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もしも強さを数字で見ることができたなら  作者: 角刈りチーズ
第3章:帝国戦争編
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第6話:常闇の森

エールラインに向かう途中で私はキーラさんに気になっていたことを聞いた。


「キーラさんはなんで今回の作戦に参加しようと思ったんですか?」

「あ~そんなことか。簡単さ。私たちリザードマンはずいぶんと長いこと帝国に抑圧されてきた。私だって元は奴隷だったのさ。だから当然家名なんてないしね。ドワーフだってそう。それを打開する機会はいつも狙ってたんだよ。」

「それが今回ってことですか?」

「そういういこと。正直これはチャンスだと思う。王国としてここまでのカードを切るのにはきっかけが必要さ。ゴア王のイメージもあるから、下手に仕掛けられないしね。」

「なるほど・・・」

「ローエン宰相の手紙にはなんと書いてあったんですか?」

「同じような内容さ。後は、帝国を倒した後の私たちの処遇についてもね。だからOKした。」

「それだけ・・・ですか?」


私は勇気を出して聞いてみた。

やっぱり話していても私はキーラさんに会った記憶がなかった。

はじめましてのはずなのに、どこか私を認識しているように謁見の間では受け取れた。

その理由を聞いておきたかった。


「なになに、私のことあんまり信じられない?まああんまりきちんとした性格ではないけどさ。」


キーラさんは大笑いしながら答えてくれた。


「レイアちゃん、キーラさんはいい人だよ!」

「あら、うれしいね。なんでそう思うの?」

「ん~なんとなく!でも、私の勘は結構当たるよ!」


そういいながら、サクラはキーラさんからもらったパンを頬張りながら言う。

(なんか、はぐらかされた気がする・・・それとも緊張しすぎて見間違えた?)

謁見の間での出来事は、私には刺激が強すぎた。

自分の記憶にも少し自信がなかった。



馬を走らせてしばらくしていると目の前に黒い森が見えてきた。


「あれがエールラインへの入り口がある常闇の森よ。」

「初めて見た!」

「なんかすごく怖い雰囲気だね。」


常闇の森、名前の通りそこだけいつでも夜の森。

何の力によってそうなっているのかは何も伝承の残っていない、暗く遠めから見てもそれがはっきりとわかる森だ。

エールラインへの入り口があるといわれているが、招待されていないものが入って生きては出られないといわれている。

それにしても、これだけすぐに到着したことを考えると、やはり王国から支給された馬はすごい馬だったようだ。


森の手前まで来たところで馬が急に止まった。


「ど、どうしたの!?」

「常闇の森は生き物も避けてるのさ。夜の森それだけ危険な場所だってこと。ここからは歩いていくよ!」

「キーラさん、よそ者が無断で入ると生きては出られないといわれてますし、そもそもエールラインへの入り口を我々は知りません。入っても大丈夫なんですか?」

「なんだジム、男の子なのにビビってるのか?大丈夫大丈夫、私に任せときな!」


そう言ってキーラさんは自信満々にずかずか進んでいく。

(ほ、本当に大丈夫なんだよね・・・?)

ここまでの道中でなんとなく感じている、キーラさんはかっこいいけど少々大雑把だった。

正直大丈夫が軽く感じた。


森から放たれている雰囲気は実に禍々しいものだった。

先が全く見えない、闇がどこまでも広がっているように感じる。

私たちはキーラさんの後にしっかりとついていく。

森の中は本当に何もなかった。

音も、風とそれによる木々や葉の揺れ、私たちの足音のみ・・・

その静けさが余計に恐怖を生んでいた。

(これはキーラさんとはぐれたら終わりだ。)


しばらく歩いているとキーラさんがボソッとつぶやいた。


「きたな。」

「?」


私には何の気配も感じられていない。

音のない、さっきまでと同じ、静かな森だった。

だが次の瞬間、目の前に急に人影が現れた。

(エルフだ!)

その刹那、現れた見知らぬエルフからの蹴りを、キーラさんが蹴りで止め、ドン!という音とともに凄まじい衝撃が起きた。

あたりの空気がビリビリと震える。

(み、見えなかった・・・)

私があっけにとられていると、ジムが叫ぶ。


「戦闘態勢!」


ハッと我に返り、すぐさま剣を構えた。

しかし、私たち3人が武器をとったと同時に、周りから一斉に弓を構えたエルフが姿を見せた。

四方八方完全に囲まれている。

(い、いつの間に・・・)

森の中は音が少ないから気づくのは容易だと勝手に思っていた。

しかし、実際のところは相手の方が何倍も上手だったのである。

常闇の森の恐ろしさを肌で感じる。

下手に動けば殺されると思い、構えを解こうにも解けない。

そんな膠着状態はキーラさんによって簡単に崩された。


「いや~久しぶりだなアイシャ!元気にしてたか!」

「君はいつも突然すぎるぞキーラ。連れの子たちに攻撃してたらどうするつもりだったんだ。」

「気づいてなくても私を狙ってきたさ。さすがに3人とは差があるだろ?」

「全く・・・」


そういいながらアイシャと呼ばれたエルフの人が手を挙げた。

すると私たちを囲んでいたエルフたちが一斉に弓を下した。


「君たちもびっくりさせてすまない。文句はキーラに言ってくれ。」

「実は私エールラインには何度も来たことがあるんだ。こいつは親友のアイシャ。アイシャ、紹介しておくよ。この3人は・・・」


アイシャさんが手を挙げて制止する。


「必要ない。レイア=スレイン、サクラ=バーバリア、ジム=ターナーだろ?」

「ど、どうして私たちのことを?」

「私たち有名人!」

「ハッハッハ、まあある意味有名ではあるがな。姉からいつも話は聞いているよ。」

「・・・姉?」

「私の名前はアイシャ=ルータム、君たちがよく知るダリア=ルータムの妹だよ。」

「えぇぇぇ!」


そういってにっこり笑ったアイシャさんの笑顔は、確かにどことなくダリアさんに似ていた。

最初に書いておくと、アイシャは完全にポット使いのキャラです。

一応設定はいろいろ考えてはありますが、そこまで絡んでこないキャラの予定です。

キーラとは超仲良しで、妹なんですけど結構姉御肌な性格をイメージしています。

エールラインにいる間はちょこちょこ出てきます。


ここまでの1,2章が結構本筋までガンガン進む傾向にあったので、町の外に出て目的地までの話を積み重ねているのが非常に新鮮です。

普段自分がよく読む異世界転生ものっぽくなってきたな~と勝手に感慨深くなったりw

戦争中という縛りでそこまで時間軸的にはのんびりしないんですが、ちょっとエールラインは時間かける部分があります。

エルフの祝福ですね。

これの中身は少し書こうと思っていますので、おそらく祝福だけで1話+半分ぐらいになるかなと。

しばしお付き合いください。

やはり3章はかなりのボリュームになりそうです・・・


今回も読んでくださった方々ありがとうございました。

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