第15話:反乱の始まり
ジャックSide
ガイアを含めた反乱軍メンバー総員が奴隷区に集結した。
我々一族が虐げ続けられた場所、反乱の開始を告げるには最適な場所だった。
「今までよく耐えてきた同胞よ!この長く苦しい支配は今日で最後にしよう!我々は自由をつかみ取るのだ!今こそ帝国を討つとき!立ち上がれ!」
ガイアからの檄にうおおぉぉ!っと地鳴りのような歓声が起こる。
各々が武器を取り、城へ向けて進軍を開始する。
しかし、奴隷区を抜ける前に衛兵がやってきていた。
恐ろしいほどの察知速度である。
今まで多くの反乱因子がつぶされてきたのも、帝国衛兵の情報戦の強さにあった。
「お前たちが反乱を企てているのはわかっている!完全に迎え撃つ準備は出来ているぞ!死にたくないものはすぐに武器を置け!」
衛兵長が叫ぶ。
普段の反乱なら迷いが出るものもいたかもしれない。
しかし、今回は勝手が違った。
それは反乱軍リーダーのガイアのカリスマ性と人望、そして王国からの救援、すなわちレイアたちの救援だった。
この千載一遇のチャンスを逃してはいけない、その思いが反乱軍の結束を高めていた。
誰もが武器を置かずに、衛兵たちをにらみつける。
「・・・それがお前たちの答えなのだな。衛兵、構え!」
衛兵が一斉に武器を取る。
「反乱因子を叩き潰すのだ!」
「突撃!帝国を討ちほろぼせぇ!」
地鳴りのような雄たけびと共に、両軍がぶつかり合った。
「はああぁ!」
ガイアが大きな斧を振り回す。
一振りごとに衛兵数人の首が飛ぶ。
先ほど投降を促した衛兵長など、当の昔に倒されていた。
「はぁっ!せい!うらぁ!」
ジャックのひっかきや蹴りもどんどん衛兵を倒していく。
リザードマンの身体能力の高さは伊達ではない。
ただし、弱点もあった。
「放て!」
号令と共に衛兵の一団から火球の山が降り注ぐ。
「ぎやあぁ!」
「ぐわぁ!」
悲鳴と共に反乱軍のものが次々倒れていく。
リザードマンは高い身体能力を持つ反面、魔法耐性はからっきしであった。
弱い火球であっても、甚大なダメージを受けることになるのだ。
(あの一団は厄介だな。)
ジャックは先ほど魔法を放った一団に向けて突進していく。
道を阻む衛兵を次々なぎ倒していった。
衛兵の塊を抜け、魔法を放っていた一団の前に躍り出る。
「バカめ!格好の的だ!撃て!」
ジャックに向けて火球が一気に飛んでいく。
「うぐうぅ!」
ジャックからぐぐもった声がでる。
(こんな痛み、これまでに比べたら大したものではない!)
「があぁ!」
ジャックは多量に火球を浴びても、そのまま衛兵に殴り掛かった。
「な、なんだこいつ!?」
彼は根性のみで魔法に立ち向かっていた。
ダメージは甚大だった。
しかし、反乱軍に参加すると決めたときから、当の昔に自分の命は捧げていた。
死ぬ以外立ち止まるつもりなど毛頭なかった。
彼を奮い立たせるのは、今まで死んでいった同胞たちの思いである。
「この程度の魔法で我々は止まることなどない!者ども私に続け!」
「・・・っ!ジャックさん!」
リザードマンたちの士気は一段と高まった。
ガイアとジャックの活躍によって、反乱軍の勢いは増していく。
しかし、それも順調にはいかないものだった。
「これは!?」
「嫌な奴が出てきたな。」
ガイアとジャックが異変をすぐに察知した。
その直後、バァン!という音とともに反乱軍の一団が吹き飛ばされる。
「随分好き勝手暴れているみたいだな~お前たち。」
声の主はリザードマンである。
ジャックも大きいが、それよりもさらに一回り大きなリザードマンで、ガイアに負けず劣らずな肉体をしている。
ただ、鱗の色が普通のリザードマンとは違って紫になっていた。
「その見た目・・・お前ボーガンなのか・・・」
「おうよ!久しぶりだなお前ら。」
リザードマンはみな階級が低く、奴隷扱いになる。
だが、このボーガンという男は違った。
戦闘の実力が高いところに加えて、圧倒的な利己主義だったのだ。
金に貪欲で、金さえもらえるのならば手段や方法は問わなかった。
その姿勢は瞬く間に噂になり、大臣のクレイが目を付けた。
大金を積み、自分の駒にしたのだ。
ボーガンはいとも簡単に同胞を裏切った。
以来、大臣の汚れ仕事専門になった。
「貴様この期に及んでまだ帝国側なのか!」
「お前は相変わらず硬いなジャック。いいか、帝国は最高だぜ。好き勝手暴れて金はたんまりくれる。そして金さえ見せりゃ、奴隷であろうと多くに人間どもは手のひらを返してくる。みじめな奴らだぜ。そうやって従わせるのが・・・たまらないぜ。」
「・・・もうこいつには何を言っても無駄だ。ここで切り捨てる。」
「ガイア、お前にはこの傷の借りがあるからな。ここで殺してやるよ。」
そういいながらボーガンは胸についた傷跡をたたく。
ボーガンは元々ジャックと一緒に反乱軍のサブリーダーだった。
2人でガイアを支えていた。
しかし、ある時ボーガンとガイアの意見がぶつかった。
過激派のボーガンに対して、ガイアは機が熟すまでは力を蓄えるべきだと考えていた。
二人の意見は結局平行線のまま続き・・・最後には決闘となった。
勝ったのはもちろんガイアだ。
ボーガンはコテンパンにされ、大きな傷を負ったまま反乱軍を去っていった。
帝国側にリザードマンがいる、そんな知らせを聞いたのはそれからしばらくしてからだった。
「おれぁ帝国についてさらに強くなったんだ。見てみろよこのパワー!たまらねぇぜ。今ならお前なんざぶち殺してやれる。」
「外道の力に手を染めたか。愚か者め。」
「好きに言ってろ。てめぇもガイアぶっ殺した後・・・同じく殺してやるぜぇ!」
ボーガンが思いっきり飛びかかってくる。
(早い!)
だが次の瞬間ガイアが目の前に移動したかと思うと、ドン!という音とともにボーガンが後方に飛ばされていき、衛兵の軍団に直撃した。
「くっ!」
「ふん!本気を出さなかったのはお前だけではない。今度は仲間ではなく、敵として戦うのだ。悪いが手加減なしだ。」
「が、ガイアさん!」
「ガイアてめぇぇぇ!」
ボーガンはすぐに起き上がり先ほど以上に鋭く飛びかかる。
ガイアも持っている斧で応戦する。
爪を斧で弾くのでギィン!と剣のように鋭い音が鳴る。
「何をしているジャック!ここは私に任せて先にいけ!そのためのサブだろ!」
「!?」
ガイアに言われた瞬間ハッとした。
そしてボーガンにかき乱されていた自分自身を恥じた。
(大局を見失うな。今の私の仕事を全うする!)
「皆の者、衛兵を蹴散らし進むぞ!私に続け!」
うおぉぉ!という雄たけびと共に、ジャックは反乱軍を連れて先に進んでいく。
「行かせるかぁ!」
「甘い!」
ボーガンが阻止しようと意識をむけるが、ガイアがすぐさまそれに反応して阻止する。
「ちっ!」
「帝国に改造されて多少は強くなったようだが、お前にそんな余裕はないぞ。」
「・・・っ!この野郎ぉぉぉ!」
反乱軍サイドの話ですが、大事なメンバーがいますのであんまり軽くはいきません。
ただ、主人公ではないので長引かせもしない予定です。
次でこっちサイドは決着つけたいなと思っています。
うまくいかなかったら、どこかと一緒にして1話にするかもしれません。
具体的に考えてはいますが、実際に書き出すと変更する部分ありますんで、臨機応変にいかせていただきます。
ボーガンは本当にくずなんで、ボロボロに負けてほしいと思ってます。
戦闘描写書くのも遠慮したいぐらいにくずにしたいです。
金がすべてなんです、このキャラ。
反乱軍にいたときから人望0なんです。
そういうイメージでお願いします。
今回も読んでくださった方々ありがとうございました。




