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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第四章:真実と野望編
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第4話:レイアの血

レイアSide


私が気を失ってからどれぐらいの時間がたったのだろうか。

徐々に意識を取り戻しながら、私はゆっくりと目を開いていく。

最後に覚えているのは遺跡の地面に浮かび上がった魔法陣だった。

そこから何も覚えていない。

(ここはどこ?)

徐々に目を開いていくが、薄暗くてよく見えない。

じめじめしていて、少し鼻をつくにおいがする。

少しずつ意識がはっきりしていく中で、体を動かそうとしたとき、はじめて違和感を感じた。

(体が動かない!)

よくよく自分の体を見ると、鎖で手足が縛られている。

台のようなものに体を広げて縛り付けられていて、まったく動かすことが出来なかった。

自分の危機的な状況を察知すると、途端に力が湧く。

私は全力で腕に力を込めた。

鎖がガシャっと音を立てるだけで、全く動かなかった。

(だめだ、びくともしない。)

自分の状況に成すすべなくうなだれた。


「ようやく目覚めたかレイア=スレイン。」

「!?」


私は声がする方向に顔を向けた。

そこには少し小太りな男が立っていた。

醜悪な雰囲気をまとっており、見ただけで悪寒がする。

嫌悪感から精いっぱいの悪態をついた。


「おじさん、監禁趣味なの?」

「はっはっはっはっは!なかなか元気があるじゃないか。いいことだ、その方が私も助かる。」


そういいながら小太りの男がゆっくりと私の前に移動してくる。

若いとはいいがたい風貌で服装はどこか高貴さが漂っている。

(一体何者なのこの人?)

見た目はいまいちだが、魔力に溢れているのが感じられた。


「自己紹介の途中だ。私が一方的に知っているだけだったな。私はクレイ=スローン、君たちが殺そうとした男だ。」

「あなたが!?」

「いや~まさかハヌとブリッツを倒すとはね。なかなか予想外の動きをしてくれた・・・帝国も滅んだし、本当に踏んだり蹴ったりだったよ。」

「・・・よくあそこから逃げられたね。」

「私もただ大臣やってたわけではないのでね。多少、魔法は扱えるのだよ。」


クレイは得意そうな顔で私に説明してくる。

自分から聞いたとはいえ、言い方がどこか腹が立つ。

しかし、サクラの最後の魔法は相当な威力だった。

あれを回避したとなると、この男は油断ならない実力者だ。


「・・・私を捕まえて、何がしたいのあなた?」


私は睨みつけながらクレイに問いかけた。


「・・・踏んだり蹴ったりの中、一つだけ収穫があったんだよ。それが君だレイア=スレイン。」

「はい?」

「察しの悪いやつだ。君を狙ってさらっているというのに、まだ気づかんのか。」

「・・・私を狙って?」

「たまたま自分がさらわれたと思ってるのか?それは随分能天気な娘だ。」

「・・・わ、私があの遺跡に行くとは限らないじゃない!それに、遺跡の中であの場所を通るかもわからないでしょ!」

「一理はあるな。でも、お前は現にひかっかってここにいる。」

「ぐっ・・・」


確かに奴の言う通り、魔法陣で飛ばされてつかまっているのは自分だった。

意図的に私を狙ったのなら、奴の言う通り上手くいってる。

返す言葉がなかった。


「・・・なんで・・・私なの?」

「ハヌから言われただろう。お前が魔族じゃないのか?と。」

「!?・・・なんで・・・それ・・・」

「あやつは実に用心深くてな。もし、自分たちが倒されたときのため、私に情報を送りながら戦っていたんだよ。」


私は絶句して言葉がなかった。

誰にも聞かれていないと思っていたあの言葉を、まさかこんな奴に聞かれていたなんて。

こいつが黙っている保証など当然ない。

もう誰がどこまで聞いているかわからなくなった。

私は一気に不安な気持ちになっていった。


「正確にはお前は魔族ではない。」

「え!?」

「・・・お前は魔族と人間のハーフだ。」

「は?」


私は一気に頭が真っ白になった。

一瞬、魔族じゃないといわれて安心した自分がいた。

しかし、すぐに叩き落された。

それも魔族と人間のハーフなんて聞いたこともない。

いや、魔族とでなくてもハーフなんてめったにいない種族である。

自分がそれだといわれても、ただただ呆然とすることしかできなかった。

(どういうこと・・・)


「ん?何を辛気臭い顔をしている。実に喜ばしいことなんだぞ。お前は素晴らしい逸材なのだ!

いいか!デーモンポーションには弱点がある。それは取り込む量が多くなると、血を取ってる魔族に精神を乗っ取られてしまうのだ。人間と魔族、この両者がバランスよく混ざれないのだよ。

そんなときお前に出会った。魔族でもないのに魔族のような力を持つ者、ぜひ調べる必要があるとね。悪いが寝ている間に血液は採らせてもらった。するとどうだ!

お前は魔族と人間両方の血がきれいに混ざり合っているではないか!なんとも珍しい、いやこの世界に1人かもしれない魔族と人間のハーフだからこその血だ!お前の体を分析することで、これを人工的に作り出す手がかりに出来る!

いいか、デーモンポーションは新しいステージへと進化するのだ!そのための、お前は世界で一番貴重な検体なのだぞ!」


私は何も言葉を発さなかった。

いや、発せなかった。

興奮気味に話すクレイの言葉を処理しきる余裕がまるでなかった。

自分が魔族と人間のハーフだという事実。

世界に1人?貴重?そんなことはどうでもよかった。

ただただ、自分の体は普通じゃない、皆が恐れる魔族の血が入った混じり物である、その事実がとてつもなく苦しかった。

(私・・・どうすればいいの・・・)

逃げなくてはいけない、そんな事実すら思い出せないほど、私は深く悲しみに沈んでいった。

ようやくここでレイアの設定を出すことができました。

このハーフ設定は一番最初から考えていたものです。

それ故にレイアはタフだという設定だったんですが、正直それはうまく表現できていなかったかもしれません。

本当はハヌ戦でタフさだけ出すつもりだったんですが、ハーフであること、それから4章でのレイアを考えたときに、それだけだと弱すぎるなと感じました。

なので、ハヌからの魔族フラグ、サクラからの外見の変化や回復力の考察を挟んでいます。

結果2章からのパワーアップがすごいですが・・・

一応今更な言い訳を一つすると、私の描写力不足であっさりしてただけで、2章でベックにかなりぼこぼこにされながら戦ってますので、タフはタフだったんです・・・

本人はそういうつもりで書いていたんです・・・


ハーフについては一応第3章の反乱軍と出会ったときの後書にて記してますので割愛。

知らなくても本編は楽しんでいただけるはずです。

一応珍しいという世界線の話なので、そういう部分だけ強調させていただきました。


ここまでくると大方予想されていてその通りだと思います。

4章のテーマであります、真実とはレイアのこのことです。

レイアがこの真実を受け入れて前に進むこと、それが一つ大きな章の立ち位置になります。

結構大事なテーマの章ですよね。

そう感じていただけるように頑張ります。

野望については最後の最後までメインは出てこないので気長にお待ちください。

ある意味クレイのこれも一つの野望ですけどね。

真実もそうです。

アークを深堀すると言ってますので、もちろんアークについての真実も出てきます。

様々な真実と野望が登場する、だから真実と野望編にタイトルをさせていただきました。

そう感じ取っていただけるように、頑張ります。


今回も読んでくださった方々ありがとうございました。

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