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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第3章:帝国戦争編
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第9話:自分を超えるため

レイアSide


レイアは無我夢中で剣を振っていた。


「がああぁぁ!」


ギン!キィン!ガキン!

目の前の自分のコピーとの戦いは、お互いに有効打がないまま、ただただ時間だけが過ぎていた。

(受けられるって思ったけど、こっちのも簡単に受けられる!)

向こうの剣筋は確かに見切れていた。

しかし、自分の剣筋にもそれは言えた。

相手の体制を崩すような一撃は放ててなかった。

それどころか、自分の体力はドンドン削られており、息が上がってきている。

方や向こうにその気配すらなかった。

休憩もなしにすぐさま切りかかられる。

相手の斬撃を防ぐ速度が徐々に、だが確実に遅れていくのを感じる。

気が付けば自分の体に浅い傷跡が付き始めている。

(このままだとジリ貧だ。)

レイアは自分の少ない経験から、対策をなんとか捻りだそうとしていた。


(そう言えば、昔師匠に質問攻めをしたことがあった気がする・・・)


---


あれはまだ私が師匠の下に来てから日が浅いころ・・・


「師匠師匠!自分の剣が効かないときはどうするの?」

「ん?それは剣で切れないってことかい?」

「ん〰ん〰。剣が効かないの。」

「効かない・・・見切られてたときってことかな?そりゃ~もちろん逃げるんだよ。」

「え~カッコ悪い~。じゃあ逃げちゃだめなときは?」

「ん〰これまた難しいね。逃げちゃだめならやるしかないから、自分が一番自信のある技を使うんだよ。」

「じゃあじゃあ、それも駄目なときは?」

「ん~~~~~~」

「こらレイア、あんまりレンを困らせたらだめよ。」

「だって、師匠がなんでも聞いていいって。」

「じゃあ答えないレンが悪いわね。」

「えぇ!?最後まで味方してくれよ。」

「自業自得よ、格好つけさん。」


師匠は何ともばつの悪そうな顔をしていた。


「ねえねえ!どうするの?」

「あ!そういえば、昔自分の分身と戦ったことがあったな。」

「自分の分身?自分と戦うの?」

「そうだよ。自分と全く同じ能力の人と戦うんだよ。」

「勝ったの?」

「もちろん!師匠は負けないよ~」

「どうやって勝ったの?一番自信のある技?」

「いいや・・・自分ができないと思っていた技で勝ったね確か。」

「できない技なのにできたの?」

「自分の分身だから自分と同じことができるのさ。だから、できる範囲でやっていても勝てなかったんだよ。自分ができないと思っていることができた瞬間、それが初めて自分を超えて勝てる時だったんだ。」

「ん~ちょっとわかんない!」

「まあ修行していたらそのうちわかるさ。いつか限界を超えないといけない時が来るもんさ。」

「じゃあ早速限界を超えて昨日よりも練習する!」

「ハッハッハ、これあっという間に強くなっちゃうかもな!」


---


(あの時師匠が言っていたこと、今なら痛いほどわかる。自分ができることはこいつもできる。だから防がれる。自分ができないことをやらないと、やれるようにここでならないと勝てない、)


「旋風切二連!」


ギィギィン!

当然防がれたが、レイアは黒い自分と距離を開けることに成功した。

(ここで集中!食らってもいいから・・・出し切る!)

剣を持つ手に力を込める。

自分にできない動き、師匠の動きをを何度も頭の中で繰り返す。

いつもは諦めるその動きを、自分がやるんだと心に、体に言い聞かせる。

魔力と闘気、その両方が体にしっかりと充填されていく。

絶対に投げない、そう決めたらレイアは強かった。

レイアの赤い目がほんのりと光る。

黒い自分は待ってくれない。

次の攻撃態勢に入る。

(師匠・・・借ります!)


「ふぅ~・・・・・・六華真斬!」


レイアは二刀流でありながら剣を八相に構える。

師匠に何度教えてもらってもできなかった、1本の剣で同時に6か所切りつける大技。

師匠の動きを何度も何度も体で練習したけど、結局二刀流でも6回も切りつけることは無理だった。

(必ずできる!)

そう信じて切りかかる。

黒い自分も構えは知っている。

同じ動きで切りかかってくる。


キーーーン!

今までよりもはるかに大きい音が鳴る。

手ごたえは・・・なかった。

すべてに刀が合わされた感覚しかない。

(お互いに3回・・・)

レイアはすぐさま反転して、再び八相に構える。

歯を食いしばる力が強くなり、体全体に力が入る。

(もっともっと・・・闘気を練り上げて・・・集中して・・・)

降りぬく一つ一つの動作をより鋭く、より早くすることに集中する。

またレイアの目がほんのり、でもさっきよりも明るく光る。

お互いがまた同じ構えで激突する。


キーーーン!ズシャ!

先ほどと同じ音の中に確かに何かが切れた音がした。

レイアから放たれたのは3回ではなく、4回だった。

その1回分、確実に黒いレイアに当たった。

しかし、レイアは喜ばなかった。

というよりも気づいていなかった。

相打ちになってもいい、倒れてもいいから最後の瞬間まで全力で出し切る、そう決めてから彼女の集中力はどんどん高まっていった。

彼女の瞳は真っ赤に燃えていた。

再び八相の構えで切りかかる。


キーーーン!ズバン!

レイアはすぐさま反転して再び構える。

その彼女の目に飛び込んできたのは、胴体がざっくりと切られた黒い分身だった。

二刀流ではあったものの、師匠の大技 六華真斬を初めて成功させたのだった。


「・・・・・・勝った・・・よね。」


黒い分身がさらさらと解けていくように消えていく。

それを見て、緊張の糸が切れたからか、はたまた激闘の疲れからか、レイアはすっと気を失ってその場に倒れた。

必殺技の名前を考えるのがうまい人は尊敬します。

ダメダメだな~とおもって送り出してひませんが、ん~~~~~

時間たって読み返すと強くない気がしてきた。

でも、あんまりだらだらと長いのは好きじゃないんで、短くストレートに行きたかったと思ってください。


今回の祝福はかなり強化されたという設定です。

そして、師匠の過去に自分と戦った記憶もこの祝福のことです。

レン、ダリア、キーラは祝福を受けて突破しています。

アイシャは突破できていません。

私の中でそれぞれ受けたときに隠れた伸びしろがあるかどうかが大きなポイントと考えています。

レイアは今回少し出し始めていますが、サクラ、ジムにもそういった観点の要素を用意しています。

サクラはまあわかりやすいフラグ立ててましたからね

今回の3章の敵から徐々にそういった部分を出すようにしていきますので、どう強化していくのかも楽しんでいただけると幸いです。


今回も読んでくださった方々、ありがとうございました。

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