無題
目まぐるしく巡る日々。
太陽も月も、この星も、忙しなくて
振り返れば本よりも薄い日々。
でも、それでもいい。
この身体が果てるまで、あとどれくらいだろう。
早く、あの星に、帰るんだ。
それだけが、僕の願い。
こんなに願っているのに、
星は遠く、月は暗く、
太陽ばかりが、やたら眩しい。
もう、こんな星はたくさんだ。
見えないものが多すぎて、
誰も、何も見えないで、
繰り返すことに意味を見出し、
自分と違うものに嫌悪し、
希望なんて
なんの意味もないのに。
この星の人は、希望を光と云う。
光は、希望なんかじゃない。
僕には生きる希望がない。
早く、帰りたい。
ねぇ、知ってる?
あなたは闇を彷徨ってるよ。
光ってるのは自分だろ?
自分で照らした場所しか見えてないことに
気がついてる?
其処に、或るのは、希望じゃない。
望むものは、光ってない。
ただじっと、あなたが来てくれるのを待ってる。
本当に見なくてはいけないものは、
あなたが進まなければ見つからない。
僕はただ、彷徨う人たちを見て滑稽だと思うだけ。
望遠鏡で覗いても、ロケットを飛ばしても、
あの月には行けない。
すぐ其処に在るのに。
嗚呼、早く、帰りたい。
けど、もう少しだけ生きてみようと思うよ。
それでも僕は、この星の人は嫌いじゃないから。
一生懸命で、羨ましい。
もうしばらく、楽しんでから、帰るとする。
この星が全てを赦して包みこむように
僕も、愛してみたいから。
帰ったらまた、ゆっくりするとしよう。
それまでの、少しの間、
忙しなく、
毎日を生きてみる。
この身体が、果てるまで。
大切にするからね。




