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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第3章:帝国戦争編
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第17:共闘

モルトに対して衛兵が一斉に剣を向ける。


「騎士団長、ご自身が何をしているのかわかっておいでですか?」

「・・・ああ。理解している。私は彼らの未来も救いたい。」


そう言ってモルトはジャックたち反乱軍の一団を見た。


「もう私は迷わない。」

「そうですか、それは残念です・・・では、反乱軍と共に死んでいただきます!かかれ!」


衛兵が一斉に斬りかかるが、モルトは軽く捌いていく。

モルトは自分の後ろにいた、自分の直属の部下たちに向けて語りかける。


「お前たち、勝手な行動をしてすまなかった。だが、私が願うのは皆が幸せな未来だ。それには彼らも含まれている。・・・お前たちにも、自分たちの意思で決めてほしい。相容れぬなら・・・私はお前たちでも切る!」


モルトがそういった瞬間、部下たちは一斉に剣を抜いた。

(やはり帝国は裏切れないか・・・)

モルトが応戦しようと剣を構えたその時、彼らは一斉に胸の帝国印を切り取った。


「!?」

「これで我らも同罪です、モルト騎士団長。いや、元騎士団長。」

「俺たちはあなたの志を尊敬しております。どこまでも・・・お供いたします。」

「共に帝国と戦いましょう!」

「お前たち・・・」


モルトの部下たちは彼の日頃の行いをすべて知っていた。

彼が帝国の今を嘆いていること、無実の罪の者を助けていることを。

いつか来るその日のために、皆気持ちの準備はしていたのだ。


「貴様らも裏切るのか!」


衛兵の一人が吠える。


「モルトさん、ご命令を!」


(私は本当にいい部下に恵まれたようだ。)


「・・・モルト隊に告ぐ!反乱軍と共に帝国を打ち倒すぞ!」

「「うおぉぉ!」」


モルトの檄に一斉に呼応し、モルト隊は衛兵と戦い始める。

モルトは素早くジャックの側に駆け寄り、自分の手持ちの回復薬を手渡す。


「遅くなってすまなかった。そして・・・共に戦うのを許して欲しい。」

「フフフ・・・・・・遅いんだよバカ野郎。」


ジャックは笑いながら応えた。

モルトの評判はずっと知っていた。

そして、目の前で同胞を救われた。

受け入れることは、そこまで難しいことではなかった。

手渡された回復薬を一飲みし、ジャックは叫んだ。


「同胞たちよ!モルト隊と共にここを突破するぞ!」

「「・・・おおぉぉ!!」」


反乱軍はモルト隊を素直に受け入れた。

彼らの中にもまた、モルトに救われたものも少なくなかったのだ。


「早速で悪いが、あんたに頼みがあるんだ。」

「どうしたんだ?」

「リーダーを助けに行ってほしい。俺が行きたいところだが、リーダーから代理頼まれてるんでね。」

「!?・・・わかった。私が行こう!」

「頼んだ。」


こうしてモルトはガイアのもとへと走っていった。


---

ガイアSide


ガイアは途中までボーガンを圧倒していた。

様子が変わったのは、ボーガンがデーモンポーションを飲んでからだった。


「オレ・・・ガ、サイ・・・キョウ・・・ダ・・・」


デーモンポーションを飲んですぐ、魔力量や筋力は確かに上がったのだが、ボーガンの眼は瞳が消え白くなり、呂律もはっきりしなくなった。

それどころか、唸り声をあげながら味方も襲っている。


「おい!ボーガン止めないか!私たちは味方だぞ!」

「ガア・・・ア・・・」

「どうなってるんだ!やめろぉお!」


衛兵、反乱軍相手が誰であろうと見境なく襲いだした。

(一体何が起こってる。デーモンポーションの情報にここまでのはなかったはず・・・)

ガイアは目の前で起きている光景に理解が追い付いていなかった。

(ボーガンの鱗の色、紫だった。あれはリザードマン本来にはない色だ。つまり、何か肉体を帝国にいじられていたということだ・・・まさかそれとデーモンポーションが作用したのか!

・・・考えてる場合ではない。あれを止めないと!)


ボーガンが衛兵に襲い掛かるところに割って入る。

ボーガンのパワーは先ほどまでとけた違いになっており、ガイアの全力を弾き返せるほどになっていた。

バキィン!と攻撃が弾き飛ばされる。


「ちっ!なんてパワーだ!」

「ガイ・・・ア・・・」


ガイアは魔法の詠唱を始める。


「ー炎よ!唸れ!ー”炎津波(フレイムリバー)"」


ガイアから炎が広がり波になってボーガンを一気に押しやっていく。


「ギ・・・ガガ・・・ア・・・」


ボーガンは身動きが取れなくなっている。

しかし、ダメージはありそうだが倒すには至っていないと見ただけで分かる。

(やはり私程度の魔法ではダメか。)


「おまえ!反乱軍がなぜ助けた!」

「今はそんな場合ではない!あれはなんだ!止める方法は!」

「そんなこと我々にもわからん!何も聞かされていないのだ!」


(この場で私が勝てなければ全滅だ・・・)

ガイアの手に力が入る。

(正面からの力押しでは勝てない。)

そう考えたガイアは衛兵を指揮していた者に提案をする。


「お前たちは反乱軍よりよっぽど魔法が使えるな。なら奴を足止めしてくれ。そこに全力をぶち込む。」

「貴様!反乱軍の分際で何を命令s」

「今はそれどころじゃないだろ!」

「・・!?」


ガイアの本気の咆哮に、衛兵たちはたじろぐ。


「奴を止められないと、両軍全員全滅だ。」

「・・・・・・いいだろう。だが、今回だけだぞ。」

「それで構わない。」


衛兵にすぐ命令が下った。

使えるものが一斉に魔法を詠唱し始める。


「ありったけの魔力をぶつける!チャンスは一度だぞ!」

「十分だ!」


ボーガンが炎の波から抜け出そうとしたその時、衛兵たちに寄る魔法が一斉に放たれる。

火、水、雷、氷など様々な属性が入り乱れる。


「ガアア・・・グガ・・・」

「いけい!」

「これで終わらせる!」


ガイアは両手で武器を持ち、渾身の力を込める。


「闘気活性!巨人斧撃(タイラントアックス)!」


斧が闘気で一回り大きくなり、ガイアの全力で斧を振りぬく。

ボーガンが魔法を食らいながらも応戦しようとする。

ズガァン!という音とともに、ボーガンの腕が飛び、体に大きな切り傷が入った。

(浅くなったか!)

ボーガンの抵抗により、ガイアの攻撃は若干ずれた。

結果、体を真っ二つには出来なかったのだ。

(だが、これでは戦闘を継続できまい。)

そう思った矢先、ボーガンの折った傷口がじわじわと再生し始める。


「再生能力・・・これほどなのか。」

「・・・くそう!もう魔法は撃てないぞ!」


(私ももう闘気活性で消耗しすぎた・・・次は打てない・・・)

ガイアたちは半場諦めていた。

ボーガンの体の傷がみるみる再生されていき、回復し終えようとしたその時、急激にこちらに接近してくる人影が見えた。


「止まっているなら問題ない。・・・流水天衝剣!」


その人影が誰か視認できたときには技が放たれていた。

その人物は高速でボーガンに詰め寄った。

激流をまとった剣が首元に当たり・・・ボーガンの首が宙を舞った。

いくら凄まじい再生力を得ても、死んでは発揮されることはない。

胴体だけになったボーガンの再生は止まり、そのまま体は地面に倒れた。


「あんたは・・・モルト騎士団長か。」

「元騎士団長だ。帝国はさっき辞めてきた。」

「ハハ、そりゃちょうどよかったよ。」


モルトとガイアが握手を交わす。

すると、衛兵たちが次々に武器を捨てだした。


「・・・どういうつもりだ?」

「ふん。我々はもう魔力も残っておらん。この状況にモルト騎士団長までそっちについては、我々が負けるのも時間の問題だ。無駄な犠牲を出す気はない。それに・・・あんたには命を救ってもらったからな。」

「・・・ありがとう。」

「勘違いするなよ!私は別に帝国を裏切るつもりはない。ただ、部下にも家族がいる。不要な犠牲を出したくないというだけだ。」

「ああ、わかってるよ。・・・あんた名前は?」

「・・・ギル=サンダースだ。」

「しかと覚えたよ。」


ギルとガイアは握手こそしなかったが、お互いに顔は笑っていた。


---

ジャックSide


ジャックは城門間近に来ていた。

いよいよ乗り込むぞと思ったその時、凄まじい光が放たれると同時に城門が吹き飛んだ。

凄まじい爆発と衝撃波が襲い掛かってくる。


「な、なんだこれは・・・」


反乱軍たちはその場にとどまるので精いっぱいだった。

衝撃が収まってから皆体勢を立て直す。

城門のあった場所には土煙が待っている。

徐々に煙が薄れていくと、そこには一人だけたっている人影が見えていた。

今回で反乱軍サイドは決着です。

予定よりかなり膨らんでしまいましたが、書こうと思っていたことはきちんと入れられたと思っています。

一応ボーガンが暴走した経緯については、第4章の敵役とつながってきますので、ここでは言及しないでおきます。

理由は用意してあります。

まあガイアの予想は当たっているんです、そういうことです。


最後の城門の下りで予想できた方もいると思いますが、次はキーラの戦いを描きます。

徐々に城の中へと駒を進めていく感じですね。

キーラVSブリッツ、決着ははっきりイメージできていますが、どう思っていくのかがとても大事だと思っています。

丁寧にしっかりやっていきますので、お楽しみに。



今回も読んでくださった方々ありがとうございました。

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