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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第5章 最強の証明編
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第5話:見透かされる罠

ダイムSide


全知の指輪を手に入れてから、その力をかみしめていた。

この指輪をつけていると、知りたくもない情報が山のように入ってくる。

指輪が話すのはもちろん、視覚的な情報としても手に入るのだ。

魔力が働いているとき、その魔法の中身や術者まで理解することが出来る。

まさに、すべてを知ることが出来るのだ。


もっともと驚いたのはペンタクルス王国の宰相、ローエンについてだ。

彼を視界にとらえたとき、彼の情報を見ることが出来た。

そこには「種族:魔族」とはっきり書かれていた。


(まさか王国の宰相が魔族だったとはな。)

⦅名前のラーシェンといえば四冥魔将の一人だぜ。迷宮の魔眼(ラビリンスアイ)っていう珍しい魔法を使うのさ。俺が知ってる限り、あの魔法を使えるやつはこいつを最後にまだ現れてねぇ。⦆

(そんなことは知っている。)

⦅あんたも四冥魔将だから当然だわな。⦆

(それにこの使用可能魔法・・・召喚魔法だと。どうやら魔王没後も向上心は失っていなかったようだな。)

⦅召喚魔法はそれだけで形式上はなんでも召喚できる。何が出来るのかは見てからのお楽しみだ。⦆

(しかし、何故奴は人間の国で宰相などやっている・・・)

⦅気になるなら本人に聞きな。個人の感情までは俺は知らん。⦆


全知の指輪はありとあらゆる知識を見せてくれるが、感情を読み取る道具ではない。

その知識から予測はできるが、さほど興味はわかなかった。


王国内を歩いて情報を集めている中で、カインの捜索に携わることになった。

ジョシュアと組むことになり、国内を中心に探索することになっていた。

そんな時、私は全知の指輪の力で一つの情報を手に入れていた。


(これは珍しい、人間と魔族のハーフか。)

⦅おれも長く見てきたが、初めてだぜ。激レアだなあの娘。⦆

(お前ですら見たことないのか。)

⦅人間と魔族だぞ?水と油だ、交わることなんてないね。よっぽどなもの好き2人だぜ。このダビドとアリアってのは。⦆

(ダビド・・・こいつは俺が知ってるダビドか?)

⦅そうだな。同じ魔将だった奴だぞ。このアリアってやつもシャーロット家だから、無名じゃねぇぞ。⦆

(確か古代王族の末裔だったかな。力も失われたような一族だろう。)

⦅この子を見てると案外そうでもなかったのかもしれないぜ。⦆


私と指輪はレイア=スレインを見ながら話していた。

ダビドとアリアの娘、この世界にとって初めての人間と魔族のハーフだった。

そんな彼女の能力にはっきりと魔族化と書かれていた。

恐らく彼女は魔族としての力も扱えるし、今の人間の状態にもなれるのだろう。

過去に魔族化という現象自体は発生したことあるが、元の種族に戻ることは叶わなかった。

戻れるのは、母親の力の影響なのだろう。


(興味深いな。)


私は研究所にいるクレイ=スローンに連絡し、捉えて研究する手はずを整えた。

上手くいけば、人間の力を魔族の力をうまく切り分けることが出来るやもしれないと考えたのだ。

切り分けることで、純粋な魔族を生み出せるのではないかと考えていた。


カインの探索は偽の情報を流すことで探索部隊を3つに分けられた。

私じゃジョシュアと組んで探索を行うことになっていたが、もちろん私が流した嘘の情報なので何もない。

むしろローエンのやつが王宮にすぐ呼び戻したことが気がかりだった。

王宮に戻り、デルタに案内されて謁見の間までやってきた。

扉が開くとすぐに何が行われるのか理解した。

部屋の中央には魔法陣が隠蔽されているのがわかった。

光鎖捕縛(ライトニングチェーン)とある。

光属性の捕縛魔法で、かなりの拘束力がある魔法だった。

事前に謁見者が立つ位置に書かれているということは、私かジョシュアに使用するために書かれている可能性が高かった。


(・・・罠か。)

⦅お前さんの行動はばれてたみたいだぜ。⦆

(ラーシェンめ。迷宮の魔眼(ラビリンスアイ)は健在ということだな。)

光鎖捕縛(ライトニングチェーン)とはまた厄介な魔法だぜ。⦆

(だが、お前がいれば容易だろ?)

⦅まあな。わかっていれば対策はいくらでもある。気づかれねぇように体に光属性の魔力をまとわせておきな。強さは必要ない。⦆

(そのあとは?)

⦅そこからは発動してからだ。大丈夫、まとってさえいたらどうとでもできる。⦆


指輪が自信満々に答えるので、信用することにした。

確かに魔法陣の傍らに対処方法が見えている。

「魔力集中による一点突破、毎回変わるほころびの場所に向けて放つ」と書かれている。

王が話し始めてすぐに、ジョシュアが魔法陣から離れる。

その刹那、魔法が起動した。


(やはりか。)


光りの鎖が体を締め上げてくる。

ダイムの体は確かに世界最強だが、それを封じ込めるために相当練られた魔法陣だったようだ。

凄まじい拘束力を発揮していた。


(本当に抜けられるんだろうな。)

⦅信用しろよ。なるほどな・・・今回はあんたの左脚、つま先辺りが一番ほころんでいる。⦆

(ほお。)

⦅何の属性でもいいが闇属性がベストだな。鋭く、とがったイメージで針で穴をあけるような感じだ。今まとってる光魔法の下にそれを用意しておきな。⦆

(難しい注文をするやつめ。)

⦅でも、できんだろ?⦆


返事をする間もなく、左足のつま先に魔力を集めていく。

気づかれないように、ゆっくりと確実に。

気をそらさせるため、ローエンからの問いにとぼけていく。

ローエンの性格から考えて、ここで何を言われても返せる手札があるから追及して生きているはず。

とぼけても意味はないのだが、時間は稼げるのだ。


⦅後は好きなタイミングでそれを爆発させな。そしたら鎖は一気に緩む。⦆

(なるほどな。)


そうやって魔力を集め終わること、ゴア王が言葉を発する。


「観念するのだなダイムよ。いくらお前と言えども、その鎖は簡単には突破できないぞ。」


(もはや敵ではないな。)


全知の指輪を手に入れた今、死角は存在していない。

目に入る全てのものの情報が簡単に読み取れている。

確かに個人の感情は読み取れないが、圧倒的な知識量から補完して予想することはできる。

目線の動きから、次の一手をシミュレートできる。

詠唱の途中で唱えようとしている魔法、その効果、打ち消し方までわかってしまう。

それにダイム自身の戦闘能力があるのだ。

今、ゴア王含めてこの部屋の者たちは自分のことを追い詰めたと思い込んでいる。

なんとも滑稽である。


「はははははは。」


気が付けば声に出して笑っていた。


「何がおかしいんです?」


ローエンが問いかけてくる。


「いや、なかなかいい推理だったのでついつい。ただまぁ・・・遅すぎましたね全てが。」

今回の話は入れるかどうかかなり悩みました。

ただ、ここで入れておかないで味方サイドだけで話書いていくと、なんか思い描く映像じゃなかったんです。

なので、少し強引でしたが入れ込ませていただきました。

少し前からの話で少々蛇足的な側面が出たかと思いますが、そういう回も必要だったなとなれるように展開していきたいと思っています。

頭でイメージしている分にはもっとすごい指輪なんですけどね。

描写しきれていない感じがして歯がゆいです。


次回からまた再びみんなで戦っていきましょう。

誰の視点にするのか悩んだんですが、レイアたちが来るまではとりあえずジョシュア視点で行きます。

書いていておじいちゃんキャラって楽しいんですよねw

自分の好みを優先させていただきます。


今回も読んでくださった方々ありがとうございました。

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