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キミとの記憶

僕は、お酒は飲まない。

お酒は毒だから。


でも、最近は飲んでも良いと思う。

何もかもが毒だから。


隣人が熱く語る言葉も、言葉だね。

ああ、好きにしたらいいさ。

全てはキミの思うままじゃないか。

それでもまだ、そんな顔をするんだね。

そろそろ本当に、キミの体が、悲鳴をあげているのが

聞こえたのかい?


僕は、幸せだ。幸せモノだ。

そして大馬鹿者だ。

病人だ、障害者だ、そうだろう。


そんな言葉で普通じゃないと云うのなら

異常者だと罵ればいい

普通に生きることは諦めたんだ。


異常者だと罵ってくれる?

それは最高の褒め言葉だ。


前に進んでる実感がある

悪いね、悪いけど僕は先に行くよ。


あああ、悪いなんて思ってないよ。

ごめんね。


立ち止まってるんじゃないかと

自分の影を探した


けれど、僕には影がない。

そうなんだよ、影がないんだ。


笑うだろ?


此処は笑うところだ。

腹を抱えて、大いに笑うところだ。

あああ、可笑しい、こんなに可笑しいことは久しぶりだ。


やはり、たまには酒も良い。

烟草に火をつけて、煙を吐くと

益々、気分が良い。


キミのことを探すのは、

この体が滅びてからにしよう。


ただ、キミのことを忘れないように

魂に刻んでおくんだ。


キミとの思い出は、この星では

嘘みたいな作り話なんだ。

夢物語なんだ。


これは少し悲しいな。


何万年も後に、ああ、この話は本当にあったことだ

なんて言われることもなく

僕のお話は消えてしまうかもしれないけれど


ストーリーが云々などと誤魔化すから罰が下る

歴史の教科書みたいに、後世に良いお話として残すための

つくり話をしてもしょうがないだろう。


僕は、一度行った場所には何時だって行けるんだ。

キミと同じ。


あああ、早く帰りたいよ。


あの綺麗な景色の中に

あのキミの魔法を

風に乗せて、キミの歌を星いっぱいに

響かせて、僕らは眠る。


そうだ、キミの歌を

この星の人にも伝えたいなんて

バカなことを言い出したのは僕かもしれない。


キミは少し考えて、

僕を見送った。


どうせ、止めても無駄だって思ったんだ。


この星ではね、思い出せないようになってる。

でも、大丈夫、大丈夫だ。

僕は、キミの歌を届けに来たんだ。


せっかくの機会を、僕は、無駄にしないように

たくさん、たくさん、残すからね。


僕の体には、熱がある。

火照った体は、毒を浄化しようとしてる。


ゆっくりと進もう。


ゆっくりと、紡ぐ、キミとの思い出は

少しも色褪せていない

僕の、記憶。


少しだけの間、この星の、人の一生なんて

あっという間なんだ。


だから、言葉に温度を含ませて

僕の光とキミの歌をたくさんたくさん残すからね。

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