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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第四章:真実と野望編
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第12話:目的

「まさか君が生きていたとはね。正直驚いたよ。」

「ハッハッハ。人間ッテノハオカシナ奴ラダ。アンナニ苦労シテ俺タチヲ倒シタノニ、復活サセヤガルンダカラナ。」

「これは!貴様!・・・私の体だぞ!」

「ウルセェナ。俺ノ力ナシジャ勝テネェゾ。シバラク寝テロ。」


(一体何が起きているんだ・・・)

クレイの様子は明らかにおかしかった。

別の人格が話しているような感じだ。

クレイ自身もそれを認識していないように思う。


「デーモンポーションの副作用だよ。血を取っているバロムの意思が出てきてるんだ。どうやらこの改良型は失敗みたいだね。」

「イイヤ成功ダ。・・・何故ナラ俺ガ仕組ンダカラナ。」

「!?」

「馬鹿ナ奴らだ。モウ随分前カラ、コイツラガ作ッテイタノハ俺ガ体ヲ乗ッ取ルタメノ薬ダ。」

「なんだと!?バロム・・・貴様!」


とんでもない会話が行われていた。

デーモンポーションの副作用で魔族に乗っ取られると聞いていたが、実際はもう手遅れな段階まで進んでいたのだ。

改良型を飲まずして、そういう状態だったのだ。

(つまり今まで戦っていた人たちも、みんな無意識に精神に干渉されていたのか?)

クレイの驚き方から、本当に知らず知らずのうちに操作されていたようだった。


「バロム・・・君の狙いはいったいなんなんだい?」

「決マッテンダロダビド!魔族ノ復権ダヨ!今度コソ、全員ブチ殺シテヤル!俺タチガ支配スルンダヨ!」


そういってクレイだった怪物はアークさんに手を伸ばす。


「来イダビド!オ前モ人間ニハモウウンザリダロ。」

「・・・」

「アークさん耳を貸しちゃダメです!」

「アークさん!」


次の瞬間、アークさんはクレイの腕を爪で吹き飛ばした。

気が付くと、アークさんは人間ではなくなっていた。

全身が燃えるように赤く、背中には立派な羽が生えている。

スラっとした尻尾に角が2本頭から生えていた。


「ダビド!?ドウイウツモリダ!」

「悪いが僕は君とは相いれないようだ。」

「ハァ!?フザケテンノカ!」

「・・・僕は、人間と共に生きると決めたんだよ。アリアとそう約束したんだ。・・・悪いがバロム・・・君を倒す。」

「・・・ソウカ。ダッタラ・・・ヤッテミロ!」


怪物の魔力が膨れ上がる。


「ー全テノ魔ヲ有スー”四属性魔砲テトラキャノン”」

「なに!?」


魔法陣から4つの属性の魔力を感じた。

四角形の魔法陣の中央から太い白い光線が放たれる。

アークさんはぎりぎりで躱すが、避けた後ろの壁が吹き飛び、地面も大きくえぐれている。

(な、なんて威力なんだ・・・)


「クレイ。まさか君は・・・」

「バーバリアノ野郎マデハ行カネェガ、四属性適性ダゼ。最高ノ体ダロ?」

吸魔(ドレイン)を使う僕と魔法勝負かい?」

「今ノウチダケダゾソノ余裕。」


こうして2人の魔族による魔法バトルが始まった。

元々四属性に適性があるクレイにバロムの魔力が加わり、闇魔法も使えるようになっている。

また、2人分の人格があるが故か、器用に同時に詠唱をしてくる。

四属性魔法で火力を出し、それに誘導するように闇魔法でけん制していた。

恐らくクレイ自身はあそこまで四属性魔法を使えなかったであろう。

バロムの魔族としての強大な魔力のおかげで、連発出来ているのだ。


アークさんは元々風魔法使いだと認識していたが、やはり魔族として闇魔法も使えるようだった。

華麗に飛び回りながら、闇魔法も使って躱していく。

そして、距離を詰めてから決め技を放つ。


「ー貪り狂えー”吸魔(ドレイン)”」

「ぐううぅぅ!・・・やめんか!」

「ー領域ヲ守護セヨー”四槍結界(バリアランス)”」


アークさんの攻撃にクレイが苦しむが、バロムの魔法で中断させられる。


「2人分の意識があると厄介だな・・・」


吸魔(ドレイン)はアークさんしか使っていないところを見ると、ずいぶんと特殊な技のようだった。

カインに使ったときのことを考えると、恐らくしっかりと当てることが出来たら、バロムの魔力を消滅させることが出来るのだろう。

しかし、バロムとクレイの意識が完全に別々で存在しており、奇しくもお互いをカバーする形になっている。

ゆっくり魔法をあてることは難しかった。

(僕たちが気を引ければいいんだが・・・)

そうは思ったものの、さすがの僕も割って入れるような魔法は放てない。

撃てるとしたらサクラだが、今この状態で魔力を溜めようものなら、レイアごと魔法で攻撃されてしまう。

息をひそめるので精いっぱいだった。

そんな時、レイアがぽつりとつぶやいた。


「・・・私、思い出したよ。」

「?」

「何をだいレイア?」


僕は彼女に問いかける。


「あのとき何があったのか、あの戦争で何があったのかを。幼かったけど・・・私は見ていたんだよ。」


(まさかレイア、君はアークさんのことを!?)


「・・・お父さん!」

今回実は少し短いです。

もうちょっと膨らませてもよかったのかもしれませんが、無理しない方向にしました。

クレイとバロムは2精神状態です。

ただ、ほとんど体の制御はバロムが持っていて、アークにやられたりとか都合のいい時だけクレイを盾に使ってます。

今回の描写で理解してくださった方もいるかもしれませんが、デーモンポーションの効果で精神に入られた場合、肉体は元の人間の能力になります。

もちろんのこと。

魔族の力分加算されますが、純増ってわけでもないです。

全部乗っ取ってるわけではないですからね。

この辺は4章の最後に少し説明のための過去回想が入る予定です。

後書きの説明だけで終わるつもりはないのでご安心ください。


最後のレイアが急に話にかんできたのはこれで次とはしませんのでご安心ください。

漫画でいうところの次回予告はレイアがみんなと合流してからどういう心境だったのか。

どう思い出していったのか。

そして、お父さんと呼んだ時どんな気持ちで読んでるのかあたりを書くつもりです。

なので、少しだけ時計戻します。

久々の主人公視点です!

ご期待ください!


今回も読んでくださった方々ありがとうございました。

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