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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第3章:帝国戦争編
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第21話:無詠の魔匠

レイアSide


私たちはすぐに戦闘態勢をとる。


「あなた・・・何者?」

「・・・ハヌ・・・一応聞くけど、どこの差し金?・・・」

「その質問に答える義理はない!」


先手必勝とばかりにジムがいきなり仕掛ける。

一気に相手の側面を取り、拳を振り上げる。


「・・・”雷装壁(サンダーバリア)”・・・」


ハヌが呪文を唱えると、彼女の体が雷で覆われる。


「なっ!?」

「無詠唱!?」


ジムはそのままハヌを殴るが、雷に阻まれる。

雷がそのままジムを伝い襲いかかる。


「がああ!」

「ジムっ!」

「・・・不用意すぎ・・・」

「ー雷よ従え!ー”雷獣召喚 狐”!」


サクラが呪文を唱えると雷が狐の形になり、2匹ハヌに向けて突進していく。

1匹がジムに、もう1匹がハヌに分かれて飛びかかる。


「・・・”水螺槍(ウォーターランス)”・・・」


ハヌが再び無詠唱で目の前に大きな水の槍を作り出して狐にぶつける。

槍と狐はお互いに相殺されてその場で弾けた。

ジムは狐が当たったことで体ごと飛ばされ、ハヌの雷撃から離れられた。


「力技でごめんね!」

「・・・いいや、助かったよ。」

「・・・悪くない魔力・・・」


ハヌがサクラの魔法に対処している間に、今度は私が距離を詰める。

(さっきのジムの反省を生かさないと・・・)

私は剣に炎をまとわせる。


「ー我が拳を燃やせ!ー”炎焼剣”」


ハヌが私の存在に気付く。

だが、十分に射程内だった。


「火炎旋風!」

「”水の羽衣(ウォーターベール)”」


私の渾身の回転切りと同時に、ハヌも水魔法を詠唱してきた。

剣にまとった炎が消え、水の影響で勢いが弱まる。

(届けえぇ!)

だが、二本目の剣の勢いは完全に止まることはなかった。

私の剣は威力こそ落ちたもののハヌを捉えた。


「・・・!?・・・」

「ぐえっ!」


蹴りを入れながら私から距離を取ってきた。

顔を上げて相手の状況をすぐに確認する。

残念ながらダメージはほとんどなかったようだ。

(これだけ無詠唱でぽんぽん魔法を唱えられると、戦いづらいな・・・)

サクラも無詠唱をするときがあるが、それでもここまで強力なものを連発はできない。

目の前にいるこの少女の実力は計り知れなかった。


「・・・強いとは思ってたけど予想外・・・どうして当たった?・・・」

「そりゃ私が二刀流だからよ!」

「・・・馬鹿に聞いたのが間違いだった・・・」

「プッ!」

「はあぁ~!」


(なんて失礼な奴!それにジムだって笑わなくてもいいじゃない!)


「・・・やはり最初から使うべき・・・」


そう言って彼女は懐から赤い瓶を取り出した。

(あれは!デーモンポーション!)

ハヌをただでさえ強いと感じていたのに、ここでそれを飲まれてしまうと手も足も出なくなる。

そう考えたのはレイアだけではなかった。


「させない!」


サクラが自分の棒を投げる。

棒は光りながら回転している。

サクラのパワーも相まってすごい速度で飛んでいく。


水旋斬(ウォーターカッター)!」


棒から水があふれ、回転によって水の刃となり、空気を切り裂きながら飛んでいる。


「・・・やっぱり悪くない・・・水柱壁(ウォーターウォール)・・・」


ハヌがそう唱えると、目の前の地面から水柱が現れる。

その水柱が伸びる勢いで、サクラの魔法は軌道が上方にずれて結界に向けて飛んでいった。


雷槌撃(サンダー)!」

「・・・!?・・・」


ジムがそう叫ぶと、ちょうどハヌの上を通過するその瞬間、サクラの棒から雷が降り注ぐ。

バリバリバリとハヌに直撃し、ハヌが立っていた絨毯が焼けて煙に包まれる。

ハヌの手からポーションの瓶が落ちて転がっていく。


「ジム!いつのまに!」

「君と奴が話している隙にサクラの棒に術式を書いたのさ。」

「いや、そっちもだけど雷属性!」

「はあ~君ってやつは。・・・僕はこれで試練を突破したんだよ。」

「!!」


ジムが言う試練とはエルフの祝福のことだ。

ジムは自分の分身に勝つため、自分が使ったことない属性魔法をその場で使えるようになったということだった。

(す、すごいなジム・・・)

私は思わず感心してしまった。

使ったことのない属性魔法を使う、知識豊富なジムだからこその選択肢だったのかもしれない。

煙が晴れようとする中、地面に落ちたであろうデーモンポーションを見つけようと目を凝らす。

(あった!)

地面に転がっていることを確認し、それをハヌよりも先に手に入れようと走り出した瞬間、煙の中から魔力が噴き出るのを感じた。

(え!?デーモンポーションはここにあるのに?)

3人が一斉にその場所を凝視すると、魔力が一瞬にして集中し、光を放つ。


「レイアちゃん危ない!」

「!?」

激流雷槍(ハイドロライボルト)


煙の中から一瞬にして水の槍が飛んでくる。

私はとっさに避けた。

が、よく見ると槍はバチバチと帯電しており、近づいたときに私に電撃が伝わり動きが鈍る。

その結果、本来ならぎりぎり避けられたはずが、避けきれずに肩口に突き刺さる。

槍の勢いはすさまじく、そのまま私の肩口をえぐりながら飛んで行った。


「ああぁぁぁ!」

「レイア!」

「レイアちゃん!」


私はたまらずその場にうずくまる。

2人が急いで駆け寄り、サクラは私のそばに、ジムは私と相手にはさまれる形で身構えた。

煙の中からハヌらしき人影がが見えてくる。

目が隠れるぐらいだった前髪をかきあげており、その目が赤く光るのが見える。


「あぶねぇ殺すところだったぜ。ハハハハハハハ!よく避けたじゃん!」

「・・・どういうこと?」

「デーモンポーションが一つなわけねぇだろ。予備だよ予備。」


そう言って笑いながら空になった瓶を見せてくる。

私は痛みに必死に耐えながら顔を上げる。

(別人・・・じゃないみたい。これはどういうこと・・・?)

ハヌのあまりの変貌ぶりに言葉が出なかった。

さっきまでの大人しさは消え、大笑いしながらテンション高くしゃべっている。


「やっぱこいつは効くな~一気に力がみなぎるぜ。やっぱ私って天才。」

「なんなの・・・あなた・・・」

「結構やるみたいだから名前ぐらい教えてやるよ。私は無詠の魔匠ことハヌ=ラチェット様だ!私の最高傑作、デーモンポーションをたっぷり味わいな!」


そう言ってハヌは片手に水属性、もう片方に雷属性の大きな球体を作り出して立ちふさがってきた。


「そんな・・・複属性同時!?」

場面変わりましてレイアたち主人公サイドのお話です。

まずはハヌのキャラクターが完全に出ました。

デーモンポーションの使用による性格の変化です。

これはこのキャラの名前決めるよりも先に決めた設定です。

デーモンポーションの生みの親ってことで、飲む量は多くないんですが、使う機会は多かったが故にの影響です。

一種のアルコールみたいな、ハイになる効果が出ているという感じですね。

別人にはなってません。

もともと発言の切れ味は鋭い子なので、話している中身に大きなギャップはつけないつもりです。

ただ、ハイですから、少しさらけ出し気味だと思います。


ジムがエルフの祝福を突破した理由に雷属性魔法を出しました。

今後第4章でもう少し書きますが、自分が使えなかった新しいものを使ってます。

なので、ガンガン使うことはまだできませんが、威力はすさまじいのが出せます。

その辺の理由も楽しみにしておいていただけたらと思います。


今回も読んでくださった方々ありがとうございました。

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