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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第四章:真実と野望編
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第20話:知りすぎる代償

神官Side


「私はとんでもない発見をしてしまったかもしれない・・・」


王国でデータスフィアの管理を長らく担当してきたが、先日のレイア=スレインへの違和感から独自で様々なものをデータスフィアに見せてきた。

今まで誰も試してこなかったことが不思議なぐらい、面白い結果が得られた。

データスフィアは順位以外も回答できたのだ。

さらに、レイア=スレインの名前のように言いよどむ物もあることがわかった。

私は調査を続け、文献も調べ上げた。

その結果、1つの結論に至っていた。

データスフィアはアーティストと古代魔法の融合で作られている。

今までデータスフィアはほかの何物でもない、データスフィアだと思われていた。

しかし、実際は人為的に作られているものなのだ。

私はこの事実を周りの人間に公表した。

しかし、だれにも相手にされなかったのだ。


「そんなわけない。」

「だったらそれがどうしたというのか?」


なんとも情けないことだ。

誰も謎を解き明かすことの意義を感じていないのだ。

皆が皆、与えられたものだけで満足している。

実に悲しい事実だと私は思う。

(こうなったらこのまま研究を続けて、古代魔法でも覚えてやろうか。)

私の研究意欲はさらに膨れ上がっていた。

そんな誰にも興味を持たれていないと思っていた私の研究に、興味を示す人物が現れたのだ。

彼はある日突然データスフィアの部屋にやってきた。


「君がデータスフィアを解析したという神官かな?」

「ダ、ダイム様!ど、どうしてこんなとこに!?私であっていますが・・・」

「そうか!それは良かった。」


(どうしてこんなところにダイム=ジャクソンさんがくるんだ・・・)

長年ランクキング2位を守っていて、実質世界最強と呼ばれる男。

データスフィアの結果を見る必要など久しくなかった人物だ。

自分の仕事上、もっとも縁遠いと考えていた人物からの突然の訪問に驚きを隠せなった。


「データスフィアはアーティストと古代魔法の融合で出来ている・・・非常に興味深い話だと思うよ。」

「!?そうですよね!」


(やはり私の研究は間違いじゃない!わかる人にはわかるんだ!)

今まで誰にも相手にされていなかったので、私は歓喜していた。


「よかったら君の話を詳しく聞かせてくれないかい?」

「よ、喜んでお話します!」


私はこれまでの詳しい研究成果を話した。

ダイムさんは初歩的だと思うようなこともしっかりと掘り下げて聞いてくれたので、説明しているこちらもどんどん饒舌になっていった。

データスフィアに使われているアーティファクトは、万物の情報を読み取り教えてくるという特性から全知の指輪である可能性が高いこと。

古代魔法によってその能力に制限がかけられていることを伝えた。

古代魔法、それは古には存在した光魔法と闇魔法という相反する二つの魔法を持つ者のみに使うことが出来た、無属性魔法のことである。

伝承によると、この魔法は召喚をはじめ属性の魔法では成し得なかった結界や攻撃を扱うことが出来るらしい。

今や闇魔法を扱えるものはほとんどいない。

いや、光魔法もエルフの里にこそ多いが、人間ではほとんどいなかった。

王の守りをしているリンドベル姉弟など、特例中の特例だ。

つまり現状、全知の指輪の制限を解除できるものはいないのだ。

私がひとしきり説明を終えると、ダイムさんはにこやかに話し始めた。


「素晴らしい仮説だと思うよ。私は正しいと思う。」

「あ、ありがとうございます!」


ダイム=ジャクソンに正しいと思うといわれた、この上ない箔がついたようなものだ。

今まで馬鹿にしていた者たちをぎゃふんといわせることが出来る。

(あいつらの悔しそうな顔が目に浮かぶ。)

私はついついしたり顔になっていた。


「ところで、私が事前に耳にしたものよりも随分と詳細まで教えてもらったけど・・・これはどこまでの人が知っているんだい?」

「今のところ私とダイムさんだけです。ここまで興味持たれたのも初めてだったので・・・話すまで至っていません。」

「そうかそうか・・・なるほどね。」


座って話を聞いていたダイムさんがゆっくり立ち上がる。

そして私のそばまですっと歩いてきた。


「あの・・・どうされました?」

「実に都合がいいよ。ご苦労だったね。」


ダイムさんがそういった瞬間、お腹に激痛が走る。

私の体は剣で貫かれていた。


「え・・・なん・・・で・・・」


剣が引き抜かれ、私はその場に崩れ落ちる。

ダイムさんは一言も発さずに、データスフィアの元へ歩いていく。


「予想はしていたが、確証を得るに至るまで調べられなかったから・・・助かったよ。」


ダイムさんが振り返らずに呟く。


「データスフィアを調べていた愚かな神官の死体と消えたデータスフィア、実にミステリアスだ。また私が捜索隊の先陣を切ろうじゃないか。」


そう言って手をデータスフィアにかざして魔法を唱える。


「さあ、復権の時だ。-元の姿を見せよ-”融合解除”」


ダイムさんがそう唱えるとデータスフィアが今までに見たことないほど光り輝き、そして消えた。

データスフィアがあった位置に、小さい指輪が一つ置かれている。

薄れゆく意識の中で、それをダイムさんが指にはめるのが見えた。


---

ダイムSide


指輪をはめて、私は頭の中から語り掛けた。


(起きろ。これからは私が主人だ。)

⦅ハハハハハハハハハハ。ありがとうよ!俺は自由だ!最高だぜ!⦆

(あんまり頭の中で騒ぐな。また封印されたいのか?)

⦅おいおい勘弁してくれよ。俺の力が欲しいから手に入れたんだろ?役に立つから・・・な?⦆

(まあお手並み拝見だな。)


そうして私は部屋を後にした。

自分がいた痕跡は一切残さずに。

まず最初に今回で第4章は終わりです。

ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。

中途半端な!って思う方もいるかもしれませんが、ダイムに絡む内容はもう4章としてのくくりではないんですよ。

5章のテーマになるので、ここで区切る必要がありました。

番外編を2つほど挟んだら、いよいよ最終章である5章に入っていきます!

お楽しみに。


今回の事実としては全知の指輪と古代魔法についてですね。

全知の指輪は番外編で出すつもりしているんで、詳しく知りたい方はそちらよければ読んでください。

能力も5章の本編内で出しますんで、番外編読まないよって人も大丈夫です。

本当に簡単に言っておくと、すべてを見通せる指輪です。

あまりにも指輪自身が知識を蓄えすぎたので、ついにしゃべれるようになっています。

アーティファクトも様々な時代背景がありますが、かなり始祖に当たるアーティファクトです。

データスフィアになる前の持ち主はラナです。

番外編の一つはその時のことを描きますんで、ラナが持っていたということは・・・な部分は予想通りか確かめてください。


古代魔法に関しては闇と光を使える人間のみ使用できる魔法で、今この物語での扱いは無属性というよりも、万能魔法の感覚で私が使用しています。

今のところ明確に使ってるのが出て来たのは、バルト平原でのバッカスの召喚魔法、今回の2度だけのはずです。

つまり今ストーリー上で使用できるのはバッカスとダイムの2人のみということですね。

この辺りは5章にも影響しますから今はここまでということで・・・


番外編後いよいよ最終章なので、頑張って描いていきます!

引き続き楽しんでいただけると幸いです!


今回も読んでくださった方々ありがとうございました!

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