ったとして彼らを無害化し解放しても又次がやってくるのは目に見えている。

ならばどうすればUSAの部隊を2度と来れないようにできるか?


【宗助様岩田陸尉に連絡してみては?】

【今か?】

【はい、彼はまだ起きています】

【自衛隊から勝手なことは止めてくれとくぎを刺してもらうってこと?】

【はい、そうしないと例の設計図のさらに先のマル秘データを出しませんよと伝えていただければ、何とかなるかと】

【確かハッキングアプリのデータは渡してないんだよな】

【はいそのようです、自衛隊はハッキングアプリをUSAの軍部に渡すと横に流され裏の組織が暗躍する可能性が高くなると判断したようです】

【リリーの言い方だともしかして他にも宇宙船のデータから手に入れたものがあるみたいだが】

【その通りです宗助様、例えばエネルギー関係に役立つ装置のデータとか、人工子宮のデータとか、さらには惑星リズ以外で宇宙人が開拓して住んでいる星の座標とか、エトセトラ】

【わーそれはすごいな、一つでもUSAの上層部が喉から手が出るほど欲しがりそうだ】

【ですがその場合それらの中からピックアップされたデータを自衛隊にも教えなければならなくなります】

【そうだな確かに受け渡しには自衛隊を通さないといけないからな】


確かに喉から手が出るような情報をちらつかせれば交渉はできるだろう、だがそんなデータを持つ人物をそのまま放っておくことがあるだろうか、宗助は徐々に頭が痛くなってきた。


【でもその場合はさらに俺の立場が悪くなるんじゃないか?】

【決定的な条件を付けたらいかがでしょうか?】

【決定的な条件?】

【例えばUSAが持つICBMを全て無効化しちゃいますよとか、その場合世界中の核を全て無効化することになりますが】

【ああ~リリーどうしてそんな事…】


ロボ化を使用すれば機械を全て動かなくすることなどたやすい、確かにその通りだ。

だがその労力は半端ないとだけ言っておこう。


【できちゃうんだ】

【はい宗助様】

【ですが宗助様が体を張ってする必要はございません、全てハッキングで済みますので】


よく映画で見る発射装置のカギとボタン、2名以上でカギを回すのと最終ボタンを押すと言う作業、どの基地もネットでつながっていない場所などない。

よしんば繋がっていなくても機械というのは必ず電波を出している物、その電波をたどり場所を特定さえすれば中に侵入できる可能性がある。

宇宙人から手に入れた情報の中にはスタンドアローン(外部とのつながりが無い)であってもそこに侵入しハッキングできちゃう装置の設計図なんかもあったりする。

さすが4千年先の科学力、まるで魔法のような機械やアプリなどがてんこ盛りだ。

それらを駆使すれば俺のスキルでなんでもできちゃうと言う事らしい。

これらは絶対誰にも言えないなと、宗助は心の中で思った。


【USAを脅すのか?】

【すでにUSA側のICBMは場所が知られています、もちろん他の国のICBMもです】

【でもそれを信じさせるのは難しいだろう】

【簡単ですよ、すでにハッキングは済んでいます】


目の前に映ったリリーの映像がにこりと微笑む。

どうやらリリーは全ての準備をすでに終わらせているようだ、それならば何も言うまい。

ただそれを行って自分がどういう立場になるのかは想像がつかない、確かに戦争を起こさせないためにはそれが一番良いのだが、抑止力がなくなった原始人が次にどう出るのかなど考えたくもない。


【あとは宇宙人を使ってたしなめればよろしいかと】

【ああそれはその通りだが】


圧倒的な科学力で攻め入った宇宙戦艦、又やってくると言うのに仲間内(地球の中で)の喧嘩をやめようとしないバカな国がまだあるとは思えないが、いくつかの国はこの機に乗じて隣の国を傘下にしてしまおうと試みる者もいないとは限らない、おろかだとしか言えないが。


【大いなる力には大いなる責任が伴うか…】

【映画の一シーンにもありましたね、古くからの格言ですが】

【宗助様のやりたいようになさることが可能です】

【映画のようにはできないと思うけど、できる限り正義を実行するよ】

(そうしないと母に叱られる)

【とりあえずこいつらを返すしかなさそうだな、問題はロボ化を解除するのかそれともそのままで置くのかという所か…】

【そのままのほうがよろしいかと、一応2度とここには来させないようにしますが、普通の生活に戻すことは可能です、カメラ機能を付けたままにすれば彼らがどんな目にあうのかもわかります、それが分かればさらに相手の情報が分かりますので】

【そうだな無傷で無効化されたとすれば、その理由が分からなければ怖くて手が出せないかもな】

【はい最悪人質を取られたとしても彼らの倫理観に訴えるとか、SNSをハッキングし彼らのしていることを暴露することもできますし、すでにご家族はマーキングが済んでいますのでさらわれてもすぐに探し出せます】


分かっていたことだが、どこに誰がいるのが分かっていれば後は瞬間移動ですぐに助け出すことなどたやすい。

アイリーンが言った言葉が現実になるのか、救世主だと…但し宗助は高校生であり戦争や戦いなどという世界とは本来無縁な人物なのだと言う事を忘れてはいけない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ